大切な家族であるペットの体調が気になったとき、多くの飼い主の方はまずスマートフォンで「近くの動物病院」を検索します。そこで最初に目にするホームページの印象が、来院するかどうかの判断を大きく左右します。
ところが、動物病院のホームページは「おしゃれに作る」だけでは十分ではありません。載せるべき情報の整理、獣医療法という業界特有のルールへの配慮、そして公開後の運用まで押さえて、はじめて集患につながります。
この記事では、WEB制作・保守管理を手がける弊社リヒトスの視点から、動物病院のホームページ制作で押さえたいポイントを、必要な機能・注意点・運用の3つの角度から解説します。
目次
動物病院のホームページが果たす役割
動物病院のホームページとは、飼い主が来院先を選ぶ入り口となるWebサイトであり、診療情報の提供と信頼づくりを担う場です。単なる電子版のパンフレットではなく、来院を決めるまでの重要な役割があります。まずはその役割を整理しておきましょう。
飼い主は来院前にホームページで判断している
現在、多くの飼い主の方は、来院前にインターネットで動物病院の情報を集めています。診療時間や対応している動物、院内の雰囲気などをホームページで確認し、複数の病院を見比べたうえで来院先を決めるケースが多いです。
近年は動物病院の数も全国的に増えており、飼い主に「選ばれる」ための情報発信がますます重要になっています。ホームページは、その第一印象を決める場といえます。
「集客の導線」と「受け皿」の関係
WEB集客は、大きく分けて2つの要素で成り立ちます。ひとつは、病院を見つけてもらうための「導線」です。もうひとつは、訪れた飼い主を来院につなげる「受け皿」です。
検索エンジン対策(SEO)やGoogleマップ対策(MEO)、SNSなどは、病院にたどり着いてもらうための導線にあたります。一方で、ホームページはその受け皿です。どれだけ導線を強化しても、受け皿となるホームページが分かりにくければ、来院にはつながりません。両輪で考えることが大切です。
動物病院のホームページに必要なコンテンツ・機能
ここからは、動物病院のホームページに具体的に何を載せるべきかを整理します。飼い主が求める情報を「基本情報」「安心を伝える要素」「利便性を高める機能」の3つの層に分けて考えると、抜け漏れなく設計できます。
必須の基本情報
まず欠かせないのが、来院に直結する基本情報です。診療時間・休診日・アクセス(地図)・電話番号は、目立つ位置にはっきりと掲載します。飼い主が知りたい情報にすぐたどり着けることが、離脱を防ぐ第一歩です。
動物病院ならではのポイントとして、対応している動物の種類を明示することが挙げられます。犬や猫だけでなく、ウサギやハムスター、フェレット、鳥、は虫類などのエキゾチックアニマルに対応しているかどうかは、飼い主が最初に確認したい情報です。トップページで分かるようにしておくと、大きな安心材料になります。
安心・信頼を伝えるコンテンツ
大切な家族を預ける飼い主にとって、「どんな人が、どんな環境で診てくれるのか」は非常に気になる点です。ここを伝えるコンテンツが、信頼形成のカギを握ります。
具体的には、獣医師・スタッフの紹介、院内の写真、診療方針などが効果的です。特にスタッフの写真は、院内の雰囲気や誠実さを伝えやすく、多くの飼い主に安心感を与えます。デザイン面でも、やわらかな色使いやイラストで親しみやすさと清潔感を演出すると、動物病院の雰囲気が伝わりやすくなります。また、症例の紹介やお知らせ・ブログを継続的に発信することで、「きちんと運営されている病院」という印象にもつながります。ただし症例や治療内容の記載には、後述する獣医療法上の配慮が必要です。
利便性を高める機能
基本情報と信頼づくりに加えて、飼い主の使いやすさを高める機能があると、来院のハードルが下がります。問い合わせフォームや予約フォーム、LINEでの問い合わせ窓口、Googleマップの埋め込みなどが代表例です。
近年は、スマートフォンからホームページを見て予約や問い合わせをする飼い主も多くいます。そのため、スマートフォンでの表示に最適化するレスポンシブデザイン(画面幅に応じて見やすく整うデザイン)は、いまや標準と考えてよいでしょう。なお、予約フォームやLINE窓口は便利な反面、日々の対応や動作確認といった運用の手間も発生します。導入する場合は運用体制もあわせて検討することをおすすめします。
FAQ(よくある質問)の設置
飼い主から実際によく聞かれる質問をまとめたFAQも、用意しておきたいコンテンツです。初診の流れ、駐車場の有無、支払い方法、対応動物などをまとめておくと、飼い主の不安が解消され、電話での問い合わせ対応の負担も軽くなります。
動物病院ならではの注意点——獣医療法と広告表現
動物病院のホームページには、他業種にはない法律上の注意点があります。ここは競合サイトでも正確に触れられていないことが多い部分ですので、重点的に解説します。
まず押さえておきたいのは、人間の医療機関を規律する「医療広告ガイドライン」(医療法・厚生労働省)と、動物病院を規律する「獣医療法」(農林水産省)は、まったく別の制度だという点です。歯科やクリニックの情報を参考にすると、動物病院には当てはまらないルールを持ち込んでしまう恐れがあります。
獣医療法第17条と広告の考え方
動物病院の広告は、獣医療法という法律で規律されています。獣医療法第17条では、獣医師や診療施設の「技能・療法・経歴」に関する事項の広告が、原則として制限されています。
一方で、広告できる事項も定められています。診療施設の専門科名(内科、外科、皮膚科、犬・猫専門科、エキゾチックアニマル専門科など)や、獣医師の学位・称号は広告が認められています。
この広告規制の対象は「何人も」とされており、獣医師だけでなく、広告に関わった制作会社なども指導の対象になり得ます。制限に違反する広告を行った場合には、50万円以下の罰金が科される可能性があります。さらに、違反した獣医師については、罰金以上の刑を受けた場合や違反を継続・反復した場合などに、獣医師法に基づく行政処分(免許の取消しや業務停止)の対象となることがあります。詳しい線引きは複雑なため、判断に迷う場合は所管の窓口や専門家への確認をおすすめします。
ホームページは原則「広告」に当たらない
ここで重要なのが、獣医療広告ガイドライン(令和5年11月13日全部改正)において、動物病院のホームページは原則として「広告」とはみなされていないという点です。飼い主が自ら検索し、URLを入力するなどして閲覧するものであり、通常は人を誘い込む「誘引性」や、広く一般に知らしめる「認知性」を備えないと考えられているためです。
そのため、人間の医療機関のホームページとは異なり、動物病院のホームページ上では、診療内容や費用の掲載についても比較的柔軟に扱える面があります。ただし、動物病院自身がバナー広告やリスティング広告(検索結果に表示される有料広告)を出したり、ポータルサイトへの掲載やSNSでの発信などを通じて不特定多数に届けたりする場合は、「広告」とみなされることがあります。この違いは押さえておきましょう。
令和6年4月の改正と、それでも避けるべき表現
制度は改正されています。令和6年(2024年)4月1日に獣医療法施行規則が改正され(令和5年農林水産省令第52号)、広告できる事項が広がりました。たとえば、獣医師の専門性に関する認定、高度な検査・手術・治療などの診療内容、寄生虫病の予防、マイクロチップの装着、獣医師の役職・略歴、愛玩動物看護師が勤務していることなどが挙げられます。ただし、こうした技能・療法に関する事項を広告する場合は、問い合わせ先・通常必要とされる診療内容・主なリスクや副作用・費用を併記することが条件です。
範囲が広がっても、禁止されている表現があります。他院より優れていると示す比較広告や、事実より誇張した誇大広告は、引き続き認められていません。「どこよりも安全に手術します」「効果抜群のワクチン」といった表現は避けるべきです。加えて、景品表示法や薬機法(医薬品医療機器等法)にも配慮が必要です。個別の表現が問題ないかどうかの判断は、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
制作から公開後の運用まで(保守管理の重要性)
ホームページは、公開して終わりではありません。むしろ、公開してからの運用で他院と差がつきます。弊社リヒトスが最も大切にしている考え方です。ここでは制作の進め方と、公開後の運用について整理します。
制作の進め方(目的整理→設計→制作)
制作にあたっては、まず「誰に、何を伝えたいか」を明確にすることから始めます。新規の飼い主に来院してほしいのか、既存の飼い主に情報を届けたいのか、スタッフを募集したいのかによって、必要なコンテンツや構成は変わります。
目的を整理したら、掲載する情報を棚卸しし、飼い主が迷わない導線を設計します。前述のとおり、スマートフォンでの閲覧を前提にした設計が基本です。この段階を丁寧に進めることが、公開後の使いやすさに直結します。
公開後こそ差がつく保守・運用
公開後の運用では、情報を最新に保つことが何より大切です。診療時間や休診日の変更、年末年始やお盆の休診案内などは、こまめな更新が欠かせません。古い情報のまま放置されたホームページは、かえって飼い主の信頼を損ないます。
季節性の高い情報発信も効果的です。フィラリア予防やワクチン、ノミ・ダニ対策など、時期に応じたお知らせは来院のきっかけになります。あわせて、予約フォームの動作確認、WordPress(ホームページを管理する仕組み)本体やプラグインの更新、セキュリティ対策といった技術的な保守も必要です。さらに、先ほど触れた獣医療法のように制度が改正された際には、記載内容の見直しも求められます。こうした運用を継続する体制づくりが、長く成果を出すホームページの条件です。
保守管理を専門の制作会社に依頼するという選択肢もあります。費用の目安や依頼範囲については、ホームページの保守費用について解説した記事もあわせてご覧ください。
よくあるご質問
動物病院のホームページ制作について、経営者様やご担当者様からよく寄せられる質問にお答えします。
Q: 動物病院のホームページ制作費用の目安は?
制作費用は、ページ数や機能、デザインの作り込みによって幅があります。執筆時点(2026年7月)では、シンプルな構成で数十万円台から、多機能なサイトではそれ以上になるケースもあります。予約システムなどの機能を追加すると費用は上がる傾向があります。具体的な金額は依頼内容によって大きく変わるため、複数社に見積もりを取り、内容を比較することをおすすめします。
Q: ホームページに料金や症例を載せてもよいですか?
前述のとおり、動物病院のホームページは原則として獣医療法上の「広告」にはあたらないため、費用や診療内容の掲載は比較的柔軟に扱える面があります。ただし、比較広告や誇大広告に該当する表現は避ける必要があり、景品表示法や薬機法にも配慮が必要です。判断に迷う場合は、専門家に確認すると安心です。
Q: 自分で作るのと、制作会社に依頼するのはどちらがよいですか?
無料ツールなどを使って自作する方法もありますが、獣医療法への配慮や公開後の保守・運用まで含めると、専門知識が求められる場面が多くあります。日々の診療で忙しい中で運用まで担うのが難しい場合は、制作会社への依頼が現実的な選択肢になります。ご自身の体制やかけられる時間を踏まえて判断することをおすすめします。
まとめ
動物病院のホームページ制作では、次の観点が大切です。飼い主が求める基本情報と、獣医師・スタッフ紹介などの安心を伝えるコンテンツ、予約などの便利な機能。そして、動物病院特有の獣医療法への配慮と、公開後の保守・運用です。
デザインの良さだけでなく、正確な情報発信と継続的な運用があってはじめて、飼い主に選ばれるホームページになります。制作と運用の両輪で考えることが、集患への近道です。
動物病院のホームページ制作・保守管理をお考えの方は、株式会社リヒトスまでお気軽にお問い合わせください。

