
目次
はじめに
突然、ホームページ制作や管理を任せていた会社が倒産してしまい、連絡が取れなくなったらどうしますか?
「自社サイトはどうなるのだろう」「メールも使えなくなるのでは」と不安に感じる方も多いでしょう。
このようなホームページ制作会社の倒産・音信不通トラブルは、実は近年決して珍しいことではありません。
近年、制作会社の倒産や担当者との連絡断絶により、ホームページ運用の引き継ぎが急に必要になるケースがあります。
帝国データバンクの集計では、2024年の倒産件数は9,901件(前年比16.5%増)で、また「人手不足倒産」も342件(過去最多)と報告されています。
こうした環境では、外部委託していたWebサイトの管理情報が分からず、復旧や移管に時間を要するリスクが高まります。
しかし大切なホームページが突然消えてしまうのは何としても避けたいですよね。
本記事では、ホームページ制作会社が倒産してしまった場合に取るべき対処法と、今後の備えについて専門家の視点でわかりやすくご説明したいと思います。
適切に対応すればホームページを守ることは可能です。
ぜひ最後まで読み、悩みの解決にお役立てください。
ホームページ制作会社が倒産すると起こる問題
ホームページ制作会社が倒産してしまった場合、まずどのような影響が起こり得るでしょうか。
大きな問題は、ホームページや関連サービスの継続運用に支障が出ることです。
例えば、制作会社が独自ドメイン(例:yourcompany.com)やレンタルサーバーの契約を代行していた場合、その契約が更新されなかったり停止したりすると、ホームページの表示やメールの送受信ができなくなる恐れがあります。
ドメイン契約が失効すればホームページだけでなく@yourcompany.comのメールも使えなくなり、第三者にそのドメインを取得されてしまうリスクすらあるのです。
また、ホームページの制作が途中だった場合には、プロジェクトが中断してしまいます。
制作途中のデザインデータやコーディング途中のファイルが受け取れず、完成が大幅に遅れたり、最悪ゼロから作り直す事態にもなりかねません。
特に有料で依頼していた場合、支払い済みの費用が戻らない経済的損失も考えられます。
契約書によっては倒産時の取り扱いに関する条項が設けられていることもありますので、まず契約内容の再確認も重要です。
さらに、保守・管理契約を結んでいたケースでは、定期的な更新作業やセキュリティ対応が止まってしまうことで、サイトに不具合が生じたり脆弱性が放置されたりするリスクもあります。
問い合わせフォームの改修やコンテンツ更新などが滞り、ビジネスに支障が出るかもしれません。
このように、ホームページ制作会社の倒産はウェブサイト運営に多方面の悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、適切な対処を取れば被害を最小限に抑え、サイトを継続することも十分可能です。
まず最初に確認すべきポイント
次に、具体的に「まず何を確認し、どう対処すべきか」を見ていきましょう。
制作会社と連絡が取れない状況になったら、まずは現状を正確に把握することが重要です。
具体的には、真っ先に以下の2点を確認しましょう。
- ドメインの契約者(所有者)
- サーバーの契約状況とホームページデータの所在
【ポイント1】ドメインの契約者を確認する
ホームページの「住所」にあたる独自ドメイン(例:yourcompany.com)が誰の名義で契約されているかを調べます。
契約時に制作会社任せにしていた場合、ドメインの登録者名義があなたの会社ではなく制作会社になっているケースもあります。
実際、どなたがドメインの所有者なのか認識されていないサイトオーナーも少なくありません。
もしドメインの登録者が自社(あなた)であれば、新しいサーバーにデータを移してDNS設定(ネームサーバーの設定)を変更することで再びホームページを表示させることができます。
しかし、倒産した制作会社がドメインの所有者になっている場合、その会社側で契約更新が行われずドメインが解約されてしまうと、たとえホームページのデータを持っていてもそのドメインではサイトが表示できなくなってしまいます。
ドメイン契約は多くの場合1年ごとの更新です。
制作会社側でドメインを管理・更新していた場合は、期限が切れる前に管理者を自社または新しい制作会社に変更(ドメイン移管)してください。
契約が失効してしまうとホームページだけでなくメールもすべて止まり、最悪の場合はそのドメインを第三者に取得され二度と使えなくなる恐れもあります。
ドメイン移管手続きについては後述する対処法の章でも詳しく説明しますが、まずは契約情報(どの事業者で登録され、いつ更新期限を迎えるのか等)を至急確認しましょう。
【ポイント2】サーバーの契約状況とデータの所在を確認する
次に、ホームページを設置しているレンタルサーバーの契約状況を調べます。
ホームページのデータはインターネット上のサーバー(「土地」に相当)に保管されています。
サーバー契約をあなた自身で直接行っている場合は、引き続き料金支払いと管理を続ければ当面サイトは維持できます。
しかし、倒産した制作会社がサーバー契約者となっていた場合、その契約が更新されないとサイトが表示されなくなるリスクがあります。
一般にレンタルサーバーは月払い契約の場合も多いため、ドメインより先に契約切れとなってホームページが消えてしまうケースも少なくありません。
現在ホームページが問題なく表示できているなら、サーバー上のデータを早急に確保しましょう。
制作会社とまだ連絡が取れる状況であれば、サーバーのコントロールパネルやFTPのログイン情報を教えてもらい、ホームページの全ファイルをダウンロードします。
WordPressなどCMSを使ったサイトの場合は、データベースのエクスポート(書き出し)も忘れずに行いましょう。
WordPressは「サーバー上のファイル」「データベース(DB)」「プラグイン等の設定」の3要素で成り立っており、この全てが揃わないと完全な復元ができません。そのため、ファイル一式に加え、必ずDBのバックアップも取得しておく必要があります。
もし既に制作会社とまったく連絡が取れない状況でも、運良くお手元にサーバーのログイン情報やバックアップデータが残っていれば、それを使って別のサーバーへ移転できる可能性があります。
ドメイン管理情報(レジストラのログイン)やサーバー管理画面のID・パスワード、WordPressの管理画面ログイン情報など、サイト運営に必要な情報を改めて洗い出し、一箇所にまとめておきましょう。
それらが何も分からない場合は、自力対応は難しいため後述する専門業者への相談も検討してください。
以下に、倒産時にまず確認すべき主な事項とその対処方針をまとめます。
| 確認事項 | ポイントと対処策 |
|---|---|
| ドメイン契約者 | ドメインの登録者名義を確認する。自社名義なら契約を継続しつつネームサーバー設定変更等で対応可能。 制作会社名義の場合は早急に移管手続きを行う(AuthCodeの取得等が必要)。 契約が切れるとサイトやメールが停止し、第三者に取得されるリスクもあるため注意。 |
| サーバー契約 | サーバーの契約名義・支払い状況を確認する。 自社で直接契約している場合は支払いを継続しつつサーバーにアクセス権を確保する。 制作会社経由の契約なら、速やかに全サイトデータを取得し新しいサーバーへ移転する準備を進める。 CMSサイトの場合、ファイルとデータベース両方のバックアップが必要。 |
| サイトのデータ | ホームページの元データ(テキスト、画像、ソースコード、デザインファイル等)を確保する。 制作途中で倒産した場合、可能なら制作会社の弁護士や管財人からデータを受け取れないか試みる。 バックアップも無くデータが一切手元にない場合は、残念ながらサイトを一から作り直す覚悟も必要。 |
| 契約書の確認 | 制作委託契約書や利用規約を見直す。 倒産・業務停止時の取り決め(例:著作権の帰属、未履行業務の扱いなど)が記載されていないか確認。 内容によっては未完成の作業部分について法的措置を検討したり、損害賠償を請求できる可能性もあります。 必要に応じて専門家(弁護士)に相談しましょう。 |
上記のポイントを把握できたら、次に実際の対処に移ります。
ホームページ復旧のための具体的な対処法
前項で確認したドメインやサーバーの情報をもとに、ホームページを復旧させるための具体的な手順に移ります。
状況によって対処の優先度や難易度は異なりますが、ここでは主なポイントを順に説明します。
ドメイン移管(ドメインの引き継ぎ)
まずドメインの管理権を自分の手に取り戻す手続きを行います。
ドメインの移管(トランスファー)には、現在契約しているレジストラ(ドメイン管理事業者)から発行されるAuthCode(認証コード)が必要です。
通常、移管の流れは以下のようになります。
- 現在のネームサーバーに設定されているDNSレコードを確認して控える
- 新しいレジストラを選んでドメイン移管を申請する(AuthCodeを提出)
- 現在のレジストラから、ドメイン登録時に登録されたメールアドレス宛に承認依頼メールが届く
- その承認メール内のリンクをクリックして承認手続きを完了させる
以上で、ドメインの管理者をあなた自身に変更できます。
しかし、制作会社と連絡が取れない状況では、上記ステップの3と4が大きな障壁となります。
承認メールは倒産した制作会社のメールアドレスに送られることが多いため、制作会社側で承認処理をしてもらえないと移管が完了しません。
こうした場合に備え、一部のレジストラではドメインの正当な権利者であることを示す書類(会社の登記簿謄本など)の提示によって移管手続きを代行してくれる場合もあります。
しかし、この対応は各社のポリシー次第で必ずできるとは限りません。
可能性があるなら、早めに現在のレジストラに事情を問い合わせてみると良いでしょう。
また、移管が完了するまでの間にドメインの更新期限が来てしまうことも考えられます。
そのため、期限が迫っている場合は、移管と並行してドメインの延長更新手続き(1年など更新料を支払う)も行っておくと安心です。
万一どうしてもドメインを移管・維持できない場合、残念ながら新しいドメインを取得してホームページを再公開することも検討せざるを得ません。
例えば旧ドメインがyourcompany.comであれば、yourcompany.jpや類似の別ドメインを取得してサイトを公開するといった対応です。
その場合、これまで使用していたドメインへのアクセスは途絶えてしまいますので、印刷物や名刺、他サイトからのリンク修正など影響範囲も考慮しておきましょう。
さらに、長期間運用してきたドメインは検索エンジンにおける評価(ドメインパワー)が高く、SEO上非常に価値があります。
ドメインを変更すると過去に獲得した被リンクも無駄になり、検索順位も一時的に低下してしまいます。
こうしたデメリットが大きいため、ドメイン変更は最後の手段と考え、可能な限り既存ドメインを維持する方向で努力することを強くおすすめします。
サーバー移転とサイトデータの復元
ドメインの次は、確保したホームページデータを新しいサーバー環境へ移し、サイトを復元します。
まず信頼できるレンタルサーバーサービスを契約し(自社で既に契約済みのサーバーがある場合はそちらを使っても構いません)、そこに手元にあるホームページのデータ一式をアップロードします。
HTMLの静的サイトであれば、ファイルを設置し直せば同じ内容のサイトが表示できます。
WordPressなどデータベースを用いるCMSサイトの場合は、サーバーに新しくデータベースを作成し、取得済みのデータベース内容をインポートして、設定ファイルを新環境に合わせて修正する作業が必要です。
例えばWordPressでは、wp-config.phpという設定ファイルにデータベース名やユーザー名、パスワード、ホスト名などの情報を記載していますが、移転先のサーバー環境に合わせてそれらを書き換える必要があります。
移行作業の具体的な手順は技術的な内容を含みますので、難しい場合は無理をせずプロに任せることも検討しましょう。
特に、ホームページにお問い合わせフォームやEC機能など動的な仕組みが含まれている場合、サーバー移転作業は高度な知識を要します。
誤って設定を間違えるとサイトが正常に動作しなくなるため注意が必要です。
実際、「動的なコンテンツがあるサイトの場合、自力での引っ越しは諦めて専門業者に依頼した方がよい」というアドバイスもあります。
データ引き継ぎやその他の留意点
ホームページの復旧と運用引き継ぎにあたり、以下の点にも気を配りましょう。
可能な限りデータを回収する
制作途中で倒産してしまった場合、完成までに至っていなくても途中までの成果物(デザインカンプ、画像素材、テキスト原稿、コード断片など)を入手できるならしておきましょう。
既に破産手続きに入っている場合は、裁判所から選任された破産管財人(担当弁護士)に連絡を取り、データの引き渡しが受けられないか確認します。
倒産した会社側に非があるとはいえ、著作権や契約の問題がありますので、勝手に他社が制作途中のデータを使うことは避け、必要に応じて弁護士に相談して進めてください。
ライセンス関連のチェック
ホームページ内で使用している素材についても確認が必要です。
例えば、制作会社が用意した写真やイラストの中に、ライツマネージド(RM)の素材が含まれていないか注意します。
RMは、使用媒体・期間・地域など特定の用途条件に基づいてライセンスを購入する形が一般的で、条件外の用途で使う場合は追加のライセンスが必要になることがあります。
倒産によってその支払いが途絶えた場合、ライセンス違反となり法的な問題が発生しかねません。
権利関係が不明な素材は差し替えるか、利用条件を再確認して適切に許諾を取り直しましょう。
専門家への相談も検討
ドメインやサーバーの契約者が自社でなく、データも確保できない状態で完全に連絡が取れなくなってしまった場合、自力での復旧は難易度が高いです。
そのようなときは、無理に抱え込まず別の信頼できる制作会社や専門業者に相談することをおすすめします。
Webサイト復旧の知見がある会社であれば、ドメインやサーバーの調査、データ移行の代行などに応じてくれるでしょう。
必要に応じてITに詳しい知人や顧問弁護士に状況を説明し、アドバイスをもらうのも良い方法です。
ここまで、ホームページを止めないための応急処置・対処法を見てきました。
次章では、今回の経験を踏まえて今後同じような事態を避けるための予防策について解説します。
同じ事態を防ぐために今後できる備え
今回、ホームページ制作会社の倒産によるトラブルに直面してしまった方は、この経験を教訓に、今後は同じ事態を繰り返さないための備えをぜひ万全にしておきましょう。
以下に、ホームページ運営者が取るべき主な予防策をまとめます。
ドメインを自分で契約・管理する
独自ドメインは「お名前.com」など信頼できるレジストラで自社名義で取得・管理しましょう。
ドメインの技術的な設定(DNS設定など)は制作会社に任せても問題ありませんが、契約と更新を自分で行えば、万一契約先の業者が倒産しても大切なサイトの「住所」を失わずに済みます。
ドメイン管理自体にそれほど手間はかからないため、今後は積極的に自社で管理することをおすすめします。
サーバー情報を必ず控えておく
ホームページを設置しているサーバーのログイン情報(管理画面URL、ID・パスワード、FTPアカウントなど)を必ず控えておきます。
最初から全てを業者任せにせず、万一連絡が取れなくなっても自分や新しい業者がサイトデータにアクセスできる状態にしておくことが重要です。
ID・パスワード類は社内でも安全な場所に保管し、担当者が変わっても引き継げるようにしましょう。
定期的にバックアップを取る
サイトデータの定期バックアップを習慣づけましょう。
特にWordPress等のCMSサイトでは、サーバー上のファイルだけでなくデータベースも含めてバックアップが必要です。
バックアップがあれば、仮にサーバーや業者に何かあっても別の環境でサイトを復元できます。
最近ではプラグインやクラウドストレージ連携を使って自動バックアップを取る方法もあるので、有事に備えて必ず実行しておきましょう。
信頼できる制作会社を選ぶ
今後新たにホームページ制作や運用を依頼する際は、ぜひ信頼できる会社を慎重に見極めて選んでください。
具体的には、会社の実績(創業年や従業員数、手がけた制作事例)や情報開示の姿勢をチェックしましょう。
信頼できる業者であれば、こちらから「ドメインやサーバーは自社名義で契約したい」と申し出ても拒否せず対応してくれますし、サイトのデータ共有にも協力的です。
また、連絡のレスポンスが早く丁寧で、メリットだけでなくデメリットやリスクも含めて説明してくれる会社だと安心できます。
逆に「ホームページをリース契約で提供します」などと言われた場合は注意が必要です。
「リース」等の契約形態は、契約内容によっては中途解約が難しく、事業者間取引ではクーリング・オフの対象外となる場合があります。
また一般に、リースでは所有権がリース会社側にある点にも注意が必要です。(参考:経済産業省・中小企業庁パンフレット『ホームページソフトなどのリース契約はしっかり考えてから!』)
契約前に、①ドメイン/サーバーの契約名義、②サイトデータの引き渡し範囲(wp-adminやFTP等の管理権限を含むか)、③著作権・利用権の帰属、④契約終了時の取り扱い(データ提供の有無)を、必ず書面で確認しましょう。
上記の対策を講じておけば、万が一今後再び取引先の制作会社に何かあっても、ホームページを守れる可能性が飛躍的に高まります。
では最後に、本記事全体の内容を簡単にまとめます。
まとめ
ホームページ制作会社の倒産という非常事態に遭遇すると、誰しも慌ててしまうものです。
しかし、適切な情報を押さえて迅速に行動すれば、大切なホームページを救える可能性は十分にあります。
まずは「ドメイン」と「データ」の確保が最優先です。ドメインの契約移管やサーバーデータのバックアップなど、やるべきことを一つずつ確実に実行しましょう。
もし困難を感じる場合は、遠慮なく第三者の力を借りることも大切です。
そして、この経験を教訓に、今後はリスクに備えた運用を心がけてください。
ドメインや契約の見直し、バックアップの徹底、信頼できるパートナー選びなどを実践すれば、同様のトラブル発生リスクを大きく減らせます。
ホームページは企業にとって重要な資産です。倒産など予期せぬ事態からその資産を守るために、日頃からできる対策は講じておきましょう。
準備を万全にしておけば、万が一トラブルが起きても慌てず対処でき、あなたのホームページを長期にわたり安心して運営できるはずです。


