
はじめに
「WordPressの後継」として話題のEmDash(エムダッシュ)は、2026年9月に安定版の1.0が公開された新しいCMSです。
AIエージェントと組み合わせやすいことから、AIを使って自社のサイトを作ろうと考えている方のあいだでも、名前を聞く機会が増えています。
一方で、「WordPressと何が違うのか」「無料で使えるのか」「作った後は何をすればよいのか」が分かりにくいという声もあります。
この記事では、EmDashの仕組みと特徴、WordPressとの違い、料金、作る流れ、公開した後に必要な保守までを順に整理します。
技術者ではない経営者様・ご担当者様にも読んでいただけるよう、専門用語には短い説明を添えました。
EmDashとは|Cloudflareが開発したCMS

EmDash(エムダッシュ)とは、Webのインフラ大手のCloudflare(クラウドフレア)が開発した、オープンソースのCMS(コンテンツ管理システム)です。
管理画面から記事やページを作って公開できる点はWordPressと同じですが、中身は新しい技術でゼロから作られています。
まずは、公開からの経緯と、名前についての注意点を押さえておきましょう。
公開から1.0、その後の更新
EmDashは短い期間で版を重ねています。
主な出来事は次のとおりです(2026年11月5日時点)。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年4月1日 | Cloudflareが開発者向けのベータ版(プレビュー版)として公開 |
| 2026年8月 | Cloudflare自身の公式ブログがEmDashに移行 |
| 2026年9月28日 | 安定版の1.0を公開 |
| 2026年10月29日 | 1.4.0を公開(執筆時点の最新版) |
1.0の公開にあわせて、互換性を壊す変更は、今後は新しいメジャーバージョン(2.0など)でのみ行う方針が示されました。
ただ、1.0から約1か月で1.4.0まで進んでおり、更新の頻度は高めです。
この点は、公開した後の保守の考え方にも関わります(後述)。
ライセンスはMIT(改変や再配布の自由度が高い、オープンソースのライセンスの一種)で、本体は無料で使えます。
「WordPressの後継」と呼ばれる理由と、公式の後継ではないこと
Cloudflareは日本語版の公式ブログで、EmDashを「WordPressの精神の後継」と紹介しています。
誰でも手軽にサイトを作れるというWordPressの考え方を引き継ぎつつ、プラグインの安全性などの課題を新しい作りで解決しようとしているためです。
ただし、WordPressの公式な後継バージョンではありません。
WordPressのコードは使われておらず、開発している組織も別です。
WordPressの更新画面からEmDashに切り替える仕組みはなく、移る場合は新しく環境を作り、記事などのデータを移すことになります。
読み方と、句読点の「em dash」・同じ名前のアプリとの違い
EmDashは「エムダッシュ」と読みます。
英語の文章で使う長いダッシュ記号「—(em dash)」と同じ名前のため、検索すると記号の解説が多く表示されます。
このほか、同じ名前の開発者向けのアプリや、フィギュアのブランドもあります。
調べるときは「EmDash CMS」「EmDash Cloudflare」のように、CMSであることが分かる語を添えると探しやすくなります。
EmDashの仕組みと特徴

EmDashには、管理画面とサイトが1つにまとまっている、動かす場所を選べる、プラグインを隔離して動かせる、AIから操作できる、といった特徴があります。
ここでは、主な特徴を6つに分けて紹介します。
それぞれの詳しい内容は、個別の記事で解説していきます。
管理画面とサイトが1つにまとまったCMS
EmDashの土台は、WordPressとは異なる技術です。
プログラミング言語はTypeScript(JavaScriptに型の仕組みを加えたもの)で、Astro(Webサイトを作るための仕組み)の上に作られています。
記事を書く管理画面と、訪問者が見るサイトが1つにまとまっている点はWordPressと同じです。
記事の下書き・予約公開・変更履歴など、基本の流れにも共通する部分が多くあります。
管理画面は日本語でも表示できます。
ログインは、パスワードの代わりにパスキー(指紋や顔認証、端末のPINなどで本人を確かめる仕組み)を使うのが標準です。
動かす場所はCloudflareとNode.jsのサーバー

EmDashを動かす場所(ホスティング)は、大きく次の3つから選べます。
| 動かす場所 | 構成 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| Cloudflare | Workers(プログラムを動かすサービス)・D1(データベース)・R2(画像などの保存先) | サーバーの機器やOSを自分で管理しなくてよい。公式の手順が整っている |
| Node.jsが動くサーバー | 自社やクラウドのサーバー、VPS。データベースはSQLite・PostgreSQLなどから選ぶ | 置き場所を自社の方針で決められる。サーバーの管理は自分たちで行う |
| EmDashに対応したホスティング | ホスティング会社が環境を用意する | 環境づくりを任せられる。対応の範囲は各社で異なる |
Node.js(サーバーでJavaScriptを動かす仕組み)で動かす場合は、Node.js v22.23.4以上が必要です(2026年11月5日時点・EmDash公式ドキュメント)。
本番ではプログラムを常に動かし続ける必要があります。
データベースにSQLiteを使う場合は、再起動してもデータが消えないディスクも求められます。
サーバーそのものの役割は、サーバーとはで解説しています。
プラグインを隔離して動かす仕組み(条件つき)

EmDashの大きな特徴が、プラグイン(機能を追加する部品)の扱い方です。
WordPressのプラグインはサイト全体のデータに触れられるため、1つのプラグインの不具合や弱点が、サイト全体に影響することがあります。
EmDashには、プラグインを1つずつ隔離された環境で動かし、プラグインが宣言してサイトの管理者が許可した範囲のことしかできないようにする仕組みがあります。
ただし、すべてのプラグインが隔離されるわけではありません。
公式のドキュメントでは、プラグインの形式を次の2つに分けています。
- 隔離して動かす形式(サンドボックス型): 管理画面から公式の登録先(レジストリ)を通じて入れる。許可した範囲でのみ動く
- ネイティブ型: サイトのプログラムに直接組み込む。サイトと同じ権限を持ち、隔離されない
さらに、隔離して動かすには、動かす場所ごとの準備が要ります。
Cloudflareでは Workers の有料プランと設定が、Node.jsでは workerd(Cloudflareが公開している実行環境)が必要です。
準備がない場合、隔離して動かす形式のプラグインは読み込まれません。
なお、公式の登録先に並ぶプラグインは、現時点では無料のものだけです(2026年11月5日時点)。
AIエージェントから操作できる

EmDashは、AIエージェント(指示を受けて作業を進めるAI)に作業を任せる使い方を前提に作られています。
どのサイトにも、MCPサーバー(AIが外部のサービスを操作するための共通の窓口)が初期状態で用意されており、AIから記事の作成や編集などを行えます。
AIにEmDashの扱い方を教える「Agent Skills」や、コマンドで操作するCLIも公開されています。
AIに任せる範囲は、ユーザーの役割で制限できます。
役割はAdmin(管理者)・Editor(編集者)・Author(投稿者)・Contributor(寄稿者)の4つで、Contributorは記事を公開できません。
AIをContributorの権限で接続すれば、公開の判断を人に残せます。
WordPressから記事を移す機能

EmDashには、WordPressの記事を取り込む機能があります。
方法は次の2つです。
- WordPressの書き出しファイル(WXR形式)を読み込む
- WordPress側に専用のプラグイン「EmDash Exporter」を入れて連携する
記事・固定ページ・カテゴリー・タグ・画像などは移せますが、WordPressのテーマ(デザイン)やプラグインは、そのままでは動きません。
デザインと独自の機能は、作り直しが前提です。
主な機能の一覧
ブログや企業サイトの運営に使う基本の機能は、一通りそろっています(2026年11月5日時点)。
| 分類 | 主な機能 |
|---|---|
| 記事・ページ | 記事・固定ページ、独自のコンテンツの種類(コレクション)、下書き・予約公開・変更履歴、プレビュー |
| 整理 | カテゴリー・タグ、メニュー、ウィジェット |
| 画像 | メディアライブラリ |
| 集客 | SEO(検索エンジン最適化)の基本機能、多言語のサイト |
| 拡張 | プラグイン、フォーム(公式のプラグイン)、コンテンツの有料公開(x402) |
| 運用 | ユーザーと役割、AIとの連携(MCP)、バックアップの書き出し |
EmDashとWordPressの主な違い
EmDashとWordPressは、どちらも管理画面から更新できるCMSですが、作られている技術と、手間がかかる場所が違います。
ここでは違いの要点を紹介します。
どちらが優れているという比較ではなく、サイトの目的と、更新・保守する体制に合うかで考えることが大切です。
6つの項目で比べる

WordPressは、世界中で長く使われてきたCMSです(WordPressとは)。
主な違いを表にまとめました(2026年11月5日時点)。
| 項目 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 作られている技術 | PHP | TypeScript・Astro |
| 動かす場所 | 一般的なレンタルサーバー、クラウドなど | Cloudflare、Node.jsが動くサーバー |
| 機能の追加 | 豊富なプラグイン・テーマ | EmDash用のプラグイン。まだ数は少ない |
| WordPressの資産 | テーマ・プラグインをそのまま使える | テーマ・プラグインは使えない(記事は移せる) |
| 情報量・対応できる会社 | 非常に多い | まだ少ない |
| 保守の手がかかる場所 | 本体・テーマ・プラグイン・PHP・サーバーの更新 | 本体と関連パッケージの更新、プラグインの形式と権限、動かす場所の設定、アカウントの管理 |
弊社はWordPressの保守管理も行っており、どちらかへの乗り換えを勧める立場ではありません。
評価が分かれている点
EmDashには、期待と慎重な声の両方があります。
主な論点は次の2つです。
1つ目は、Cloudflareへの依存です。
WordPressの共同創業者であるMatt Mullenweg氏は、2026年4月2日のブログでこの点を指摘しています。
EmDashはCloudflare上で最もよく動くように作られていて、別の会社に移りにくくなる、という趣旨です。
製品の作りそのものは高く評価したうえでの指摘です。
一方で、EmDashはNode.jsのサーバーでも動き、1.0の時点では、Node.jsでもプラグインを隔離して動かせます。
2つ目は、成熟度です。
プラグインや日本語の情報はWordPressに比べてまだ少ない一方で、1.0で安定版になり、Cloudflare自身が公式ブログで使っています。
どちらを選んでも保守は残る

「WordPressは脆弱性が心配だから、EmDashにすれば安心」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、どちらのCMSでも、公開した後の保守は必要です。
違うのは、手間がかかる場所です。
WordPressでは、本体・テーマ・プラグイン・PHPの更新が中心になります。
EmDashでは、更新の頻度が高い本体と関連パッケージの更新、プラグインの形式と権限の確認、Cloudflareやサーバーの設定、アカウントの管理が中心になります。
CMSを選ぶときは、機能だけでなく、公開後に誰がこれらを担うかまで考えておくと安心です。
EmDashの料金の考え方
EmDashの本体は無料ですが、サイトを公開して運営するには、動かす場所の利用料や、制作・保守の作業の費用がかかります。
ここでは、料金の考え方と、無料プランで始めるときの注意点を紹介します。
料金は変わることがあるため、契約の前に各社の公式ページをご確認ください。
本体は無料、かかるのは動かす場所と作業

EmDashはMITライセンスのオープンソースで、商用のサイトでもライセンス料はかかりません。
費用がかかるのは、主に次の3つです。
- 動かす場所: Cloudflare Workersは無料プランから始められます。有料プランは、1アカウントあたり最低月額5米ドルです(2026年11月5日時点・Cloudflare公式の料金ページ)。Node.jsで動かす場合は、サーバーの利用料がかかります
- 独自ドメイン: 独自のドメインでサイトを公開する場合の、取得と更新の費用
- 作業: サイトの制作やWordPressからの移行、公開後の保守を依頼する場合の費用
Cloudflareの料金は米ドル建てのため、円での支払額は為替などによって変わります。
無料プランで始めるときの注意
Cloudflare Workersの無料プランは、1日10万リクエストまで使えます(2026年11月5日時点)。
無料プランのままでもサイトは公開できますが、次の2点は知っておきたいところです。
- 隔離して動かす形式のプラグイン(公式の登録先から入れるもの)は、有料プランでないと動きません
- データベースを過去の時点に戻す機能(D1のTime Travel)で戻れる期間は、無料プランで7日、有料プランで30日です
EmDashでサイトを作る流れ
ここでは、EmDashでサイトを作るときの大まかな流れを紹介します。
AIエージェントを使う場合でも、作り始める前に決めておくことや、公開前に確かめておくことは変わりません。
具体的な手順は、個別の記事で解説していきます。
作り始める前に決める3つのこと

作り始めてから変えると手間がかかるのが、次の3つです。
- 動かす場所: Cloudflare、Node.jsのサーバー、対応したホスティングのどれにするか
- アカウントの名義: Cloudflareや、コードの置き場所(GitHubなど)のアカウントを、誰の名義で作るか
- 独自ドメイン: どのドメインで公開するか(ドメインとは)
特にアカウントの名義は、後で保守を誰かに任せるときに関わります。
会社のサイトであれば、会社として管理できる名義にしておくと安心です。
AIエージェントと一緒に作る流れ
公式の手順では、次のような流れでサイトを作ります(2026年11月5日時点)。
- パソコンにNode.jsを用意し、作成のコマンド(
npm create emdash@latest)を実行する - 動かす場所と、Starterなどのテンプレート(ひな形)を選ぶ
- パソコン上でサイトを起動し、管理画面でサイト名とメールアドレスを入力して、パスキーを登録する
- デザインや記事を整え、Cloudflareやサーバーに公開する
AIエージェントを使う場合は、Agent Skillsを読み込ませ、デザインの調整やページの追加などを指示しながら進めます。
使えるAIツールは複数あり、特定のツールでなければならないわけではありません。
AIに任せた部分も、公開する前に人が確かめることが大切です。
表示の崩れ、リンク先、問い合わせフォームが届くかといった点は、実際にブラウザで操作して確かめましょう。
WordPressから移る場合
WordPressから移る場合は、記事などのデータを移す作業と、デザインや機能を作り直す作業を分けて考えます。
記事を取り込めても、サイト全体が同じように動くわけではありません。
公式のドキュメントでは、移す前に、WordPressのデータベースと画像のバックアップを取るよう案内されています。
取り込んだ後は件数や表示、リンクを確かめ、確認が終わるまでWordPressのサイトを残しておく流れです。
URLが変わるページがある場合は、古いURLから新しいURLへの転送(リダイレクト)の準備も必要です。
公開前に確かめておきたいこと
公開する前に、次の3点を確かめておくと、後の保守が楽になります。
- 作成時に作られる暗号化キー(
EMDASH_ENCRYPTION_KEY)を、安全な場所にバックアップする。キーがないと、プラグインの設定に保存した秘密の情報を読み出せなくなります - メールの送信を設定し、できれば管理者を2人以上にしておく(パスキーをなくしたときの備え。後述)
- Cloudflare・GitHub・ドメインの各アカウントの名義と、ログインできる人を一覧にしておく
EmDashサイトを公開した後に残る作業と、誰が担うか
EmDashにしたからといって、保守がいらなくなるわけではありません。
サーバーの機器の管理が減る構成はあっても、更新やバックアップ、プラグインやアカウントの管理は、サイトを運営する側に残ります。
ここでは、公開した後に必要になる主な作業と、それを誰が担うかを整理します。
アップデート:更新の前に作業指示書を読む
EmDashは更新の頻度が高く、新しい版に追いつく作業が保守の中心になります。
公式の更新の道具は upgrade-emdash です。
パッケージを更新したうえで、サイトごとに必要な対応をまとめた作業指示書(.emdash/UPGRADE.md)を作ります。
サイトの設定ファイルやテンプレートまでは書き換えないため、指示書を読んで必要な対応をするのは、サイトを運営する側の仕事です。
注意したいのが、データベースの作りの変更(移行)です。
初期の設定では、新しい版でデータベースの作りが変わる場合、その変更は公開後の最初のアクセスで適用されます。
公式のドキュメントでは、古い版のパッケージに戻しても、この変更は元に戻らないと説明されています。
古い版のプログラムが変更後のデータベースを扱えない場合は、更新前のデータベースとプログラムを一緒に復元します。
そのため、データベースが変わる更新の前には、復元できるバックアップを取っておくことが求められます。
バックアップ:データベース・画像・暗号化キーを別々に残す

EmDashのバックアップで誤解しやすいのが、管理画面の「バックアップ」の機能です。
管理画面から書き出せるJSON形式のバックアップは、内容の確認には使えます。
しかし公式のドキュメントでは、この形式からサイトを復元する機能はないと説明されています。
復元できるバックアップにするには、次の3つを別々に残します。
| 残すもの | 主な方法(Cloudflareの場合) |
|---|---|
| データベース | D1のTime Travel(過去の時点に戻す機能)。長く残すなら、別の場所にデータを書き出す |
| 画像などのファイル | R2の中身を、別の場所にコピーする |
| 暗号化キー | 秘密の情報を管理する仕組みに、別に保管する |
Node.jsのサーバーで、データベースにSQLiteを使い、画像をサーバー内に保存している場合は、データベースのファイルと画像のフォルダの両方をバックアップします。
どの方法でも、別の環境に実際に戻してみて、復元できることを確かめておくと安心です。
プラグイン:入れる前に形式と権限を確かめる
プラグインを入れるときは、まず隔離して動かす形式か、ネイティブ型かを確かめます。
ネイティブ型はサイトと同じ権限を持つため、信頼できる作り手のものかを慎重に見る必要があります。
隔離して動かす形式でも、許可した権限の範囲では自由に動きます。
入れるときに表示される権限を読み、必要以上の権限を求めていないかを確かめましょう。
また、隔離の仕組みが動いていないと、プラグインそのものが読み込まれません。
更新した後は、プラグインが動いているかもあわせて確かめます。
アカウントとログイン:名義・権限・パスキーへの備え

EmDashのサイトは、Cloudflare(またはサーバー)、コードの置き場所、ドメインなど、複数のアカウントの上で動いています。
アカウントの名義(契約者)と、操作できる権限を持つ人は、分けて一覧にしておきましょう。
名義も権限も制作した人だけが持っていると、担当が変わったときに設定を変えられなくなることがあります。
ログインに使うパスキーにも備えが要ります。
公式のドキュメントによると、パスキーはドメインに紐づくため、別のドメインでは使えません。
パスキーをなくしたときは、ほかの管理者から復旧用のリンクを送ってもらう方法が案内されていますが、これにはメールの送信の設定が必要です。
管理者が1人だけで、メールも設定していない場合は、データベースから認証を作り直す作業が必要になります。
AIで作ったサイトで気をつけたいこと
AIエージェントで作ったサイトでは、作った本人がコードの中身を把握しきれていない場合があります。
不具合が起きたときや、更新の作業指示書に対応するときに、どこを直せばよいか分からなくなりがちです。
また、秘密の情報の扱いも確かめましょう。
AIに渡したAPIトークン(サービスを操作するための鍵)や暗号化キーが、コードの中や公開されている置き場所に残っていないかを見ておきます。
AIをMCPで接続するときは、許可の画面ですべての権限が最初から選ばれているため、必要のない権限を外してから許可します。
保守を誰が行うか:3つの選択肢
ここまでの作業を誰が担うかには、大きく3つの選択肢があります。
どれが正解ということはなく、サイトの重要度と、社内で使える時間や知識で選びます。
| 担い手 | 合いやすい場合 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 自分で(AIを使って) | 試しに作ったサイト、更新の頻度が低いサイト | 作業指示書への対応や、復元の作業も自分で行う |
| 作った人・制作会社 | 制作から同じ人に任せたい場合 | 保守の範囲と、アカウントの名義を契約で確かめる |
| 保守を行う会社 | 社内に詳しい人がいない場合 | EmDashに対応しているかを確かめる |
2026年11月時点では、EmDashに対応した保守や運用を受け付ける事業者も見られます。
ホームページの保守管理そのものの考え方(何をするのか、なぜ必要か)は、ホームページの保守管理とはで整理しています。
業種別に見る、作る前・作った後の確認ポイント

EmDashで確かめておきたいことは、業種によって少しずつ違います。
ここでは5つの業種を例に、作る前と作った後に確かめたい点を紹介します。
向き・不向きを決めるものではなく、検討するときの観点としてご覧ください。
士業(税理士・社労士・司法書士など)
お知らせやコラムの更新が中心で、必要な機能が比較的少ない業種です。
その分、誰が記事を書き、誰が公開するかを決めておくことが大切です。
AIに下書きを任せる場合は、公開できない役割(Contributor)で接続し、事務所の方が確認してから公開する流れにできます。
飲食・小売
予約やネット販売、SNSの投稿の埋め込みなど、外部のサービスと連携する機能が多くなりがちです。
WordPressのプラグインはEmDashでは使えないため、必要な機能にEmDash用のプラグインがあるか、作る必要があるかを先に確かめます。
医療・整骨院
問い合わせや予約のフォームを置く場合は、送られた内容がどこに保存されるかを確かめておきます。
また、掲載できる表現には業界ごとのルールがあるため、判断に迷う内容は所管の窓口や専門家にご確認ください。
工務店・不動産
施工事例や物件の写真が多く、画像の保存容量が増えやすい業種です。
CloudflareのR2の無料枠は、保存容量で10GBまでです(月あたり・2026年11月5日時点)。
写真の量と、超えた場合の費用を見積もっておきます。
団体・組合
役員や担当者が持ち回りで更新する場合は、担当が変わるたびに、ユーザーの追加と削除、パスキーの登録が必要です。
引き継ぎの手順を決め、メールの送信を設定したうえで管理者を常に2人以上にしておくと、ログインできなくなる事態を避けやすくなります。
EmDashのよくある質問
EmDashを検討するときに出てきやすい疑問に、公式の情報をもとにお答えします。
日本語で使えるか、無料で使えるか、国内のサーバーで動くかといった点です。
料金や対応の環境は変わることがあるため、記載の時点もあわせてご確認ください。
Q: EmDashの管理画面は日本語で使えますか?
使えます。
管理画面の翻訳の状況を公開しているページでは、2026年11月5日時点で、3,620項目のうち3,611項目が日本語に翻訳されています。
表示する言語は、管理画面の設定やログイン画面で選べます。
ただし、公式のドキュメントや解説の情報は英語が中心です。
Q: WordPressのテーマやプラグインは使えますか?
そのままでは使えません。
WordPressの記事や画像はEmDashに取り込めますが、テーマとプラグインは、EmDashの仕組みに合わせて作り直す必要があります。
Q: EmDashは無料で使えますか?
本体は無料です。
Cloudflare Workersの無料プランでもサイトを公開できます。
ただし、隔離して動かす形式のプラグインを使うには、有料プラン(1アカウントあたり最低月額5米ドル・2026年11月5日時点)が必要です。
独自ドメインや、制作・保守を依頼する場合の費用は別にかかります。
Q: 国内のレンタルサーバーで動きますか?
EmDashの公式ドキュメントでは、動かす場所として、Cloudflareと、Node.jsが動くホスティング・VPSが案内されています(2026年11月5日時点)。
Node.jsで動かす場合は、プログラムを常に動かし続けられることが条件です。
データベースにSQLiteを使うなら、データが消えないディスクも必要です。
一般的な共用のレンタルサーバーで動くかどうかは、公式のドキュメントでは触れられておらず、サーバー会社の仕様によります。
契約中のサーバー会社の公式情報で、Node.jsのアプリを常に動かせるかをご確認ください。
Q: EmDashにすれば、保守はいりませんか?
いいえ。
プラグインを隔離する仕組みはありますが、本体の更新、バックアップ、プラグインの権限の確認、アカウントの管理は、どの動かし方でも必要です。
詳しくは、この記事の「EmDashサイトを公開した後に残る作業と、誰が担うか」をご覧ください。
まとめ

EmDashは、CloudflareがWordPressの考え方を引き継いで作った、新しいオープンソースのCMSです。
新しい技術で作られている分、作る前に決めることと、公開した後に続ける作業があります。
この記事の要点を振り返ります。
- 2026年9月28日に1.0、10月29日に1.4.0が公開され、更新の頻度が高い(2026年11月5日時点)
- CloudflareでもNode.jsのサーバーでも動き、プラグインを隔離して動かす仕組みがある。ただし隔離には条件がある
- WordPressのテーマ・プラグインは使えず、移る場合は作り直しが前提
- 本体は無料。かかるのは、動かす場所の利用料と、制作・保守の作業の費用
- 公開した後も、更新・バックアップ・プラグイン・アカウントの管理は残る
EmDashを選ぶかどうかは、機能だけでなく、公開した後に誰が保守を担うかまで含めて考えると、後で困りにくくなります。
ホームページ制作・保守管理のご相談は、株式会社リヒトスまでお気軽にお問い合わせください。

