クリニックの開業準備や日々の診療と並行して、ホームページ制作の依頼先を探すのは簡単ではありません。見積もりを取ってみると、同じクリニックのホームページでも、金額や含まれる作業が会社ごとに大きく違います。何を基準に比べればよいのか、迷われる院長先生や事務長の方は少なくありません。
この記事では、クリニックのホームページ制作を依頼する前に知っておきたいことを、4つの観点で整理します。依頼先の種類、確認したいこと、費用、開業から逆算した流れです。リニューアルの場合の注意点や、医療広告等ガイドラインを制作の工程でどう確認するかもあわせて解説します。
診療時間の見せ方や医師紹介など、ホームページに載せる内容そのものは、クリニックのホームページに必要な7つのポイントでご紹介しています。
クリニックのホームページ制作を依頼できる先と、それぞれの特徴
クリニックのホームページ制作の依頼先は、大きく4つに分かれます。医療機関専門の制作会社、業種を問わない制作会社、テンプレート型・月額制のサービス、自分で作る方法です。費用だけでなく、任せられる範囲や公開後の体制がそれぞれ違うため、まず全体像をつかんでおくと比べやすくなります。
医療機関専門の制作会社
診療所や病院のホームページを中心に手がけている制作会社です。診療科ごとの情報の見せ方に慣れており、取材による原稿作成やプロの撮影がプランに含まれていることもあります。
医療に関する広告のルールに沿って表現を確認する体制を整えている会社も多く、制作中の院長の負担を減らしやすい点が強みです。一方で、パッケージ化されている分、プランの範囲を超える変更に制約があったり、費用が高めになったりする場合があります。
業種を問わない制作会社
地域の制作会社など、さまざまな業種のホームページを手がけている会社です。打ち合わせに来てもらいやすい、公開後の修正や保守の相談がしやすいといった、距離の近さが選ばれる理由になることがあります。
ただし、医療機関の制作実績や、広告のルールを確認する体制は会社によって差があります。依頼を検討する場合は、次の章でご紹介する確認事項を、医療専門の会社以上に丁寧に確かめてください。なお、弊社リヒトスもこの種類の制作会社です。
テンプレート型・月額制のサービス
あらかじめ用意されたデザインや文章のひな形を使い、初期費用を抑えて短期間で公開できるサービスです。医療機関向けに、診療科ごとのひな形を用意しているものもあります。
確認しておきたいのは、最低契約期間と、解約したときにホームページやドメインを引き継げるかどうかです。月額料金に何が含まれ、原稿や写真をどちらが用意するのかも、申し込む前に確かめておくと安心です。
自分で作る
ホームページ作成サービスを使えば、院長やスタッフが自分でサイトを作ることもできます。費用を最も小さく抑えられる方法で、開業直後は最低限の情報だけを載せる、という使い方も考えられます。
その代わり、原稿の作成や広告表現の確認、掲載情報の更新は院内で進めることになります。システムの更新や安全対策をどこまで院内で担うかは、利用するサービスによって異なります。
サービスの側で、システムの脆弱性への対応や不審な動きの監視を行っているものもあります。その場合も、ログイン情報の管理や、スタッフごとの編集権限の設定は院内で行います。開業準備と診療の合間に続けられるかどうかを基準に判断してください。
(出典:Wix ヘルプセンター「Wix セキュリティ対策の概要」、Studio「Studioのセキュリティ対策」。いずれも2026年10月14日確認)
4つの依頼先の違いを、表にまとめます。
| 依頼先 | 主に得意なこと | 注意したい点 | 向いている医院 |
|---|---|---|---|
| 医療機関専門の制作会社 | 診療科に合わせた構成、原稿・撮影込みの制作、表現の確認体制 | 費用が高めになりやすい。プラン外の変更に制約がある場合もある | 準備の手間を減らしたい、診療内容を詳しく伝えたい |
| 業種を問わない制作会社 | 打ち合わせや保守の相談のしやすさ、要望に合わせた設計 | 医療の実績と表現の確認体制は会社によって違う | 近くで相談しながら進めたい、公開後も同じ窓口に頼みたい |
| テンプレート型・月額制のサービス | 初期費用を抑えた短期間の公開 | 最低契約期間、解約時の引き継ぎ、原稿を誰が用意するか | 開業時の費用を抑えたい、まずは基本の情報だけ載せたい |
| 自分で作る | 費用を最小限にできる | 原稿・表現の確認・更新は院内で担う。安全対策の分担はサービスによって違う | 院内にWebの操作に慣れた方がいる |
※並び順は、制作を外部に任せる範囲が広い順です。どの依頼先が合うかは、医院の方針や院内の体制によって変わります。
依頼先を選ぶ前に確認したい6つのこと
どの種類の依頼先を選ぶ場合でも、見積もりを取る前に確かめておきたいことがあります。次の6つを各社に同じように聞いておくと、提案や金額を同じ物差しで比べられます。公開後になって「その作業は対象外です」と言われる事態も防ぎやすくなります。
1. 医療広告等ガイドラインを、どの工程で誰が確認するか
クリニックのホームページは、医療に関する広告のルールの対象です。原稿を書く段階、デザインに文字を入れる段階、公開の前のどこで、誰が表現を確認するのかを聞いておきましょう。
「ガイドラインに対応しています」という説明だけでは、確認の中身が分かりません。具体的な確認の進め方は、このあとの「医療広告等ガイドラインは、制作の工程で確認する」の章でご紹介します。
2. 原稿と写真を、どこまで任せられるか
原稿を制作会社が取材して書くのか、院長が書いたものを整えるのかで、院長の手間も費用も大きく変わります。診療内容の説明は院長の確認が欠かせないため、確認にかかる時間も見込んでおきます。
写真も同じです。プロの撮影がプランに含まれるのか、別料金なのかを確かめてください。新規開業の場合、院内の写真は内装工事が終わるまで撮れないため、撮影の時期も一緒に相談しておくと進めやすくなります。
3. Web予約・Web問診とつなげられるか
Web予約やWeb問診のシステムを使う予定がある場合は、ホームページとのつなぎ方を確認します。予約ページへのリンクを置くだけなのか、ページの中に予約の入口を組み込むのかで、作業の内容が変わるためです。
導入するシステムが決まっている場合は、その名前を制作会社に伝えておきましょう。電話予約と併用する場合は、どちらを先に案内するかも決めておくと、患者さんが迷いにくくなります。
4. 院内で更新できる範囲と、更新の頼み方
臨時休診のお知らせや診療時間の変更は、すぐに反映したい情報です。院内のスタッフで更新できる仕組みにするのか、そのつど制作会社に頼むのかを決めておきましょう。
院内で更新する場合は、CMS(コンテンツ管理システム。専門知識がなくてもページを更新できる仕組み)で作るのが一般的です。CMSにはWordPress、Wix、Studioなど複数の選択肢があり、操作のしやすさや自由度が異なります。スタッフが触れる範囲や、操作の説明を受けられるかもあわせて確認してください。
5. ドメイン・サーバーの名義と、契約が終わったときの扱い
ドメインは、○○.jpのような、ホームページの住所にあたるものです。サーバーは、ホームページを公開するためのコンピューターを指します。どちらも、誰の名義で契約するかを制作の段階で決めておきましょう。制作会社の名義のままだと、依頼先を変えたいときや連絡が取れなくなったときに、手続きが難しくなることがあります。
医院または院長の名義で取得し、管理画面のログイン情報を院内でも保管しておくと安心です。月額制のサービスでは、解約後にドメインを持ち出せるかも確認してください。ドメインを取得するときの注意点は、知らないと怖い「ドメイン」の5つの注意点で解説しています。
6. 公開後の保守管理の内容と費用
ホームページは、公開したあとも、システムの更新やバックアップ、不具合への対応が必要です。制作費とは別に、公開後の保守管理に何が含まれ、毎月いくらかかるのかを確かめておきましょう。
保守管理で行う作業の全体像は、ホームページの保守管理とはで整理しています。
クリニックのホームページ制作の費用
クリニックのホームページ制作の費用は、最初に支払う「初期費用」と、公開後に続けてかかる「月額費用」に分けて考えると整理しやすくなります。総額の大小だけで比べるのではなく、何によって金額が増減するのかを知っておくと、見積もりの違いが読み取れるようになります。
初期費用と月額費用を分けて考える
初期費用は、ホームページを作るためにかかる費用です。ページの構成を考える設計、デザイン、ページを組み上げる作業、原稿の作成や写真の撮影などが含まれます。
月額費用は、公開したあとに続けてかかる費用です。サーバーやドメインの利用料、保守管理、更新作業の代行などがこれにあたります。サーバー代やドメイン代を保守管理の料金に含めている会社と、別に請求する会社があるため、内訳を確認してください。
月額の保守費用の相場や、含まれる作業と含まれない作業は、ホームページの保守費用は妥当?相場と含まれない作業を解説でご紹介しています。
費用を左右する5つの要素
同じクリニックのホームページでも、次の5つの要素によって費用は大きく変わります。
- ページ数:診療内容ごとにページを分けるほど、ページ数が増えて費用も上がります。
- 原稿・取材:制作会社が取材して原稿を書く場合は、その分の費用がかかります。
- 撮影:プロのカメラマンによる院内や医師の撮影は、別料金になることが多い項目です。
- 予約・問診との連携:Web予約やWeb問診をページに組み込む場合は、設定の作業が加わります。
- 自由診療・採用のページ:自由診療を載せる場合は、料金やリスクなどの説明が必要になり、原稿が増えます。スタッフ採用のページを作る場合も、ページと原稿が増えます。
金額の差が大きい見積もりを並べてみると、原稿や撮影を含むかどうかで差がついていることがよくあります。
相場の目安と、見積もりの比べ方
相場の一例として、制作会社の紹介サービスを運営するWeb幹事は、病院・クリニックのホームページの発注金額を公表しています。平均は100.3万円、中央値は71.0万円です(同社記事の更新日は2026年10月13日、2026年10月14日確認)。同社経由の「企業サイト(ホームページ)」の契約金額データ(2023年7月〜2026年6月)をもとにした数字です。集計した件数は示されていません。
実際の見積もりは、ページ数や原稿・撮影の有無で大きく変わります。複数の会社に依頼する場合は、ページ数、原稿と写真をどちらが用意するか、公開後の保守を含むかといった前提をそろえてください。前提がそろっていれば、金額の差がどこから来ているのかを読み取りやすくなります。
弊社の制作費用と保守管理の料金は、料金ページに掲載しています。
開業に間に合わせる制作の流れとスケジュール
新規開業の場合、ホームページは開業日から逆算して準備を進めます。電話番号や診療時間、院内の写真のように、開業が近づかないと決まらない情報があるため、その前提で段取りを組んでおくことが大切です。ここでは、時期ごとにやることの目安をご紹介します。
開業の6か月前ごろ|依頼先を選び、ドメインを決める
ホームページの準備は、開業の半年前ごろから動き出すと、余裕を持って進めやすくなります。医療機関専門の制作会社の中には、開業予定日まで6か月以上ある相談を、受付の目安としている会社もあります。依頼が混み合っていることによる措置として案内されているもので、2026年10月時点で弊社が確認した例です。
この時期に依頼先の候補を比べて決め、誰に向けたサイトにするか、何ページ程度にするかといった方向性を相談します。医院の名称が決まっていれば、ドメインもこの時期に取得しておくと、名刺や診察券の準備に間に合います。
開業の4〜3か月前ごろ|構成・デザイン・原稿を固める
ページの構成とデザインを決め、原稿づくりを進める時期です。診療方針や医師の略歴、診療内容の説明など、院長にしか書けない部分が多いため、確認の時間を確保しておきましょう。
院内の写真は、内装工事が終わるまで撮影できません。この時期は仮の画像でデザインを進め、内装の完成後に撮影して差し替える進め方がよく取られます。外観や医師の写真など、先に撮れるものから撮影しておく方法もあります。
開業の2〜1か月前ごろ|確定した情報を入れ、表現を確認する
電話番号、診療時間、予約の方法、自由診療の料金など、開業の準備の中で確定した情報をホームページに反映します。あわせて、原稿全体を広告のルールに照らして確認し、公開前の最終チェックを行います。
地図検索での表示に関わるGoogleビジネスプロフィールも、この時期の準備に組み込めます。Googleの公式ヘルプによると、開業前でもプロフィールを作成して開業予定日を設定できます。オーナー確認を済ませると、開業日の90日前からGoogleに表示されます(2026年10月14日確認)。
ホームページの公開時期とあわせて準備しておくと、開業前から医院の情報を届けやすくなります。
(出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「開業日を追加する」、2026年10月14日確認)
開業前後|内覧会の告知と、公開後の更新を見込んでおく
内覧会を行う場合は、ホームページでの告知を開業前に始めます。開業後は、実際の運営に合わせて診療時間や受付の方法を見直すことも少なくありません。
公開した時点で完成とは考えず、開業後の数か月で手直しが入る前提で、更新を誰がどう行うかを決めておきましょう。
時期ごとの目安を表にまとめます。
| 時期 | 主にやること | この時期に決まる主な情報 |
|---|---|---|
| 6か月前ごろ | 依頼先の比較と決定、方向性の相談、ドメインの取得 | 医院名、主な患者さんの層、ページ数の目安 |
| 4〜3か月前ごろ | 構成・デザイン・原稿づくり、先に撮れる写真の撮影 | 診療方針、医師の略歴、診療内容の説明 |
| 2〜1か月前ごろ | 確定した情報の反映、表現の確認、Googleビジネスプロフィールの準備 | 電話番号、診療時間、予約の方法、料金 |
| 開業前後 | 院内写真の差し替え、内覧会の告知、公開 | 院内の写真、受付の流れ |
※期間は目安です。制作会社の受付状況やページ数によって前後します。
弊社でのホームページ制作の流れは、ホームページ制作のページでご紹介しています。
リニューアルで追加して確認すること
すでにホームページがある病院やクリニックのリニューアルでは、新規の制作にはない確認事項があります。今のサイトが積み上げてきた検索での評価や、前の制作会社との契約を引き継ぐためです。ここでは要点だけを整理し、詳しい手順は関連する記事でご紹介します。
今のサイトで見られているページを残す
リニューアルの前に、今のサイトでどのページがよく見られているかを確認しておきましょう。確認には、アクセス解析や、検索結果での表示状況が分かるGoogleの無料サービス「Google Search Console」を使います。症状や検査の説明など、検索から患者さんが訪れているページは、リニューアル後も残す価値があります。
ページのURL(ページの住所)を変える場合は、古いURLから新しいURLへ自動で案内する設定(リダイレクト)が必要です。具体的な手順は、ホームページの引き継ぎ|リニューアルで移管する6つの手順で解説しています。
ドメインと、前の制作会社との契約を確かめる
今のドメインの名義が誰になっているか、管理画面のログイン情報を医院で把握しているかを確認します。前の制作会社との契約に、解約の条件やデータの引き渡しについての取り決めがあるかも確かめておきましょう。
ドメインをそのまま使うかどうかの判断は、ホームページのリニューアルでドメインはそのまま?をご覧ください。管理を別の会社に移す場合の進め方は、ホームページの管理会社を変更する方法でご紹介しています。
古い表現を、今のガイドラインに照らして見直す
医療機関のWebサイトが広告の規制の対象になったのは、2018年(平成30年)6月1日に改正医療法が施行されてからです。
それより前に作ったページや、長く手を入れていないページには、今のルールに合わない表現が残っていることがあります。リニューアルは、こうした表現をまとめて見直すよい機会です。
リニューアル全体の進め方や費用、注意点は、ホームページのリニューアルとはで整理しています。
医療広告等ガイドラインは、制作の工程で確認する
2018年(平成30年)6月1日に施行された改正医療法により、医療機関のWebサイトも、チラシや看板と同じく広告の規制の対象になりました。厚生労働省の指針は2026年(令和8年)3月30日に最終改正され、名称は「医療広告等ガイドライン」です。同じ日には、Webサイトなどの事例を集めた事例解説書(第6版)も公表されました。
(出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」令和8年3月30日最終改正、「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)について」令和8年3月30日。いずれも2026年10月14日確認)
主に確認する項目
ガイドラインでは、主に次のような広告が禁止されています。
- 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
- 他の病院や診療所と比べて優れていることを示す広告(比較優良広告)
- 事実を不当に誇張した広告(誇大広告)
- 公序良俗に反する内容の広告
- 広告できるとされた事項以外の広告
- 患者さんなどの主観に基づく、治療の内容や効果に関する体験談
- 治療の内容や効果について誤認させるおそれがある、治療の前後の写真
なお、患者さんが自ら求めて見るWebサイトで、問い合わせ先を示すなどの条件を満たすと、広告できる範囲を広げられます(限定解除)。自由診療を載せる場合は、通常必要な治療の内容や費用、主なリスクや副作用などの情報も条件に含まれます。ただし、限定解除によって広告できる事項が広がっても、虚偽や誇大な表現、体験談などの禁止は変わりません。
各項目の詳しい内容は、クリニックのホームページに必要な7つのポイントの、医療広告ガイドラインの章で解説しています。
原稿の責任と、制作会社の役割
ガイドラインは、医療機関だけでなく、誰が行う広告も規制の対象になるとしています。同じ項では、広告を企画・制作する広告代理店や、広告を掲載する新聞・雑誌などの関係者にも触れています。依頼を受けた広告を掲載・放送する際は、内容が法や指針に違反していないか十分留意する必要があると述べています。違反等があった場合は、広告依頼者とともに指導等の対象となり得るとされています。
ホームページでも、何を載せるかを最終的に判断するのは医療機関です。そのうえで、制作会社が原稿やデザインの段階で気になる表現を拾い、院長と一緒に確かめる進め方が現実的です。たとえば、次のような流れが考えられます。
- 原稿の段階で、制作会社が気になる表現に印を付ける
- 院長が、診療内容の正確さと表現を確認する
- 公開の前に、画像の中の文字も含めてページ全体を見直す
画像に入れたキャッチコピーは、原稿の確認から漏れやすい場所です。デザインに文字を入れる段階も、確認の対象に含めてください。
弊社が制作した整骨院のホームページでも、原稿を一文ずつ読み、規制に触れるおそれがある箇所だけを書き換える方針で進めました。なお、整骨院には柔道整復師の施術所としての広告のルールがかかり、医療広告等ガイドラインとは対象が異なります。進め方の詳細は、株式会社エンジョイライフ様(西院整骨院様)の制作実績でご紹介しています。
判断に迷ったときの相談先
表現の可否で迷ったときは、医療機関を所管する自治体の医療広告の相談窓口に相談できます。窓口の一覧は、厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページで案内されています(2026年10月14日確認)。
個別の表現が適切かどうかは、所管の窓口や専門家にご確認ください。
見やすいホームページを依頼するための伝え方
「見やすいホームページにしたい」「おしゃれな雰囲気にしたい」という要望は、人によって思い浮かべているものが違います。意図が伝わらないまま進むと、仕上がってから「思っていたものと違う」となりかねません。ここでは、見やすさを具体的に伝えるための工夫をご紹介します。
先に、来院する人と使われ方を伝える
デザインの好みより先に、どんな患者さんが、どんな場面でホームページを見るのかを伝えましょう。高齢の方が多いなら文字の大きさが、保護者の方が多いなら予約や持ち物の分かりやすさが、見やすさの中心になります。
体調が悪いときに、スマートフォンで急いで調べる方も少なくありません。診療時間、アクセス、予約の方法に、すぐたどり着けることが大切です。
参考サイトは「どこが良いか」を添えて渡す
参考にしたいホームページを伝える際は、どこを参考にしたいのかも一緒に伝えると、意図が正確に伝わります。色合い、写真の使い方、文字の大きさ、メニューの分かりやすさなど、気に入った点は人によって違うからです。
他院のサイトを参考にする場合も、自院の診療内容や患者さんの層に合うかどうかを考えてから選ぶと、仕上がりがぶれにくくなります。
公開前に、スマートフォンで確かめたい4つのこと
公開前の確認は、パソコンだけでなく、実際にスマートフォンで行います。次の4つを、院長やスタッフの方が自分の手で試してみてください。
- 診療時間・アクセス・予約・電話番号に、トップページから迷わずたどり着けるか
- 文字が小さすぎず、拡大しなくても読めるか
- 写真が多いページでも、表示が遅くないか
- 文字と背景の色の差がはっきりしていて、読みやすいか
診療科ごとに変わる重点
クリニックのホームページで重視したい点は、診療科によっても変わります。ここでは代表的な診療科ごとに、制作の段階で意識しておきたい点をご紹介します。掲載できる表現には分野ごとのルールがあるため、判断に迷う内容は所管の窓口や専門家にご確認ください。
内科・小児科
発熱やかぜの症状などで、急いで受診先を探す方が多い診療科です。診療時間や予約の方法、発熱時の受診の仕方を、トップページから分かりやすく案内する構成が向いています。発熱外来の時間帯や臨時休診など、変わりやすい情報が多いため、院内で更新できる範囲を決めておくと安心です。
小児科では、ホームページを見るのは主に保護者の方です。持ち物や受診の流れを保護者の目線でまとめておくと、安心して来院していただきやすくなります。
皮膚科・美容系の診療科
保険診療と自由診療の両方を行う場合は、どの治療が保険の対象で、どれが自由診療かを分けて示すことが大切です。自由診療を載せる場合は、限定解除の条件として、料金に加えて治療の期間や回数、主なリスクや副作用も説明します。その分、原稿が多くなります。
美容系の診療科では、治療の前後の写真の扱いにも注意が必要です。依頼の段階で、写真を載せるかどうかと、その説明の書き方を相談しておきましょう。
整形外科・リハビリテーション科
腰や膝の痛みなど、症状から受診先を探す方が多い分野です。症状ごとに説明のページを分けると、自分の悩みに合った情報にたどり着きやすくなります。ページを分けるとページ数が増えるため、見積もりの段階で、作りたいページの一覧を伝えておきましょう。
リハビリを行う場合は、通院の頻度や1回の流れを載せておくと、通い方を想像しやすくなります。
心療内科・精神科
受診をためらう方も多いため、初診の流れや予約の方法を丁寧に案内することが大切です。待合室での配慮やプライバシーの扱いなど、来院前の不安を和らげる情報も役立ちます。
記事を継続して載せる場合は、院内で書くのか、制作会社に原稿を頼むのかも、依頼の時点で相談しておきます。記事コンテンツの考え方は、メンタルクリニックのホームページで集患できる記事コンテンツの作り方でご紹介しています。
歯科
歯科医院では、保険診療と自費診療の説明の分け方や、治療の流れの見せ方に、歯科ならではの工夫が求められます。詳しくは、歯科医院のホームページ制作のポイントをご覧ください。
クリニックのホームページの事例
ここでは、弊社がホームページの制作や保守管理に携わった医院の例を2つご紹介します。1つは制作からお手伝いした医院、もう1つは保守管理をお引き受けしている医院です。どちらも、公開後の運用まで見据えて準備しておくことの大切さが分かる例です。
各部署でスタッフブログを更新している医院
京都府宇治市の医療法人社団 神野医院様では、各部署でスタッフブログを活用したいというご要望を受けて、ホームページを制作しました。院内の複数の部署が情報を発信することを前提にした例です。
院内で発信を続ける場合は、誰がどの範囲を更新するのかを、依頼の時点で決めておくと進めやすくなります。医療法人社団 神野医院様の制作実績もあわせてご覧ください。ブログに何を書くかについては、クリニックのブログは何を書く?でご紹介しています。
前の保守管理先が閉鎖し、更新できなくなった医院
大阪府枚方市のI医院様は、弊社が保守管理をお引き受けしている医院です。ご依頼いただく前のお悩みを伺ったところ、次のようにお答えいただきました。
依頼していた保守管理先が突然の事情で閉鎖となり、ホームページの更新できなくなりました。
制作会社や保守管理の依頼先が、いつまでも同じ形で続くとは限りません。ドメインやサーバーの名義、管理画面のログイン情報を医院の側で把握しておくと、依頼先を変える必要が出たときにも引き継ぎを進めやすくなります。
確認しておきたい点は、「依頼先を選ぶ前に確認したい6つのこと」の5番目にまとめています。ご感想の全文は、I医院様のお客様の声でご覧いただけます。
よくある質問
クリニックのホームページ制作について、院長先生や事務長の方からよくいただくご質問にお答えします。依頼の前に確かめておきたい点を中心にまとめました。詳しい内容は、本文の該当する章もあわせてご覧ください。
Q: クリニックのホームページは義務ですか?
ホームページを開設することは、法律上の義務ではありません。ただし、ホームページを作る場合は、医療に関する広告のルールの対象になります。インターネットで受診先を調べる方が多いことから、開業時に用意するクリニックも多くあります。
また、自院のホームページを持つ保険医療機関には、掲載が求められる情報もあります。施設基準の届出事項など、院内に掲示する事項は、原則としてWebサイトにも掲載するものとされています。具体的な掲載事項は、厚生労働省の通知や地方厚生(支)局の案内でご確認ください。
(出典:厚生労働省 保医発0327第6号「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について、令和8年3月27日、2026年10月14日確認)
Q: 医療機関専門ではない制作会社に頼んでも大丈夫ですか?
依頼すること自体に問題はありません。大切なのは、医療機関の制作実績や、表現を確認する体制がどうなっているかです。この記事の「依頼先を選ぶ前に確認したい6つのこと」を参考に、具体的に確かめてみてください。医療専門の制作会社に依頼する場合も、確認したい点は同じです。
Q: 自分でホームページを作ることはできますか?
ホームページ作成サービスを使えば、専門知識がなくても作ることはできます。ただし、原稿の作成や表現の確認、掲載情報の更新は院内で担います。安全対策をどこまで任せられるかは、利用するサービスによって異なります。開業準備と診療の合間に続けられるかどうかを目安に判断してください。
Q: 公開後の月額費用は、どのくらいかかりますか?
サーバーやドメインの利用料、保守管理の料金などがかかります。金額は、更新作業をどこまで任せるかによって変わります。見積もりの段階で、月額料金に含まれる作業と含まれない作業を確認しておきましょう。
Q: 今の制作会社から、別の会社に管理を移すことはできますか?
多くの場合は移すことができますが、ドメインやサーバーの名義、ログイン情報が手元にあるかどうかで進め方が変わります。まずは今の契約内容と、管理情報の所在を確認するところから始めてください。進め方は「リニューアルで追加して確認すること」の章でもご紹介しています。
まとめ
クリニックのホームページ制作は、依頼先を選ぶ段階での確認と、開業日から逆算した段取りによって、進めやすさが大きく変わります。費用の総額だけで比べず、公開後の体制まで含めて検討することが大切です。この記事の要点を整理します。
- 依頼先は4種類あり、任せられる範囲と公開後の体制がそれぞれ違います
- 見積もりの前に、表現の確認工程、原稿と写真、予約システム、院内での更新、名義、保守の6点を確かめます
- 費用は初期と月額に分けて考えます。ページ数、原稿、撮影、システムとの連携、自由診療のページで増減します
- 新規開業では半年前ごろから動き出し、確定が遅い情報を後から入れる前提で進めます
- 医療広告等ガイドライン(2026年・令和8年3月30日最終改正)は、原稿・デザイン・公開前の各工程で確認します
クリニックのホームページ制作をお考えの方は、株式会社リヒトスまでお気軽にご相談ください。



