目次
はじめに
ChatGPTやClaudeといった生成AIを使えば、専門知識がなくてもHTMLとCSSのホームページが作れる時代になりました。
実際に「思ったより簡単にサイトが完成した」という中小企業の経営者様・ご担当者様も増えています。
一方で、多くの方が見落としがちなのが「作った後」のことです。
静的サイトは仕組みがシンプルなため、「一度作れば放置でいい」と思われがちですが、実際にはそうとも言い切れません。
この記事では、AIで作った静的サイトに特有の保守の落とし穴と、最低限やっておくべき保守作業を、WEB制作・保守管理を手がける弊社リヒトスの視点で分かりやすく解説します。
AIで作ったサイトは「静的サイト」
まず前提として、ChatGPTやClaudeなどの生成AIで作ったサイトは一般的には「静的サイト」になります。
静的サイトとは
静的サイトとは、あらかじめ用意されたHTMLなどのファイルをそのまま配信するWebサイトのことです。
サーバー側でアクセスのたびにページを作り出さないため、同じURLでは原則として同じ内容が表示されます。
これに対して、WordPressのようにアクセスのたびにサーバー側でプログラムがページを生成するものを「動的サイト」と呼びます。
ChatGPTやClaudeなどの生成AIにHTML・CSSのコードを出力させ、サーバーに置いて公開したサイトは「静的サイト」になります。
専門知識がなくても短時間で形にできるのが大きな魅力です。
ここに注意‼
WixやJimdoなどの「AIホームページ作成ツール(AIビルダー)」とは別物です。
AIビルダーはツール提供会社のサーバー上で動き、システム面の管理は提供側が担います。
一方、AIに生のHTML・CSSコードを書かせて自分で公開した場合、その後の管理はすべてご自身の責任範囲になります。
「静的サイトはデータベースやプログラムを使わないため、WordPressに比べてセキュリティ上のリスクは比較的低い」とよく言われます。
これ自体は一般的に事実です。
ただし、これは「保守がいらない」という意味ではありません。
SSL証明書の期限、サーバー・ドメインの契約更新、情報の古さ、表示崩れといった問題は、静的サイトでも変わらず発生します。
実際、当社でも静的サイトを運営されているお客様から保守管理の依頼も多数お受けしています。
安全性が高いことと、放置してよいことは、別の話なのです。
AIで作った静的サイトならではの保守の落とし穴
ここからが本題です。
一般的なホームページにも共通する保守の話ではなく、「AIで作った静的サイト」だからこそ起きやすい落とし穴を5つに整理してご紹介します。
心当たりがないか、ご自身のサイトと照らし合わせながらお読みください。
【落とし穴1】コードの中身を誰も把握していない
AIが生成したコードは、出力された瞬間に動くものの、その中身を人間が理解しているとは限りません。
「とりあえず表示できたから公開した」というケースでは、どこに何が書いてあるのか分からないままになりがちです。
この状態だと、いざ修正が必要になったときに手が出せません。
担当者が変わったり退職したりすると、サイトの構造を知る人が社内に誰もいない、という事態にもつながります。
【落とし穴2】更新のたびにHTMLを直接編集する必要がある
AIが出力したHTML・CSSファイルをそのまま公開しただけの静的サイトには、通常、WordPressのような管理画面(CMS)がありません。
そのため、「お知らせを1件追加したい」「電話番号を変えたい」といった更新でも、HTMLファイルを直接書き換える必要があります。
ちょっとした文字の修正のつもりが、誤ってタグを消してしまい、レイアウトが崩れてしまう。
こうしたトラブルは、コードに不慣れな方ほど起こりやすいものです。
日常的な更新が多いサイトでは、この手間が大きな負担になります。
なお、静的サイトジェネレーターなどの仕組みを後から導入すれば、管理画面に近い更新フローを作ることも可能です。
ただし、初めからそうした構成になっていない限り、AIで作ったサイトは直接編集が基本になります。
【落とし穴3】お問い合わせフォームが単体では動かない
意外と見落とされやすいのがフォームです。
HTMLだけでフォームの見た目を作っても、静的サイトには送信内容をメールで受け取ったり保存したりする処理がないため、そのままでは問い合わせとして機能しません。
実際に問い合わせを受け取るには、外部のフォームサービスや、サーバー側のプログラム、サーバーレス関数など、送信先と処理の仕組みを別途用意する必要があります。
AIが見た目のフォームだけを作って「完成」と判断してしまい、公開後に「問い合わせが1件も来ない」と気づく、というのはよくあるパターンです。
【落とし穴4】AIが生成したコードは品質にばらつきがある
AIが書くコードは便利ですが、品質が常に一定とは限りません。
スマートフォン表示(レスポンシブ対応)が中途半端だったり、検索エンジン向けの設定(タイトルタグやメタディスクリプション)が抜けていたりすることがあります。
これらが不足すると、検索結果での見え方やクリックされやすさに悪影響が出ることがあります。
一方で、「そもそも検索結果に表示されない」という場合は、メタ情報だけが原因とは限りません。
検索エンジンに登録されない設定(noindex)になっていないか、サイトマップや内部リンクが整っているか、Google Search Consoleでの登録状況なども確認が必要です。
【落とし穴5】ドメイン・サーバー・SSLの管理は自分でやる必要がある
AIが作ってくれるのはあくまでサイトの中身(HTML・CSS)だけです。
そのサイトを公開し続けるためのドメイン(○○.com などWebサイトの住所)、サーバー(Webサイトを公開するためのコンピューター)、SSL(通信を暗号化する仕組み)の契約・更新は、別途ご自身で管理しなければなりません。
これらの更新を忘れると、ある日突然サイトが表示されなくなることもあります。
AIで作る部分が手軽になったぶん、こうした地味な管理業務が見落とされやすくなっている点には注意が必要です。
サーバーの基礎については、サーバーの基礎もあわせてご覧ください。
具体的にやるべき保守作業
落とし穴を踏まえたうえで、AIで作った静的サイトを安全に運用するために、最低限やっておきたい保守作業をまとめます。
難しい作業ばかりではないので、できるところから始めてみてください。
定期的なバックアップ
万が一サイトのファイルを壊してしまったり、サーバー側のトラブルでデータが消えたりしたときのために、HTML・CSS・画像などのファイル一式を定期的に保存しておきましょう。
静的サイトはファイルが比較的シンプルなため、フォルダごとコピーして保管しておくだけでも、いざというときの復旧が楽になります。
更新のたびにバックアップを取る習慣をつけることをおすすめします。
表示崩れ・リンク切れ・スマホ表示の定期チェック
公開時は問題なくても、ブラウザの仕様変更などで表示が崩れることがあります。
定期的にパソコンとスマートフォンの両方で表示を確認しましょう。
あわせて、リンク切れ(クリックしても開けないリンク)がないかもチェックします。
外部サイトへのリンクは、相手側のページが消えると切れてしまうため、半年に一度程度の見直しが効果的です。
SSL証明書とサーバー・ドメイン契約の維持
SSL証明書には有効期限があります。
近年は証明書の有効期間の短縮が進んでおり、業界の基準では2026年3月15日以降に発行される証明書は最長200日となりました(認証局によっては、2026年2月下旬から199日上限へ前倒しした例もあります。2026年6月時点)。
更新の頻度が上がるぶん手動では期限切れに気づきにくいため、自動更新の設定になっているかを確認しておくことが、これまで以上に重要です。
期限が切れると、ブラウザに「保護されていない通信」と警告が表示され、訪問者に不安を与えてしまいます。
サーバーとドメインの契約更新も、クレジットカードの期限切れで自動更新に失敗するケースがあるため注意が必要です。
SSLの仕組みはSSLの仕組みで解説しています。
更新フローを決めておく(誰が・どう直すか)
「誰が」「どうやって」更新や修正を行うのかを、あらかじめ決めておくことが大切です。
社内に対応できる人がいない場合、トラブルが起きてから慌てて対応先を探すことになりかねません。
簡単な文章の更新は社内で、技術的な修正は専門の制作会社に、というように役割を分けておくと、無理なく運用を続けられます。
自分で保守する場合と専門会社に依頼する場合
保守は必ずしもすべてを外注する必要はありません。
ご自身の状況に応じて、自社運用・外注・併用を選ぶのが現実的です。
判断の目安となる観点を整理します。
判断軸は主に、社内にWEBに詳しい人材がいるか、サイトが止まると業務にどれくらい影響するか、そして費用対効果の3つです。
下の表を参考に、自社に合った形を検討してみてください。
| 方式 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社運用 | 更新が少なく、簡単な文章修正が中心。社内にコードを触れる人がいる | トラブル時に自力で対応できないと長期間放置になりやすい |
| 専門会社に外注 | 業務への影響が大きい/技術的な不安がある/本業に集中したい | 月額費用が発生する。対応範囲を事前に確認する必要がある |
| 併用 | 日常の文章更新は社内、技術的な保守は外注したい | 役割分担のルールを明確にしておくことが前提 |
費用については、サイトの規模や対応範囲によって幅があります。
一般的に、HTML・CSSで構成された静的サイトの保守は、WordPressなどの動的サイトに比べて費用が抑えられる傾向があります。
これは、WordPressのような本体・プラグインの定期更新作業が発生しないことが主な理由です。
月額の目安としては、サーバー・ドメインの管理が中心の最低限のプランなら数千円程度から見られます。
ただし、文章の更新や表示確認、フォームの動作確認、トラブル対応まで含めると、月額1万円前後かそれ以上になるケースも多いです(2026年6月時点)。
料金だけでなく「どこまで対応してもらえるのか」という対応範囲を必ず確認することが大切です。
具体的な費用の考え方はホームページ制作会社の保守費用やホームページ管理費の相場で詳しく解説しています。
弊社リヒトスでも、静的サイトの保守管理に対応しています。
保守管理を活用されたお客様の声では、技術的な作業を任せることで本業に集中できるようになった事例をご紹介しています。
業種別の事例・注意点
AIで作った静的サイトは、業種を問わず活用が広がっています。
ここでは、業種ごとに気をつけたいポイントを具体的に見ていきます。
自社のサイトに当てはめながら参考にしてください。
たとえば士業(税理士・社労士など)の事務所サイトでは、料金や対応業務の情報が古いまま放置されると信頼を損ないます。
静的サイトは更新に手間がかかるぶん、情報の鮮度を保つ仕組みづくりが重要です。
製造業・町工場では、AIが作った見た目は整っていても、製品情報を追加したいときに更新できず止まってしまう、というケースが見られます。
飲食店では、メニューや営業時間の変更が頻繁なため、HTMLを直接編集する運用がボトルネックになりがちです。
小売店でも、季節ごとの情報更新を続けられるかが課題になります。
一方、マンション管理組合のように更新頻度が比較的低いサイトでは、静的サイトのシンプルさがかえって相性のよい場合もあります。
弊社では、さまざまな業種のホームページ制作・保守に携わってきました。
業種ごとの特性に合った運用方法を選ぶことが、長く使えるサイトの鍵になります。
よくあるご質問
AIで作った静的サイトの保守について、ご相談の際によくいただく質問をまとめました。
Q: 静的サイトでもハッキングされることはありますか?
データベースやプログラムを使わないぶん、攻撃を受ける入り口は動的サイトより少ない傾向にあります。
ただし、サーバーの管理画面のパスワードが漏れたり、外部から読み込んでいる部品(ライブラリ)に問題があったりすると、被害につながる可能性はあります。
リスクがゼロというわけではない、と考えておくのが安全です。
Q: AIで作ったサイトはSEOに弱いのでしょうか?
AIで作ったから弱い、と一概には言えません。
ただし、検索エンジン向けの設定(タイトルタグなど)が抜けていることはあるため、公開後に確認することをおすすめします。
Q: 作るのに使ったAIツールが使えなくなったら、サイトはどうなりますか?
公開済みのHTML・CSSファイルはサーバー上にあるため、AIツールが使えなくなっても、サイト自体はそのまま表示され続けます。
困るのは「修正したいとき」です。元のコードを理解している人や、対応できる制作会社を確保しておくと安心です。
なお、AIが生成した文章には事実と異なる内容が含まれることもあるため、公開前に内容を確認しておくことをおすすめします。
Q: 後からブログやお知らせ機能を足すことはできますか?
可能ですが、静的サイトのままでは更新のたびにHTMLを編集する必要があり、手間がかかります。
更新が増えそうな場合は、WordPressなどのCMSへの移行(リニューアル)を検討するのも一つの方法です。
サイトの目的と更新頻度に応じて選ぶとよいでしょう。
Q: 自分で更新することはできますか?
簡単な文章修正であれば、HTMLの基本を覚えれば対応可能です。
ただし、レイアウトに関わる部分は崩れやすいため、慣れないうちは無理をせず、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
AIで作った静的サイトは、手軽さが魅力である一方、「コードの中身が分からない」「更新に手間がかかる」「フォームが動かない」「ドメインやSSLの管理が必要」といった、特有の落とし穴があります。
静的だから安全、安全だから放置でよい、というわけではありません。
バックアップ・表示チェック・契約更新・更新フローの整備といった基本の保守を続けることが、サイトを長く活かす近道です。
自社だけで難しい部分は、専門の制作会社と役割を分けることもご検討ください。
ホームページ制作・保守管理のご相談は、株式会社リヒトスまでお気軽にお問い合わせください。


