
はじめに

Cloudflareが開発したCMS(コンテンツ管理システム)「EmDash(エムダッシュ)」は、2026年9月に安定版の1.0が公開されました。
「WordPressの後継」として、名前を聞く機会も増えています。
10月にはPHPの重大な脆弱性も公表されました。
WordPressで作ったホームページをこの先どうするか、考え始めた経営者様・ご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、EmDashとWordPressの違いを、仕組み・管理画面・保守の手間・費用の順に比べます。
後半では、どちらが向いているかを判断するための確認ポイントを、業種別の例とあわせて整理します。
弊社はWordPressの保守管理も行っていますが、この記事では、どちらかへの乗り換えを勧めるのではなく、判断の材料を並べます。
EmDashそのものの特徴や作る流れは、EmDashの全体像をまとめた記事で解説しています。
EmDashとWordPressの違い|結論と8項目の比較表

EmDashとWordPressは、どちらも管理画面から記事やページを更新できるCMS(コンテンツ管理システム)です。
違うのは、作られている技術、機能の足し方、動かす場所の3つです。
公開した後の保守はどちらにも残り、手がかかる場所が違います。
ひとことで言うと
- WordPressはPHPで動き、一般的なレンタルサーバーで使える。プラグインと、対応できる会社が多い
- EmDashはTypeScriptで動き、CloudflareかNode.jsのサーバーで使う。プラグインを隔離して動かす仕組みがある
- WordPressのテーマとプラグインは、EmDashでは使えない
- どちらを選んでも保守は必要。手がかかる場所と、任せられる先の多さが違う
8項目で比べる
主な違いを表にまとめました(2026年11月6日時点)。
| 項目 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 作られている技術 | PHP | TypeScript・Astro |
| 動かす場所 | 一般的なレンタルサーバー、クラウドなど | Cloudflare、Node.jsが動くサーバー |
| 機能の追加 | 公式ディレクトリに約7万8,000件の無料プラグイン | EmDash用のプラグイン。公式の登録先は無料のもののみで、数はまだ少ない |
| デザイン | 配布されているテーマを選べる | テンプレートをもとに作る。WordPressのテーマは使えない |
| ログイン | ユーザー名とパスワード(2段階認証はプラグインなどで追加) | パスキーが標準 |
| AIとの連携 | 7.0から、生成AIとつなぐ仕組みが本体に入った | AIエージェントが操作する窓口(MCPサーバー)を初期状態で持つ |
| 情報量・対応できる会社 | 非常に多い | まだ少ない |
| 保守で手がかかる場所 | 本体・テーマ・プラグイン・PHPの更新 | 本体と関連する部品の更新、データベースの変更への備え、プラグインの権限、アカウントの管理 |
表の各項目は、この後のセクションで順に詳しく説明します。
仕組みの違い|作られている技術と動かす場所

EmDashとWordPressの違いの多くは、作られている技術と動かす場所から生まれます。
ここでは、プログラミング言語、動かす場所、プラグイン、デザインの4つに分けて比べます。
保守の手間の違いを理解するための前提になる部分です。
PHPで動くWordPress、TypeScriptで動くEmDash
WordPressは、PHP(サーバーで動くプログラミング言語)と、MySQLなどのデータベースで動いています(WordPressとは)。
長く使われてきたため、PHPが使えるレンタルサーバーであれば、多くの場合そのまま動かせます。
EmDashは、TypeScript(JavaScriptに型の仕組みを加えた言語)で作られています。
Astro(Webサイトを作るための仕組み)の上で動きます。
WordPressのコードは使われておらず、新しく作られたCMSです。
どちらも、訪問者がページを開くたびに内容を組み立てる、動的な仕組みである点は共通しています。
【動かす場所】レンタルサーバーと、Cloudflare・Node.js
WordPressは、国内の多くのレンタルサーバー(Webサイトを公開するためのコンピューターを借りられるサービス)で使えます。
サーバー会社の管理画面から、数回の操作でインストールできるサービスもあります。
EmDashを動かす場所は、主に次の2つです(2026年11月6日時点・EmDash公式ドキュメント)。
- Cloudflare: Workers(プログラムを動かすサービス)、D1(データベース)、R2(画像などの保存先)を組み合わせる。サーバーの機器やOSの管理はCloudflareが行う
- Node.jsが動くサーバー: Node.js(サーバーでJavaScriptを動かす仕組み)v22.23.4以上が必要。本番ではプログラムを常に動かし続ける必要があり、データベースにSQLiteを使う場合は、再起動しても消えないディスクも求められる
このほか、2026年11月時点では、EmDashに対応したホスティングや運用のサービスを提供する会社も出てきています。
公式ドキュメントが動かす場所として案内しているのは、Node.jsが動くホスティングやVPS(仮想の専用サーバー)です。
一般的な共用のレンタルサーバーで動くかどうかには触れていません。
今のレンタルサーバーで使いたい場合は、サーバー会社の公式情報で、Node.jsのアプリを常に動かせるかを確かめる必要があります。
サーバーそのものの役割は、サーバーとはで解説しています。
【機能の足し方】プラグインの数と隔離の仕組み

WordPressの公式のプラグインディレクトリには、約7万8,000件の無料プラグインが登録されています(2026年11月6日時点)。
お問い合わせフォームや予約、ネット販売など、必要な機能の多くをプラグインで足せます。
一方で、プラグインはサイト全体の情報に触れられるため、1つのプラグインの弱点がサイト全体に影響することがあります。
プラグインの仕組みは、WordPressのプラグインとはで解説しています。
EmDashには、プラグインを1つずつ隔離された環境で動かし、許可した範囲のことしかできないようにする仕組みがあります。
ただし、隔離されるのは「サンドボックス型」のプラグインだけで、サイトに直接組み込む「ネイティブ型」は隔離されません。
隔離して動かすには、準備が要ります。
Cloudflareなら有料プランと設定、Node.jsならworkerd(Cloudflareが公開している実行環境)が必要です。
【デザイン】WordPressのテーマは使えない
WordPressでは、配布されているテーマを選んでデザインを整えられます。
EmDashでは、テンプレートをもとにデザインを作ります。
WordPressのテーマはEmDashでは動かないため、移る場合はデザインの作り直しが前提です。
管理画面・ログイン・AI連携の違い

毎日の更新で触れるのは、管理画面とログインの仕組みです。
ここでは、記事を書く操作、ログインとユーザーの権限、AIとの連携の3つを比べます。
社内で更新を担う方にとって、使い勝手に直結する部分です。
記事を書く・更新する操作
どちらも、ブラウザで管理画面に入り、記事やページを書いて公開する流れは同じです。
下書き、予約公開、変更履歴といった基本の機能も、両方にあります。
ただし、EmDashをCloudflareで動かす場合、予約公開には、決まった時刻に処理を動かす設定(Cron Trigger)が必要です。
変更履歴は、コンテンツの種類(コレクション)ごとの設定で使えるようになります。
EmDashの管理画面は日本語でも表示できます。
ただし、使い方を解説した日本語の情報は、WordPressに比べてまだ少ない状況です(2026年11月時点)。
ログインとユーザーの権限
WordPressは、ユーザー名(またはメールアドレス)とパスワードでログインするのが基本です。
2段階認証は、プラグインなどで追加します。
EmDashは、パスワードの代わりにパスキー(指紋や顔認証、端末のPINなどで本人を確かめる仕組み)でログインするのが標準です。
ユーザーの権限も分けられます。
WordPressには、管理者・編集者・投稿者・寄稿者・購読者の役割があります。
複数のサイトをまとめて管理する場合は、特権管理者も加わります。
EmDashの役割は、Admin・Editor・Author・Contributor・Subscriberの5つです。
どちらにも、記事を書けても自分では公開できない役割(寄稿者・Contributor)があり、公開の判断を人に残せます。
AIとの連携
EmDashには、AIエージェント(指示を受けて作業を進めるAI)がサイトを操作するための窓口(MCPサーバー)が、初期状態で用意されています。
公式のドキュメントでも、AIに記事を下書きとして作らせ、管理画面で確かめてから公開する使い方が紹介されています。
AIをつなぐユーザーをContributorにしておけば、AIだけでは記事を公開できません。
WordPressも、2026年5月の7.0で、生成AIのサービスとつなぐ仕組み(AIクライアント)を本体に加えました。
AIと組み合わせられることは、どちらか一方だけの特徴ではなくなりつつあります。
保守の手間の違い|公開後に残る作業を比べる
「EmDashにすれば保守がラクになる」と期待される方もいらっしゃいます。
実際には、どちらのCMSでも公開した後の保守は必要で、違うのは手がかかる場所です。
ここでは、公開後に残る作業を並べて比べます。
公開後の作業を並べた比較表

公開した後に必要になる主な作業を、8つの項目で比べました(2026年11月6日時点)。
| 作業 | WordPress | EmDash |
|---|---|---|
| 本体の更新 | 管理画面から更新。小さな修正版(マイナーリリース)は初期設定で自動(5.6以降に新しく入れたサイトは、メジャーリリースも自動) | 更新用のコマンド(upgrade-emdash)で部品を更新し、作業指示書を読んで対応する |
| プラグインの更新 | プラグインごとに更新。初期設定では自動にならない | 更新のたびに、プラグインの形式と許可した権限を確かめる |
| 動かす環境の更新 | サーバーのPHPの版を新しく保つ | Cloudflareでは実行環境の更新をCloudflareが行う。Node.jsならNode.jsの版を新しく保つ |
| データベースの変更 | 本体の更新にあわせて行われる | 新しい版で変わることがあり、部品を古い版に戻しても戻らない |
| バックアップ | データベースとファイル | データベース・画像などのファイル・暗号化キーを別々に |
| ログイン | パスワードの管理、2段階認証 | パスキーをなくしたときの備え(複数の端末への登録、メールの設定、管理者を2人以上) |
| 不具合のときの戻し方 | バックアップから戻す(プラグインの自動更新で重大なエラーが出た場合は、自動で元に戻す仕組みがある) | 更新前のデータベースとプログラムを一緒に戻す |
| 任せられる先 | 多い | まだ少ない |
更新の頻度はどちらも高い
WordPressは、2026年9月17日の7.1.1から10月28日の7.1.4まで、約6週間で4回の修正版を公開しました。
4回とも、セキュリティの修正を含む版です。
次の大きな版の7.2は、12月8日に予定されています(WordPress.org、2026年11月6日確認)。
EmDashも、9月28日の1.0から、10月29日の1.4.0(2026年11月6日時点の最新版)まで、約1か月で版を重ねています。
EmDashの公式ドキュメントは、版の番号をセマンティック バージョニング(番号で変更の大きさを示す決まり)で付けていると説明しています。
修正版と機能を足す版は、それまでの版と互換性を保ちます。
メジャーバージョン(2.0など)では、今のサイトに手直しが必要になることがあります。
それでも、更新の作業そのものは短い間隔で発生します。
どちらを選んでも、更新を確かめて適用する人と時間が必要です。
WordPressで手がかかる場所

WordPressの保守は、本体・テーマ・プラグイン・PHPの4つを新しく保つことが中心です。
初期設定では、本体の小さな修正版と翻訳は自動で更新されますが、プラグインとテーマは自動では更新されません。
なお、WordPress 5.6以降に新しくインストールしたサイトでは、本体のメジャーリリースも初期設定で自動更新の対象です。
実際の動作は、導入した時期や、サイト・サーバー側の設定によって異なります。
部品の作り手が別々なため、1つを更新したことで、ほかの部品との組み合わせに不具合が出ることもあります。
作業の中身と頻度、依頼先の選び方は、WordPress保守とはで詳しく解説しています。
EmDashで手がかかる場所

EmDashの更新では、upgrade-emdash というコマンドで部品を新しくします。
このとき、サイトごとに必要な対応をまとめた作業指示書(.emdash/UPGRADE.md)が作られます。
ただし、コードの書き換えや公開し直す作業までは行いません。
指示書を読んで対応し、公開し直すのは、サイトを運営する側の仕事です。
なお、管理画面には、新しい版が出たことを知らせる表示があります。
注意したいのが、データベースの作りの変更です。
公式のドキュメントによると、この変更は、部品を古い版に戻しても元に戻りません。
戻す必要があるときは、更新前のデータベースとプログラムを一緒に復元するため、更新の前に復元できるバックアップを取っておくことが求められます。
Cloudflareで動かす場合、サーバーの機器やOS、実行環境の管理はCloudflareが行います。
それでも、アカウントの管理や設定の確認、使った量と料金の見張りは、利用する側に残ります。
バックアップと復元の考え方の違い

WordPressのバックアップについて、WordPressの公式ドキュメントは次のように説明しています。
WordPress サイトのバックアップはデータベースとファイルの2つに分かれます。
WordPress.org 日本語「WordPress のバックアップ」(2026年11月6日時点)
EmDashでは、管理画面から書き出せるJSON形式のバックアップでは、サイトを復元できません。
復元できるようにするには、3つを別々に残します。
データベースそのもののバックアップ、画像などのファイル、暗号化キー(EMDASH_ENCRYPTION_KEY)です。
Cloudflareのデータベース(D1)には過去の時点に戻す機能がありますが、戻れる期間は無料プランで7日、有料プランで30日です。
2026年10月のPHPの脆弱性で見えた違い
2026年10月21日、PHPの開発元(The PHP Group)は、2つの脆弱性を公表し、修正した版を公開しました。
悪用されると、遠隔の第三者に任意のコードを実行される可能性があります。
この2つの組み合わせは「PHP2shell」と呼ばれています。
国内でも、JPCERT/CCとIPAが10月22日に注意喚起を出し、速やかな対策を呼びかけています(2026年11月6日時点)。
PHPで動くWordPressのサイトでは、サーバーのPHPを修正版に更新する作業が必要になりました。
PHP 8.1以前は、PHPの開発元による通常の更新の対象外です(PHP公式のセキュリティアドバイザリ、2026年11月6日時点)。
利用中のOSやホスティングサービスが独自に修正を提供している場合もあるため、提供元の対策状況を確認してください。
修正が提供されない環境では、サポートが続いているPHPへの更新や、対策済みの環境への移行が必要です。
EmDashはPHPを使っていないため、この脆弱性の対象ではありません。
ただし、EmDashにも別の更新と管理が残ります。
動かす場所に応じたNode.jsの版、部品(npmのパッケージ)、Cloudflareの設定などです。
IPAは、修正の対応が難しい場合について、次のように案内しています。
システム管理担当者だけでなく、事業責任者や経営層も含め、更新・移行の実施と、その後の継続的な維持管理に必要な人員・予算・保守体制を確保できるか検討してください。
IPA「PHPの脆弱性対策について(CVE-2026-109618、CVE-2026-109619:PHP2shell)」(2026年11月2日更新・2026年11月6日時点)
乗り換えを考える場合も、移った後に誰が保守を続けるかとあわせて判断することが大切です。
保守を任せられる先の多さ
WordPressは利用者が多く、保守を受け付ける制作会社やサーバー会社、フリーランスの方も多くいます。
担当が変わったり、依頼先を変えたりするときも、引き継ぎ先を探しやすいのが強みです。
EmDashは1.0の公開から間もないため、扱える会社はまだ限られます。
2026年11月時点では、EmDashに対応した保守や運用を受け付ける事業者も出てきています。
ただし、選べる数はWordPressほど多くありません。
制作を頼むときは、将来別の会社へ頼む場合にも引き継げるかを確かめておくと安心です。
費用のかかり方の違い
費用は、何にお金がかかるかが違います。
ここでは、かかるお金の内訳を比べます。
料金は変わることがあるため、契約の前に各社の公式ページで最新の情報をご確認ください。
かかるお金の内訳の違い

WordPressもEmDashも、本体は無料で使えるオープンソースのソフトウェアです。
費用がかかるのは、主に次の部分です。
- WordPress: レンタルサーバーの利用料、独自ドメイン(○○.comなど、Webサイトの住所)、必要に応じて有料のテーマやプラグイン、制作や保守を頼む場合の費用
- EmDash: 動かす場所の利用料(Cloudflare Workersは無料プランから始められ、有料プランは1アカウントあたり最低月額5米ドル。Node.jsで動かす場合はサーバーの利用料)、独自ドメイン、デザインを作る費用、保守を頼む場合の費用
Cloudflareの料金は、2026年11月6日時点の公式の料金ページによるものです。
米ドル建てのため、円での支払額は為替などによって変わります。
WordPressから移る場合は、記事の移行に加えて、デザインと機能の作り直しにも費用がかかる点を見込んでおきましょう。
Cloudflareの無料プランで使える範囲や、毎月かかる費用は、EmDashの料金で詳しく整理しています。
EmDashの注意点と、向いているサイト・向いていないサイト

ここまでの違いを踏まえて、EmDashの注意点と、それぞれが向いているサイトを整理します。
どちらが優れているかではなく、サイトの目的と、更新・保守の体制に合うかで考えることが大切です。
EmDashの注意点(デメリットとされる点)
EmDashを検討するときによく挙がる注意点は、次のとおりです(2026年11月時点)。
- プラグインや日本語の情報が、WordPressに比べてまだ少ない
- 更新の間隔が短く、作業指示書を読んで対応できる人が必要
- 扱える会社が少なく、依頼先や引き継ぎ先を探しにくい
- 一般的な共用のレンタルサーバーで動くかは、公式の案内がない
Cloudflareへの依存も、評価が分かれている点です。
WordPressの共同創業者であるMatt Mullenweg氏は、2026年4月2日(米国時間)のブログ「EmDash Feedback」で、この点を指摘しています。
EmDashはCloudflare上で最もよく動くように作られていて、別の会社に移りにくくなる、という趣旨です。
一方で、EmDashはNode.jsのサーバーでも動き、1.0の時点では、Node.jsでもプラグインを隔離して動かせます。
EmDashが候補になりやすいサイト
EmDashが候補になりやすいのは、次のような場合です。
- これから新しく作るサイトで、WordPressのテーマやプラグインに頼る必要がない
- お知らせやコラムの更新が中心で、必要な機能が少ない
- AIエージェントと一緒に更新していきたい
- 社内にTypeScriptやAstroを扱える人がいる、またはEmDashに対応した依頼先がある
- Cloudflareなどのアカウントを、会社として管理できる
WordPressを続けるほうが現実的なサイト
一方で、次のような場合は、WordPressを続けるほうが現実的なことが多いでしょう。
- 予約、ネット販売、会員など、プラグインに頼る機能が多い
- 今のサイトのデザインや機能に満足していて、作り直す理由が少ない
- 社内の担当者が、WordPressの管理画面に慣れている
- 依頼先の選択肢を広く保ちたい
PHPの脆弱性が心配な場合も、WordPressのまま、PHPと本体・プラグインの更新、バックアップの体制を見直す方法があります。
乗り換えと保守の見直しを、同じ重さで比べてみてください。
決める前に確かめたい5つのこと

どちらにするかを決める前に、次の5つを確かめておくと、後で困りにくくなります。
- 誰が更新するか: 社内で記事を書く人と、更新の作業をする人は誰か
- 必要な機能があるか: 今使っている機能や、これから使いたい機能が、EmDashで実現できるか
- 動かす場所と名義: Cloudflareやサーバー、ドメインのアカウントを、誰の名義で持つか
- 更新を誰が担うか: 作業指示書を読んで対応する人、またはそれを任せる先がいるか
- 引き継げるか: 担当や依頼先が変わったときに、次の人や会社が扱えるか
業種別に見る、EmDashとWordPressの選び方

どちらが合いやすいかは、業種によっても変わります。
ここでは5つの業種を例に、選ぶときの観点を紹介します。
向き・不向きを決めつけるものではなく、検討の手がかりとしてご覧ください。
士業(税理士・社労士・司法書士など)
お知らせやコラムの更新が中心で、必要な機能が比較的少ない業種です。
EmDashも候補になりますが、事務所の方がWordPressの管理画面に慣れているなら、続ける利点もあります。
AIに下書きを任せる場合は、公開できない役割を使い、事務所の方が確かめてから公開する流れにできます。
飲食店・小売店
予約やネット販売、SNSの投稿の埋め込みなど、外部のサービスと連携する機能が多くなりがちです。
WordPressなら、こうした機能をプラグインで足せる場合が多くあります。
EmDashを選ぶ場合は、必要な機能にEmDash用のプラグインがあるか、作る必要があるかを先に確かめます。
整骨院・クリニック
予約や問診のフォームを置く場合は、送られた内容がどこに保存され、誰が管理するかを確かめておきます。
どちらのCMSでも、フォームが止まると業務に響くため、更新の後に動作を確かめる体制が欠かせません。
掲載できる表現には業界ごとのルールがあるため、判断に迷う内容は所管の窓口や専門家にご確認ください。
工務店・不動産
施工事例や物件の情報は、決まった項目(所在地・広さ・写真など)で管理できると更新しやすくなります。
WordPressでもEmDashでも項目を決めた管理はできますが、EmDashでは、作るときにコンテンツの種類と項目を設計しておく形です。
写真が多いため、画像の保存先の容量と費用も見積もっておきます。
マンション管理組合・団体
役員や担当者が持ち回りで更新する場合は、引き継ぎのしやすさが大切です。
WordPressは操作の情報が多く、次の担当者が調べやすい利点があります。
EmDashを使う場合は、パスキーの登録とユーザーの追加・削除の手順を決め、管理者を常に2人以上にしておくと安心です。
EmDashとWordPressの違いに関するよくある質問
EmDashとWordPressを比べるときに出てきやすい疑問にお答えします。
料金や版の情報は変わることがあるため、記載の時点もあわせてご確認ください。
Q: EmDashに移せば、保守はいりませんか?
いいえ。
EmDashにはプラグインを隔離する仕組みがありますが、本体と部品の更新、バックアップ、プラグインの権限の確認、アカウントの管理は残ります。
WordPressとは手がかかる場所が違うだけで、保守そのものは必要です。
Q: WordPressのテーマやプラグインは、EmDashで使えますか?
そのままでは使えません。
記事や画像は、WordPressの書き出しファイル(WXR形式)や専用のプラグイン(EmDash Exporter)を使って取り込めます。
画像は、取り込みの途中でWordPressのサイトからダウンロードされます。
そのため、取り込みが終わるまでWordPressのサイトを公開したままにしておきます。
テーマとプラグインは、作り直しが前提です。
Q: PHPの脆弱性が心配です。EmDashに乗り換えるべきですか?
一概には言えません。
EmDashはPHPを使わないため、PHPの脆弱性の対象にはなりませんが、別の更新と管理が必要になります。
まずは今のWordPressのPHPと本体・プラグインを最新に保ち、そのうえで、乗り換えた後の保守体制まで含めて比べることをおすすめします。
Q: SEOに有利なのはどちらですか?
SEO(検索エンジン最適化)の面では、CMSを変えただけで検索順位が上がるわけではありません。
移るときに気をつけたいのは、ページのURLが変わる場合です。
Googleは、URLが変わるサイトの移転では、元のURLから新しいURLへのサーバー側の永続的なリダイレクト(転送)を勧めています。
移転の途中では、掲載順位が一時的に変動することがあるとも説明しています(Google 検索セントラル「サイトを移転する方法」、2026年11月6日確認)。
Q: WordPressを残したまま、EmDashを試せますか?
試せます。
EmDashの公式ドキュメントは、WordPressから記事を取り込んだ後も、確認が終わるまでWordPressのサイトを残しておくよう案内しています。
いきなり切り替えず、別の場所で試してから判断する進め方もできます。
まとめ

EmDashとWordPressは、どちらも管理画面で更新できるCMSですが、作られている技術、動かす場所、手がかかる保守の中身が違います。
この記事の要点を振り返ります。
- WordPressはPHPで動き、プラグインと対応できる会社が多い。EmDashはTypeScriptで動き、プラグインを隔離する仕組みを持つ
- WordPressのテーマとプラグインは、EmDashでは使えない
- 更新の頻度はどちらも高い(WordPressは9月17日〜10月28日に7.1.1〜7.1.4、EmDashは9月28日〜10月29日に1.0〜1.4.0)
- WordPressはPHPとプラグインの更新、EmDashは作業指示書への対応とデータベースの変更への備えが、保守の中心になる
- 選ぶときは、機能だけでなく、公開した後に誰が保守を担うかまで含めて考える
ホームページ制作・保守管理のご相談は、株式会社リヒトスまでお気軽にお問い合わせください。
EmDashで作ったホームページの保守管理に関するお問い合わせ
※EmDashのサービスやEmDashの制作方法などに関することはお答えできません。制作されたサイトの保守管理に関してのご相談窓口です。


