展示会や紹介、長年の取引で仕事を広げてきた中小製造業では、ホームページが会社案内のまま何年も止まっていることが少なくありません。いざ作り直そうとすると、何を載せればよいのか、どこに頼めばよいのかで迷われる経営者様やご担当者様も多いのではないでしょうか。

この記事では、製造業のホームページ制作を前半と後半に分けて整理します。前半は、見に来る人から考える必要なページと、BtoB(企業間取引)の問い合わせの受け方です。後半は、依頼先の選び方、費用、制作の流れと、載せてよい情報の決め方を解説します。

製造業のホームページの目的と、見に来る人

製造業のホームページは、主に「新しい取引先からの引き合い」「取引先による確認」「採用」の3つの役割を担います。どの役割を重視するかで、作るべきページの順番が変わります。まずは、誰が何を確かめに来るのかを整理しておきましょう。

新しい取引先からの引き合いを受ける

購買や設計のご担当者は、加工先や部品の調達先を探すときに、材質や加工方法、製品名で検索することがあります。そこで見つけた会社のホームページを開き、自社の要件に合うかを確かめます。

このとき見られるのは、対応できる加工や設備、品質の体制です。条件が合いそうだと判断されて、はじめて問い合わせや見積もりの依頼につながります。

取引のある会社や、これから取引を始める会社の確認

展示会で名刺を交換した会社や、紹介を受けた会社も、商談の前後にホームページを確認することが多くあります。所在地や沿革、設備の規模を見て、取引先として安心できるかを判断する材料にするためです。

すでに取引のある会社でも、担当者が替わったときには、ホームページが会社を知る最初の資料になります。

採用

求人に応募する方の多くは、求人サイトで見つけた会社のホームページも確かめます。仕事の内容や職場の様子が分からないと、応募をためらう原因になります。

目的の優先順位を先に決める

3つの役割すべてを同じ重さで作ろうとすると、ページが増えて準備が進みにくくなります。「今いちばん困っていること」から優先順位をつけ、最初に作るページを決めましょう。

見に来る人主に確かめたいこと関係するページ
購買・設計のご担当者加工・製品の範囲、精度、ロット、納期の考え方製品・加工技術、設備一覧
品質保証のご担当者検査の方法、取得している認証、トレーサビリティ(製造の履歴をたどれる仕組み)品質保証
経営者・決裁者会社の規模、沿革、取引の実績会社情報、事例
求職者仕事の内容、職場の様子、働き方採用ページ

ホームページの目的の決め方は、ホームページの「目的」はどう決めればいいですか?で詳しくご紹介しています。

製造業のホームページに必要なページ

製造業のホームページに必要なページは、見に来る人が判断に使う情報から逆算して決めます。ここでは、多くの製造業で中心になるページと、それぞれに載せたい内容をご紹介します。すべてを最初からそろえる必要はなく、優先順位をつけて少しずつ足していく進め方でも十分です。

製品・加工技術のページ

製造業のホームページで特に見られやすいのが、製品や加工技術のページです。「精密加工」「高品質」といった言葉だけでは、自社の要件に合うかどうかを判断できません。

対応できる材質、加工できるサイズや精度、ロット(1回に作る数量)、得意な工程など、判断に使える条件を具体的に書きましょう。試作や1個からの依頼に対応できる場合は、そのことも書いておくと問い合わせの判断材料になります。

製品カタログをPDFで載せる場合も、PDFだけで済ませず、主な製品はページとして説明しておくのがおすすめです。スマートフォンでも読みやすく、製品ごとに問い合わせの入口を置けるためです。

設備一覧・工場紹介

設備の一覧は、加工の範囲や生産の規模を伝える材料になります。機械の種類、メーカー名や型式、台数、加工できる範囲を表にまとめると、設計や購買のご担当者が比べやすくなります。

工場や作業の様子の写真もあわせて載せましょう。整理された現場の写真は、品質への姿勢を伝える助けになります。

品質保証・取得している認証

検査の方法や使っている測定機器、不良が出たときの対応の流れは、品質保証のご担当者が確かめたい情報です。

ISO 9001などの認証を取得している場合は、名称と対象になる事業所や範囲を、認証書の記載どおりに書きます。認証には有効期限があるため、更新したときにホームページの記載も見直しましょう。

導入事例・加工事例

どんな課題に対して、どの加工や製品で応えたのかを示す事例は、依頼したあとのイメージを持ってもらうのに役立ちます。業界、用途、材質、数量など、差し支えない範囲の条件を添えると、似た課題を持つ会社が自社に当てはめやすくなります。

取引先の社名や製品名を載せる場合は、相手先の許可が必要です。この点は、後半の「載せてよい情報を、社内で先に決める」でご紹介します。

会社情報

所在地、設立年、資本金、従業員数、沿革、代表者のあいさつなどをまとめるページです。取引先として安心できるかを判断する、基本の材料になります。

信頼されるホームページに必要な情報は、信頼されるホームページを作るには?でもご紹介しています。

採用ページ

製造の現場で働く人を募集する場合は、仕事の流れや1日のスケジュール、職場の写真、先輩社員の声などを載せます。未経験の方を受け入れる場合は、研修や資格取得の支援についても書いておくと、応募の判断材料になります。

採用に力を入れたい場合は、会社のホームページの中に採用ページを設けるほか、採用専用のホームページを別に作る方法もあります。

お知らせ・技術情報の発信

新製品、展示会への出展、設備の導入、長期休業などを知らせる欄です。更新が止まっていると、会社の活動が止まっているように見えることがあるため、無理なく続けられる頻度を決めておきましょう。

加工のコツや材質の選び方などの技術情報を記事にして発信すると、検索から新しい取引先が訪れる入口にもなります。

必要なページを、表にまとめます。

ページ主に見る人載せる内容作る時期
製品・加工技術購買・設計材質、サイズ、精度、ロット、得意な工程最初に作る
設備一覧・工場紹介購買・設計、品質保証機械の種類・台数・加工範囲、現場の写真最初に作る
品質保証・認証品質保証検査の方法、測定機器、認証の名称と範囲最初に作る
会社情報すべての人所在地、沿革、従業員数、代表者のあいさつ最初に作る
問い合わせすべての人種類ごとの入口、電話・FAX、受付時間最初に作る
事例購買・設計、経営者課題、対応した加工や製品、条件許可が取れたものから足す
採用求職者仕事の内容、職場の様子、研修採用の時期に合わせて作る
お知らせ・技術情報すべての人新製品、展示会、技術の解説公開後に続けて足す

BtoBの問い合わせ導線は、問い合わせの種類で分ける

製造業への問い合わせは、見積もり、試作の相談、技術的な質問、資料請求、採用への応募など、内容によって必要な情報が大きく違います。1つのフォームですべてを受けると、送る側は何を書けばよいか迷い、受ける側は確認のやり取りが増えます。ここでは、BtoBの問い合わせを受けやすくするための考え方をご紹介します。

問い合わせの種類を洗い出す

まず、自社にどんな問い合わせが来ているか、どんな問い合わせが来てほしいかを洗い出しましょう。

  • 図面を添えた見積もりの依頼
  • 試作・小ロットの相談
  • 加工方法や材質についての技術的な質問
  • カタログ・資料の請求
  • 新規の取引や協業の相談
  • 採用への応募・質問

種類ごとに、最初に聞いておきたい項目を決めます。見積もりなら材質・数量・希望納期、技術的な質問なら用途や困っていることなどです。

入力項目を増やしすぎると、送る側がためらう原因になります。最初は必要な項目だけにとどめ、詳しい内容は返信のやり取りで聞く形でもかまいません。

図面を受け取るフォームで決めておくこと

図面を添えて見積もりを依頼できるフォームは、製造業ならではの入口です。添付できるファイルの形式(PDFや、CADの図面で使われるDXF形式など)と容量の上限を、フォームの近くに書いておきましょう。容量を超える場合の送り方も案内しておくと、問い合わせが途中で止まりにくくなります。

図面は、相手先にとって大切な情報です。秘密保持契約を結ぶ前に図面を送ってよいか、迷う方もいます。契約を先に結ぶ場合の手順や、図面なしで相談できることを案内しておくと、安心して問い合わせてもらえます。

受け取った図面を誰が受信し、どこに保管し、社内のどの範囲で共有するかも決めておきます。契約の内容や情報の扱いについて個別の判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

製品・設備のページの近くに相談の入口を置く

問い合わせの入口は、画面の上部やページの最後だけでなく、製品や設備のページの近くにも置きましょう。「この加工について相談する」のように、見ていた内容とつながる入口があると、問い合わせの内容も具体的になります。

取引先によっては、今も電話やFAXでのやり取りが中心のこともあります。電話番号とFAX番号、受付時間も、フォームと並べて載せておきましょう。

迷惑メールの対策と、問い合わせ後の対応

問い合わせフォームを公開すると、営業メールや迷惑メールが届くことがあります。迷惑メールが増えると、大事な問い合わせを見落とす原因になります。

対策には、reCAPTCHA(スパム対策の認証システム、Google提供)のような仕組みを使う方法があります。設置の方法は、reCAPTCHA v3の設置手順で解説しています。

あわせて、問い合わせを受けたあとの社内の流れも決めておきましょう。誰が最初に返信するか、何営業日以内に返信するかを決め、目安をフォームの近くに書いておくと、送った側も安心して待つことができます。

業態ごとに変わる重点

製造業とひとくちに言っても、受託で加工する会社と、自社製品を販売するメーカーでは、ホームページで伝えるべきことが違います。ここでは代表的な業態ごとに、重点を置きたい点をご紹介します。自社がどの業態に近いかを考えながらお読みください。

部品加工・受託加工

図面をもとに加工を請け負う会社では、対応できる加工の範囲を具体的に示すことが中心になります。材質、サイズ、精度、ロット、表面処理などの条件と、設備の一覧をそろえて載せましょう。

加工事例は、社名を出せない場合でも、業界や用途、材質と加工の内容を書くだけで判断の材料になります。

自社製品をもつメーカー

自社製品を販売するメーカーでは、製品ごとのページを用意し、仕様や用途、導入による効果を伝えます。製品の数が多い場合は、用途や業界から探せる分類を設けると、目的の製品にたどり着きやすくなります。

カタログや取扱説明書のダウンロード、販売店や代理店の案内も、メーカーならではの情報です。

食品の製造・OEM

食品の製造やOEM(他社のブランドの商品を製造すること)を手がける会社では、製造の工程、衛生管理の体制、対応できる容量やロットを伝えます。工場の写真は、衛生管理の様子が分かるものを選びましょう。

食品の機能や健康への効果に触れる表現には、健康増進法や景品表示法などのルールがかかる場合があります。掲載できる表現には業界ごとのルールがあるため、判断に迷う内容は所管の窓口や専門家にご確認ください。

(出典:消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」令和4年(2022年)12月5日一部改定、2026年10月15日確認)

装置・機械メーカー

装置や機械を手がけるメーカーでは、導入までの流れと、導入後のサポートの体制が判断材料になります。仕様の相談から設計、製作、据え付け、保守までの流れを示しておきましょう。

動画で動く様子を見せると、写真や文章だけでは伝わりにくい性能を伝えやすくなります。

商社・卸

製造業と取引する商社や卸の会社では、取り扱う商品の分野と、仕入れ先や協力工場とのつながりを伝えることが中心になります。複数の事業をもつ場合は、事業ごとに入口を分けると、目的の情報を探しやすくなります。

製造業のホームページ制作の依頼先

製造業のホームページ制作を頼める先は、主に4つあります。製造業に特化した制作会社と業種を問わない制作会社、テンプレート型・月額制のサービス、そして自社で作る方法です。違いが出やすいのは、技術の内容をどこまで聞き取ってもらえるかと、公開後に製品や事例を足していく体制です。それぞれの特徴を見てから、自社に合う先を絞り込みましょう。

製造業に特化した制作会社

製造業の会社のホームページを専門、または中心に扱う制作会社です。技術の聞き取りや、加工・設備の見せ方に慣れており、展示会や検索からの集客の支援までまとめて頼めることもあります。

得意分野がはっきりしている分、決まった型に沿って進めることが多く、型から外れる構成や機能は追加の費用になる場合があります。自社の業態に近い制作実績があるかも、あわせて見ておきましょう。

業種を問わない制作会社

地域の制作会社など、業種を限らずにホームページを手がけている会社です。工場まで足を運んでもらいやすく、現場を見てもらいながら打ち合わせや撮影を進められる点が強みになることがあります。

一方で、加工や設備についての理解は会社によって差があります。技術の聞き取りを誰が担うのかを、次の章の確認事項で具体的に聞いてみてください。弊社リヒトスも、この種類の制作会社にあたります。

テンプレート型・月額制のサービス

決まったデザインの型に、文章や写真を当てはめて作るサービスです。初期費用を抑えやすく、会社概要と主な製品だけを早く載せたい場合に向いています。

設備一覧や加工事例のように独自の項目を増やしたい場合は、型の範囲に収まるかを先に確かめましょう。最低契約期間と、解約したときにドメイン(ホームページの住所)やデータを引き継げるかも、申し込む前の確認事項です。

自社で作る

ホームページ作成サービスを使い、総務や営業のご担当者が自分たちで作る方法です。外注の費用がかからない分、出費は最も小さく抑えられます。

技術の原稿づくりや写真の用意、公開後の更新は、社内の作業になります。システムの更新や安全対策をどこが担うかは、サービスによって違います。提供する側が対策を行う場合でも、ログイン情報や編集できる人の管理は社内で行います。

(出典:Studio「Studioのセキュリティ対策」、Wix ヘルプセンター「Wix セキュリティ対策の概要」。いずれも2026年10月15日確認)

4つの依頼先を、表で比べます。

依頼先主に得意なこと注意したい点向いている会社
製造業に特化した制作会社技術の聞き取り、加工・設備の見せ方、製造業向けの集客支援型に沿った進め方が多く、型の外は追加の費用になりやすい技術の伝え方から任せたい
業種を問わない制作会社現場での打ち合わせと撮影、公開後の相談のしやすさ加工や設備への理解、技術を聞き取る体制に差がある工場を見てもらいながら進めたい、公開後も同じ窓口に頼みたい
テンプレート型・月額制のサービス初期費用を抑えた早い公開独自の項目を足せるか、最低契約期間、解約時のデータの扱い会社概要と主な製品だけを早く載せたい
自社で作る外注の費用がかからない原稿・写真・更新は社内の作業。安全対策の分担はサービスごとに違う社内にWebの操作に慣れた方がいる

※上から、制作を外部に任せる範囲が広いものの順に並べています。合う依頼先は、社内の人手と、どこまで任せたいかによって変わります。

依頼先を選ぶ前に確認したい6つのこと

依頼先の種類が決まったら、候補の会社に同じ質問をして比べましょう。製造業のホームページでは、技術の原稿、工場の撮影、公開後に増える製品や事例の扱いで、会社ごとの差が出やすくなります。次の6つを見積もりの前に聞いておくと、公開後に「その作業は契約に含まれていない」と分かる事態も防げます。

1. 技術の内容を聞き取って、原稿にしてもらえるか

製造業のホームページで特に手間がかかるのが、技術の内容を伝わる文章にすることです。制作会社が担当者から聞き取って原稿を書くのか、社内で書いた原稿を整えるのかで、社内の負担も費用も大きく変わります。

専門用語をどこまで使うか、社内の誰が内容を確認するかも、あわせて相談しておきましょう。

2. 工場や製品の撮影を誰が手配するか

製造業のホームページでは、工場や製品の写真が大きな役割を果たします。プロのカメラマンによる撮影がプランに含まれるのか、別料金か、社内で撮った写真を使うのかを確かめてください。

工場での撮影は、稼働している日に撮るか、休みの日に撮るかでも段取りが変わります。

3. 製品・事例・設備を社内で追加できるか

製品や事例、設備は、公開後も増えていく情報です。追加のたびに制作会社に頼むのか、社内で追加できる仕組みにするのかを決めておきましょう。

社内で更新するなら、専門知識がなくてもページを足したり直したりできる仕組み、CMS(コンテンツ管理システム)で作るのが一般的です。事例や製品を決まった形で追加できる専用の入力欄を作れるかも、確認しておくと便利です。

4. 問い合わせフォームの仕様

問い合わせの種類ごとの入口、図面などのファイルの添付、迷惑メールの対策に対応できるかを確かめます。問い合わせの通知を誰のメールアドレスに届けるかも決めておきましょう。

5. ドメイン・サーバーの名義

○○.co.jpのようなドメインと、サーバー(ホームページを公開するためのコンピューター)の契約者を、自社にするかどうかを決めます。あわせて、管理画面に入るための情報を、社内の誰が保管するかも決めておきましょう。

制作会社の名義のままにしておくと、依頼先を替えるときに、元の会社の協力がないと手続きを進められないことがあります。取得するときの注意点は、知らないと怖い「ドメイン」の5つの注意点にまとめています。

6. 公開後の保守管理の内容と費用

公開したあとも、システムの更新やバックアップ、不具合への対応は続きます。製品や事例を追加する作業が保守の料金に含まれるのか、そのつど費用がかかるのかも、制作の見積もりとあわせて確かめておきましょう。

保守管理でどんな作業をするのかは、ホームページの保守管理の作業内容で紹介しています。

製造業のホームページ制作の費用

製造業のホームページ制作の費用は、作るときに一度かかる「初期費用」と、公開後に続く「月額費用」に分けて見積もりを読みます。金額の差は、製品や設備のページの数と、原稿・撮影をどこまで任せるかで生まれることが多くあります。まずは、何に費用がかかるのかを押さえておきましょう。

作るときの費用と、公開後にかかる費用

初期費用には、ページの設計とデザイン、組み上げの作業のほか、技術の聞き取りや原稿の作成、工場の撮影などが入ります。製造業の場合は聞き取りと撮影に手間がかかるため、この部分が見積もりにどう含まれているかをよく確かめましょう。

月額費用には、サーバーとドメインの利用料、保守管理、更新の代行などがあります。サーバー代やドメイン代を保守の料金に含めるかどうかは会社によって違うため、見積もりの内訳で確かめてください。

保守費用の相場や、保守の料金に含まれない作業は、ホームページの保守費用の相場と含まれない作業で解説しています。

費用を左右する要素

製造業のホームページでは、次の要素によって費用が大きく変わります。

  1. 製品・設備のページの数:製品ごと、加工ごとにページを分けるほど、ページ数が増えて費用も上がります。
  2. 原稿・取材:制作会社が聞き取って原稿を書く場合は、その分の費用がかかります。
  3. 撮影:工場や製品をプロのカメラマンが撮影する場合は、別料金になることが多い項目です。
  4. 更新の仕組み:製品や事例を社内で追加できる専用の入力欄を作る場合は、設定の作業が加わります。
  5. 英語のページ:翻訳の費用がかかり、英語のページの数だけ作業も増えます。
  6. 採用ページ:職種ごとのページや社員への取材を含めると、ページと原稿が増えます。

見積もりの金額に大きな開きがあるときは、まずこの6つのうち、どれが含まれているかを見比べてみてください。

相場の目安と、見積もりの比べ方

第三者のデータでは、制作会社の紹介サービスを運営するWeb幹事が、製造業のWebサイト制作の発注金額を公表しています。平均は132.7万円、中央値は54.0万円です。50万円以下の発注が約5割を占めています(同社記事の更新日は2026年9月7日、2026年10月15日確認)。

グラフの注記によると、同社経由で発注された製造業のWebサイト制作の発注金額データ(2022年1月〜2024年3月)をもとにした数字です。企業サイトは5割弱で、ECサイト、サービスサイト、ランディングページ、採用サイトなども含まれます。件数の記載はありません。

同記事によると、最も大きかったのは大手メーカーによる大規模なECサイトの制作で、約2,900万円でした。平均はこうした大きな案件の影響を受けるため、中央値もあわせて見るのがおすすめです。

見積もりを比べるときは、各社に同じ条件で依頼することが大切です。製品・設備のページの数、原稿と写真をどちらが用意するか、公開後の保守を含むかを、依頼の文面にそろえて書いておきましょう。条件がそろっていれば、金額の差の理由も説明してもらいやすくなります。

製造業のホームページ制作の流れと期間

製造業のホームページ制作は、目的を決める、載せる情報を決める、原稿と撮影、確認と公開という流れで進みます。製造業ならではの注意点は、取引先の社名や図面など、載せてよい情報を社内で先に決めておくことです。ここでは、流れの中で決めておきたいことを順にご紹介します。

目的・載せる範囲・参考にするサイトを決める

最初に、ホームページの目的と優先順位、載せるページの範囲を制作会社と共有します。前半でご紹介した「見に来る人」と「必要なページ」の表が、そのまま打ち合わせの資料になります。

参考にしたいホームページがある場合は、どこが良いと感じたのかも添えて伝えましょう。色合い、写真の使い方、製品の探しやすさなど、気に入った点は人によって違います。制作会社の事例集を見るときも、自社と同じ取引先や求職者に向けたサイトかどうかを基準にすると、参考にする先を選びやすくなります。

載せてよい情報を、社内で先に決める

製造業のホームページでは、載せたい情報と、載せられない情報の線引きが欠かせません。原稿や撮影が始まる前に、社内で次の点を決めておきましょう。

  • 取引先の社名やロゴ:載せる場合は、相手先の許可を取ります。許可が取れない場合は「自動車部品メーカー様」のように業界名で表します
  • 図面や製品の詳細:取引先の図面や、契約で開示が制限されている製品は載せません。自社の製品でも、ノウハウにあたる工程の細部は伏せておく判断があります
  • 工場で撮影できない場所と写り込み:撮影できない区画や、写してはいけない製品・図面・書類を、撮影の前に確認します。従業員の顔が写る場合は、本人の了解も取りましょう
  • 認証・特許・「業界初」などの表現:根拠を示せる範囲にとどめます。一般の消費者向けの製品を扱う場合は、景品表示法のルールもかかります

(出典:消費者庁「表示規制の概要」、2026年10月15日確認)

取引先との契約に守秘義務の定めがあるかは、契約書で確認してください。個別の判断に迷う場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

原稿と撮影

原稿は、技術の内容を知る担当者への聞き取りから作ると、専門的な内容も伝わる文章にしやすくなります。聞き取りの日程は、現場の繁忙期を避けて組みましょう。

撮影は、工場の稼働中に撮る日と、製品を並べて撮る日を分けると段取りしやすくなります。製品の写真は、大きさの分かるものと一緒に写すなどの工夫も役立ちます。

社内での確認と、公開前の確認

原稿の確認は、技術の内容が正しいかを現場の担当者が、表現や載せてよい範囲を経営者や営業の担当者が見る、と役割を分けると進めやすくなります。確認する人が多いほど時間がかかるため、確認の期限も決めておきましょう。

公開の前には、問い合わせフォームから実際に送信してみます。通知が届くか、ファイルを添付できるかも確かめてください。

期間の目安と、展示会や採用の時期からの逆算

制作の期間は、ページの数や原稿の準備によって変わります。弊社では、一般的なコーポレートサイトで、打ち合わせの開始から公開まで約2〜3か月を目安としています(2026年10月15日時点)。製品や設備のページが多い場合や、社内の確認に時間がかかる場合は、さらに長くなります。

展示会への出展や、採用の募集の開始に合わせたい場合は、その日から逆算して依頼の時期を決めましょう。弊社でのホームページ制作の流れはホームページ制作のページ、制作費用は料金ページに掲載しています。

リニューアルで追加して確認すること

すでにあるホームページを作り直す場合は、新しく作るときにはない確認が加わります。製品名や型番で検索されているページと、今の制作会社との契約を、次のサイトへ引き継ぐためです。ここでは製造業で見落としやすい点だけを取り上げ、手順は関連する記事に任せます。

検索から見られているページを残す

製造業のホームページでは、製品名や型番、加工方法の名前で検索されているページが、引き合いの入口になっていることがあります。作り直す前に、どのページがどんな言葉で見られているかを確かめましょう。調べるには、アクセス解析や、Googleの無料サービス「Google Search Console」を使います。

製品ページのURL(ページの住所)を変える場合は、古いURLから新しいURLへ自動で転送する設定(リダイレクト)が必要です。カタログのPDFなど、取引先に直接URLを伝えているファイルがないかも確かめておきます。手順は、リニューアルでページを引き継ぐ手順で解説しています。

ドメインと、前の制作会社との契約

今のドメインとサーバーが誰の名義か、管理画面に入るための情報を社内で把握しているかを確かめます。前の制作会社との契約に、解約の条件やデータの引き渡しの定めがあるかも、作り直しを決める前に見ておきましょう。

ドメインを変えずに作り直すかどうかは、リニューアルでドメインをそのまま使うかの判断で解説しています。リニューアルで決めることの全体は、ホームページのリニューアルの進め方と費用にまとめています。

弊社の制作事例

ここでは、弊社が制作や保守管理に携わった事例の中から、製造業のホームページづくりにも役立つ3つの例をご紹介します。いずれも製造業そのものではありませんが、公開後の更新、事業の見せ方、採用ページの運用に、共通する考え方があります。

施工事例を、ご担当者が管理画面から追加できる仕組み

大阪市大正区で解体工事を手がける株式会社キョウテック様のコーポレートサイトでは、施工事例を専用の投稿の形で設計しました。施工前・施工中・施工後の写真や、構造・エリア・工期といった工事の概要を、ご担当者が管理画面から更新できる仕組みです。

製造業の加工事例や設備も、同じように決まった入力欄で追加できるようにしておくと、公開後に事例を増やしやすくなります。詳しくは、株式会社キョウテック様の制作実績をご覧ください。

3つの事業部門を整理したコーポレートサイトのリニューアル

大阪・東京に拠点を置く繊維専門商社の東方一永株式会社様では、コーポレートサイトのリニューアルをお手伝いしました。メディア、アパレル、リテールの3つの事業部門を整理し、企業向けと一般の消費者向けの両方に対応する構成にしています。

複数の事業や製品の分野をもつ会社では、事業ごとに入口を分けると、見に来た人が目的の情報にたどり着きやすくなります。東方一永株式会社様の制作実績のほか、制作実績の一覧もあわせてご覧ください。

採用ページを、公開後に見直しながら運用している例

星野税理士事務所様は、弊社がホームページの制作と保守管理をお引き受けしている事務所です。保守管理の対応についてのご感想を伺ったところ、採用ページについて次のようにお答えいただきました。

採用ページの変更や修正などを年に数回してもらっていて、いつも迅速に修正していただいています。

星野様は、募集のたびに条件を変え、応募の状況を確かめておられます。採用ページは公開して終わりではなく、応募の状況を見ながら変えていくものです。

製造業の採用ページも、更新を誰がどう行うかを制作の時点で決めておくと運用しやすくなります。ご感想の全文は、星野税理士事務所様のお客様の声でご覧いただけます。

よくある質問

製造業のホームページ制作について、経営者様やご担当者様からよくいただくご質問に、5つお答えします。いずれも、依頼の前に社内で話し合っておくと進めやすくなる点です。本文と重なる内容は、該当する章へのご案内にとどめています。

Q: 製造業に特化していない制作会社に頼んでも大丈夫ですか?

問題なく依頼できます。見ておきたいのは、業種を絞っているかどうかより、技術の内容を聞き取って原稿にする体制と、似た業態の制作実績があるかです。「依頼先を選ぶ前に確認したい6つのこと」を、特化した会社にも、そうでない会社にも同じように聞いてみてください。

Q: 社内にWebの担当者がいなくても進められますか?

進めることはできます。その場合は、原稿の聞き取りや公開後の更新を、どこまで制作会社に任せられるかを依頼の前に確かめておきましょう。

社内では窓口になる方を1人決め、技術の確認や社内の調整を担ってもらうと進めやすくなります。

Q: 英語のページは必要ですか?

海外の取引先からの問い合わせを受けたい場合や、海外の企業と取引がある場合は、検討する価値があります。最初は会社情報と、主な製品・加工の範囲だけを英語にする方法もあります。

Googleは、言語ごとに別のURLを使うことを勧めています。また、利用者の言語を推測して、別の言語のページへ自動で切り替えることは避けるよう案内しています。

(出典:Google 検索セントラル「多地域、多言語のサイトの管理」2025年12月18日更新、2026年10月15日確認)

機械翻訳を使う場合も、専門用語は内容の分かる方に確かめてもらいましょう。

Q: AI検索への対策は必要ですか?

Googleは、検索結果の「AI による概要」や「AI モード」に表示されるための追加の要件や、特別な最適化は必要ないとしています。そのうえで、SEO(検索エンジン最適化)の基本は引き続き有効だと案内しています。

(出典:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」2025年12月31日更新、2026年10月15日確認)

製造業のホームページでは、製品や加工の条件、設備、品質の体制を、検索した人が判断に使える形で具体的に書くことが基本になります。

Q: ホームページの制作に補助金は使えますか?

制度によって扱いが異なり、公募の回ごとに条件も変わります。たとえば、小規模事業者持続化補助金(一般型 通常枠)の第20回の公募要領を見てみます。販路開拓などのためのWebサイトの構築や改修にかかる経費は「ウェブサイト関連費」とされ、この経費だけでは申請できません。ほかの経費と一緒に申請する必要があります。

同補助金の対象は小規模事業者です。製造業の場合、従業員数の基準は「常時使用する従業員の数が20人以下」で、ほかにも要件があります。また、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)は、事務局に登録されたITツールの導入を支援する制度です。

申請を考える場合は、最新の公募要領を確認したうえで、地域の商工会・商工会議所や専門家にご相談ください。

(出典:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領(第8版・2026年7月21日)、中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金」。いずれも2026年10月15日確認)

まとめ

中小製造業のホームページ制作は、見に来る人から必要なページを決めることから始まります。問い合わせの受け方と、載せてよい情報の線引きを先に整えておくと、進めやすくなります。依頼先は費用の総額だけで比べず、技術の聞き取りや公開後の更新の体制まで含めて検討しましょう。要点は次の5つです。

  • 目的は「新しい取引先からの引き合い」「取引先による確認」「採用」の3つです。優先順位を先に決めます
  • 必要なページは、製品・加工技術、設備、品質保証、会社情報、問い合わせを中心に、事例・採用・お知らせを足していきます
  • 問い合わせは種類ごとに入口を分け、図面の受け取り方と返信の目安を決めておきます
  • 依頼先は4種類あります。見積もりの前に、原稿・撮影・社内での更新・フォーム・名義・保守の6点を確かめます
  • 取引先の社名、図面、工場での撮影など、載せてよい情報は原稿と撮影の前に社内で決めます

製造業のホームページ制作をお考えの方は、株式会社リヒトスまでお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

当社ではホームページの制作と管理をおこなっています。

ホームページの管理費は月額換算で3,300円からです(年払い税込39,600円から)。

ホームページの管理をさせて頂いているお客様には、ブログ記事の書き方に関するご相談なども受けております。

これから作るホームページの制作、現在お持ちのホームページのリニューアルや保守管理に関してなど、ホームページに関することはなんでもお気軽にご相談ください。