
目次
はじめに

ホームページのリニューアルをご相談いただく際、「せっかくだからドメインも新しくしたい」とおっしゃる経営者様は少なくありません。
しかし結論から申し上げると、ドメインは特別な理由がない限り、そのまま使い続けることをおすすめします。
ドメインは、長く使うほど会社にとって大切な資産になっていきます。
安易に変更すると、検索からの流入や取引先との連絡に思わぬ影響が出ることもあります。
この記事では、リニューアルでドメインを変更しない方がよい理由と、それでも変更した方がよいケース、そして変更する場合に必要な対応と運用の負担までを、中小企業のご担当者様にも分かりやすくご説明します。
ホームページのドメインとは

ドメインとは、「〇〇.com」や「〇〇.co.jp」のような、インターネット上におけるホームページの住所のようなものです。
リニューアルをしても、ドメインは原則そのまま使い続けられます。
[画像挿入推奨: ドメイン=Web上の住所であることを示す概念図]
例えば弊社のドメインは「lichtos.co.jp」です。
このドメインはホームページのアドレス(URL)に使われるだけでなく、メールアドレスの「@」より後ろの部分にも使われています。
つまりドメインは、ホームページとメールの両方を支える、会社の連絡先そのものです。
だからこそ変更には慎重な判断が必要になります。
なお、これから新しくドメインを取得される方は、別記事の知らないと怖い「ドメイン」の5つの注意点もあわせてご参照ください。
リニューアルでドメインを変更しない方がよい理由

ドメインをそのまま使い続けることをおすすめするのには、いくつかの理由があります。
ここでは特に影響の大きい4つの観点を、具体的な場面とあわせてご紹介します。
いずれも中小企業のホームページで実際に起こりうる内容です。
Web上の住所を失ってしまう
ドメインは、Web上における会社の住所です。お客様が依頼しようと訪ねたら引っ越していた、という状況を想像すると分かりやすいかもしれません。
ドメインを変えると、これまでホームページにたどり着いていたお客様との接点を失う可能性があります。
新しいアドレスへ案内する仕組みは用意できますが、すべての訪問者を確実に誘導できるとは限りません。
メールアドレスが使えなくなる
ドメインを変更すると、多くの場合メールアドレスも新しいドメインのものに変わります。
これは必ず変更しなければならないわけではありませんが、一般的には連動して変えるケースが多いです。
その際、過去に名刺交換しただけの相手など、すべての取引先へ新しいアドレスを周知するのは簡単ではありません。
久しぶりに連絡をくれた取引先のメールが届かない、という事態も起こりえます。
例えば製造業のお客様では、長年取引のある発注先が古いアドレスにメールを送り続けてしまう、といったリスクが考えられます。
名刺・印刷物の差し替えが必要になる

ドメインを変えると、名刺やパンフレット、チラシに印刷したホームページのアドレスをすべて差し替える必要があります。
メールアドレスも変えた場合は、その表記も同様です。
飲食店であればグルメサイトや予約サイトに登録したURL、士業の方であれば各種名簿に掲載されたアドレスなど、自社以外の場所に載っている情報の修正にも手間がかかります。
検索エンジンの評価・被リンクの引き継ぎ
長く運営してきたホームページには、検索エンジンからの評価が蓄積されています。
ドメインを変更すると、検索エンジンに新しいホームページとして認識され、この評価がいったんリセットされてしまう可能性があります。
ここで注意したいのが、「ドメインは古いほど評価が上がる」という説明をよく見かける点です。
しかしGoogleは、ドメインの登録年数(古さ)そのものは検索順位を決める要因ではないと説明しています。
古いドメインが有利に見えるのは、長年の運営で積み上げた被リンク(他サイトから貼られたリンク)やコンテンツ、検索エンジンに登録された履歴が蓄積されているからであり、“年齢”そのものが評価されているわけではありません。
これらの蓄積は、後述する301リダイレクトという仕組みで、ある程度は新しいドメインへ引き継ぐことができます。
ただし完全に同じ状態を保証するものではないため、やはり変更には相応のリスクが伴います。
それでもドメインを変更した方がよいケース

ここまで「そのまま」を基本としてご説明しましたが、ドメインの変更が常に悪いわけではありません。
目的によっては、変更が合理的な選択になる場合もあります。代表的なケースを中立的に整理します。
社名の変更や法人化、事業内容が大きく変わったときは、ドメインの見直しを検討する余地があります。
旧ドメインが現在の会社名や事業と大きくずれていると、かえって分かりにくくなることもあるためです。
次に、ドメインの所有者が自社ではなく、制作会社など第三者になっている場合です。
この状態だとそもそもドメインを引き継げないことがあり、所有者の確認や名義移管の交渉が必要になります。
詳しくはホームページの管理会社を変更する方法もご参照ください。
最後に、ホームページ作成ツールの無料プランで作られたサイトなどで、独自ドメインを持っていない場合です。
信頼性や将来の運用の安定性を考え、リニューアルを機に独自ドメインへ移行するのは前向きな選択といえます。
ドメインを変更する場合に必要な対応と運用・保守の負担
ドメインを変更すると決めた場合、作業は「切り替えて終わり」ではありません。
むしろ切り替えた後に、継続的な運用・保守の負担が発生する点を見落とさないことが大切です。
ここはあらかじめ把握しておきたいポイントです。
301リダイレクトの設定

301リダイレクトとは、検索エンジンや訪問者に対して「このページは新しい住所へ恒久的に移動しました」と伝える仕組みです。
これを設定することで、旧ドメインにアクセスした人を自動的に新しいドメインへ案内できます。
Googleは、301などの恒久的なリダイレクトによってリンクの評価(いわゆるPageRank)が失われることはないと説明しています。
ただし、移行の処理中は順位が一時的に変動し、検索エンジンが大半のページを新しい場所へ移すまでに、中規模のサイトでも数週間、大規模なサイトではそれ以上かかるとされています。
特に注意したいのが、ドメインの変更とデザイン・構成の刷新を同時に行うケースです。この場合、検索エンジンが各ページを改めて評価し直すため、一時的に流入が落ちることがあります。
リニューアルではこの2つが重なりやすいため、慎重な計画が欠かせません。なお、リダイレクトは少なくとも1年は維持しておくのが安全です。
(出典:Google検索セントラル「サイトの移転(URLの変更あり)」)
URL単位での移管の考え方は、既存のページを新しいホームページに移管する時の注意点でも解説しています。
メール転送と各種登録先の変更

ドメインを変えるとメールアドレスも変わるため、旧アドレス宛のメールを新アドレスへ転送する設定が必要になります。
そして「この転送をいつまで維持するか」という運用判断が、その後ずっと付いて回ります。
あわせて、各種サービスに登録したメールアドレスやURLの変更も発生します。
取引先への通知、SNSやポータルサイトの登録情報の更新など、一度では終わらない継続的な作業になりがちです。
旧サーバーの解約タイミング
ドメインやサーバーを切り替えた直後は、新旧どちらのサーバーにアクセスが向かうか定まらない不安定な期間があります。
この期間に旧サーバーを急いで解約すると、ホームページが表示されない、メールが届かないといったトラブルにつながります。
弊社の経験でも、切り替え後しばらくは新旧両方のサーバーを並行して維持し、安定を確認してから旧サーバーを停止する流れが安全です。
こうした見極めも、保守管理の現場で培われるノウハウの一つです。
サーバーを変更する場合のドメイン設定(DNS)

ドメインは同じまま使い続けるけれど、サーバーだけを別の会社に変える、というケースもあります。
この場合はドメインそのものは変わりませんが、ドメインとサーバーを結びつける「DNS」の設定変更が必要になります。
先ほどのドメイン変更とは別のシナリオとして整理しておきましょう。
別のサーバー(A社からB社)へ移す場合、弊社ではまず「仮想サーバー」と呼ばれる仮の環境に新しいホームページを作り、動作を確認しながら制作を進めます。
完成後に新しいサーバーへデータを移し、ドメインに登録された「どのサーバーにホームページがあるか」という情報(DNS)を書き換えます。
この書き換えにより、旧サーバー側の表示は切り替わります。
一方、今と同じサーバーをそのまま使う場合は、特別なDNSの変更は基本的に不要です。
既存サイトを少しずつ改良する方法と、同じサーバー内に新しいサイトを作って完成後に切り替える方法があります。
いずれの場合も切り替え時には一時的に表示が不安定になりうるため、タイミングへの配慮が欠かせません。
サーバーそのものの基本についてはサーバーとはもご参照ください。
業種別に見るドメイン変更の影響

ドメイン変更の影響度は、業種によって少しずつ異なります。
自社に当てはめてイメージしやすいよう、いくつかの業種で具体的に見てみましょう。
士業の方は、各種名簿や紹介サイトにURL・メールアドレスが掲載されているため、変更時の周知の手間が大きくなりがちです。
飲食店は、グルメサイトや予約サイトに登録したURLの修正や、そこからの被リンクの扱いに注意が必要です。
製造業では、取引先からの発注メールが旧アドレスに届き続けるリスクがあります。
小売店やECサイトでは、リピーターのブックマークが切れて再訪が減る懸念があります。
マンション管理組合や各種団体では、居住者・会員への周知コストが無視できません。
弊社でも業種ごとの事情に応じた進め方をお手伝いしています。
よくあるご質問

リニューアルとドメインについて、ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。
Q: リニューアルしたら、ドメインは必ず変わりますか?
いいえ。
リニューアルをしても、独自ドメインを自社で所有していれば原則そのまま使い続けられます。
デザインや構成を一新しても、ドメインを変える必要はありません。
Q: ドメインを変えると、検索順位は必ず下がりますか?
必ず下がるとは限りません。
301リダイレクトを正しく設定すれば、リンクの評価は引き継げるとされています。
ただし再評価に時間がかかり、順位が完全に元へ戻る保証はないため、リスクのある作業だとお考えください。
Q: 制作会社がドメインを持っている場合はどうなりますか?
まずドメインの所有者(名義)を確認することが大切です。
所有者が自社でない場合は、名義の移管やDNSの設定変更を依頼する必要があります。
詳しくはホームページの管理会社を変更する方法をご覧ください。
Q: ドメインはいつでもすぐに移管できますか?
ドメインの種類や状況によっては、取得や移管の直後など、一定期間は移管手続きができない場合があります。
リニューアルでドメインの管理先も移す予定がある場合は、早めにスケジュールへ余裕を持たせておくことをおすすめします。
Q: 古いドメインは新しいドメインより本当に有利なのですか?
有利に働くのは、ドメインの“年齢”そのものではなく、これまでに蓄積された被リンクやコンテンツ、検索エンジンへの登録履歴です。
これらの資産を手放さないために、特別な理由がなければドメインの継続使用をおすすめします。
まとめ

ホームページのリニューアルにおいて、ドメインは特別な理由がない限り、そのまま使い続けるのが基本です。
社名変更や第三者所有といった事情があるときは変更も選択肢になりますが、その場合は301リダイレクト、メールの転送、旧サーバーの解約タイミングといった運用・保守の負担が継続的に発生します。
長年積み上げてきたドメインの価値を無駄にしないためにも、変更の判断は目的と影響を見極めたうえで行うことが大切です。



