はじめに

「EmDash(エムダッシュ)」は、Cloudflareが開発したCMS(コンテンツ管理システム)です。

WordPressで自社のホームページを運用してきて、EmDashへの移行を決めた、または準備を始めた経営者様・ご担当者様もいらっしゃると思います。

EmDashには、WordPressの記事や画像を取り込む機能があります。

ただし、移行は記事を取り込んで終わりではありません。

見た目と機能の作り直し、URLと公開先の切り替えまでが、一続きの作業になります。

この記事では、WordPressからEmDashへの移行の全体像、移す前に確かめること、7つの手順、注意したいこと、切り替えた後にやることを順に紹介します。

あわせて、業種別に気をつけたい点と、よくある質問も整理します。

なお、この記事で扱うのは、句読点の「エムダッシュ(—)」ではなく、CMSのEmDashです。

内容は、2026年11月8日時点の公式の情報に基づいています。

対象の版は、最新版のEmDash 1.4.0と、WordPressに入れる移行用のプラグイン「EmDash Exporter」1.2.0です。

WordPressそのものの仕組みはWordPressとは、EmDashの特徴はEmDashの基本をまとめた記事で解説しています。

WordPressからEmDashへの移行の全体像

WordPressからEmDashへの移行は、「データを移す」「作り直す」「切り替える」の3つの仕事に分かれます。

記事の取り込みは管理画面の操作で進みますが、時間がかかるのは、デザインと機能の作り直しと、公開前の確認です。

まずは全体の流れを押さえておきましょう。

移行は3つの仕事に分かれる

移行の作業を中身ごとに分けると、次の3つになります。

仕事主な中身使うもの
データを移す記事・固定ページ・画像・カテゴリやタグ・投稿者EmDashの公式の取り込み機能
作り直すデザイン(テーマ)、問い合わせフォームなどの機能Astroのテンプレート、EmDashのプラグイン、外部のサービス
切り替えるURLと転送、ドメインの向き先、計測EmDashのリダイレクトの機能、DNS、Google Search Consoleなど

EmDashは、Astro(ウェブサイトを作るための仕組み)を土台にしています。

WordPressのテーマはPHPというプログラムの言語で書かれているため、EmDashではそのまま動きません。

プラグインも同じで、記事は移せても、見た目と機能は作り直しが前提です。

移す前に、移行するかを決めておく

作業に入る前に、EmDashへ移すこと自体が自社に合っているかを確かめておきましょう。

プラグインに頼った機能が多いサイトや、社内で更新を担う人が決まっていないサイトでは、移した後の手間が増えることがあります。

PHPの脆弱性への不安がきっかけの場合は、まずWordPressとPHPを最新に保つことで足りる場合もあります。

どちらが向いているかは、EmDashとWordPressの違いで、保守の手間まで含めて比べています。

移行の流れ(7つの手順)

この記事では、公式ドキュメントの流れに沿って、次の7つの手順で移行を進めます。

  1. WordPressのバックアップを取る
  2. EmDashのサイトを用意する
  3. 取り込み方を選んで準備する
  4. 管理画面で取り込む
  5. 画像を取り込み、リンクを書き換える
  6. デザインと機能を作り直し、元のサイトと比べる
  7. 転送を用意し、公開先を切り替える

公式ドキュメントは、取り込んだサイトの確認が終わるまで、WordPressのサイトを使える状態で残しておくよう案内しています。

手順7で切り替えるまで、WordPressのサイトは今までどおり公開しておきます。

移行の前に確かめること

WordPressからEmDashへ移せるものは、取り込みの方法と、今のサイトの作りによって変わります。

作業を始めてから移っていないものに気づくと、やり直しの手間が増えます。

手順に入る前に、次の4つを確かめておきましょう。

取り込みで移るもの・移らないもの

EmDashへの取り込みには、WordPressの書き出しファイル(WXR形式)を使う方法と、WordPressに「EmDash Exporter」を入れて連携する方法があります。

どちらを使うかで、移るものは次のように変わります(2026年11月8日時点・EmDash 1.4.0/EmDash Exporter 1.2.0)。

項目書き出しファイル(WXR)EmDash Exporter
投稿・固定ページ・カスタム投稿タイプ移る移る
カテゴリ・タグ移る移る
独自の分類(カスタムタクソノミー)EmDash側に定義がないと、割り当てが飛ばされる定義を作って移せる
画像などのメディア移る(取り込み中にWordPressから取得)移る(同左)
投稿者EmDashのユーザーに割り当てる。割り当てなければ「執筆者」として表示同左
カスタムフィールド・ACF標準の項目だけ対応する項目があれば移る
Yoast SEO・Rank MathのSEOタイトルと説明移らない移る(テンプレートで表示が必要)
メニュー移らない移る(Exporter 1.1.0以降)
コメント・ロゴ・ファビコン移らない移る(Exporter 1.2.0以降)
テーマ・プラグインとその設定移らない移らない
ユーザーとパスワード移らない移らない

ブロックエディター(Gutenberg)の記事とクラシックエディターの記事は、どちらもEmDashの本文の形式(Portable Text)に変換されます。

WordPressの再利用ブロックは、書き出しファイルで取り込むと、EmDashの「セクション」になります。

※メニューの書き出しはExporter 1.1.0から、コメント・ロゴ・ファビコンの書き出しは1.2.0から対応しています。古い版では、これらが知らせのないまま取り込まれずに終わることがあるため、セキュリティの修正も含む1.2.0以降を使いましょう。

記事の状態と日付の扱い

WordPressの記事の状態は、取り込むときに置き換わります。

公開済みの記事は公開のまま、下書き・承認待ち・非公開・ゴミ箱の記事は下書きになります。

予約投稿は、公開日がまだ先のものは予約として取り込まれ、公開日を過ぎていたものは下書きになります(EmDash 1.2.0の変更履歴)。

WordPressのパスワード保護などの公開範囲は、EmDashでは再現されません。

特に気をつけたいのが、パスワード保護をかけた記事です。

パスワード保護は、WordPressでは記事の状態ではなく公開設定の1つのため、公開済みの記事として取り込まれ、パスワードは引き継がれません(EmDash 1.4.0のプログラムで確認)。

取り込んだ時点で、その記事のページや記事の一覧、RSSから内容を読める状態になります。

そのため、パスワード保護の記事や会員向けの資料がある場合は、取り込みを始める前に、移行先のサイト全体を関係者だけが見られる状態にしておきましょう。

仮のアドレスで作業していても、閲覧の制限がなければ、誰でも内容を見られる可能性があります。

検索エンジンに載せない設定(noindex)では、閲覧そのものは防げません。

Cloudflareで動かしている場合は、Workerの「Access」の設定で、サイト全体にログインを求める方法があります(Cloudflare Zero Trustの設定が必要・Cloudflare公式ドキュメント)。

各ページと添付ファイルの公開範囲を確かめ、必要な保護を設定してから一般に公開します。

なお、公式のリポジトリでは、書き出しファイルで取り込む場合に、こうした記事を下書きとして取り込む修正が提案されています(2026年11月8日時点で未反映)。

Exporterはパスワードの情報を送らないため、Exporterで取り込む場合は、この修正の後も扱いが変わらない見込みです。

公式ドキュメントは、取り込んだ下書きを公開する前に、すべて確認するよう案内しています。

WordPressで非公開にしていた記事が、確認しないまま公開されることのないようにしましょう。

WordPressのプラグインがしていた仕事を書き出す

WordPressでは、多くの仕事をプラグインに任せていたはずです。

EmDashではそのプラグインが動かないため、どの仕事を、何で代わりにするかを先に決めておきます。

プラグインがしていた仕事EmDashでの主な代わり
お問い合わせフォームEmDashのフォームのプラグイン、または外部のフォームのサービス
アクセス解析のタグ(GA4・Site Kitなど)サイトのテンプレートにタグを書く
広告のコード・ads.txtサイトのテンプレートやファイルに置く
SEO(タイトル・説明・サイトマップ)EmDashのSEOの機能
転送(リダイレクト)EmDashのリダイレクトの機能
ページのキャッシュ・高速化移さない(EmDashのページのキャッシュを、動かす場所に合わせて設定する)
バックアップ・セキュリティ動かす場所に合わせて、別に用意する
会員・ネット販売別のサービスやアプリとして扱う

EmDashには、記事ごとのSEOの設定、サイトマップ(sitemap.xml)、robots.txt、転送と404エラーの記録の機能が用意されています(2026年11月8日時点)。

一方、ページのキャッシュのように、WordPressの仕組みを補うためだけのプラグインは移さないよう、公式ドキュメントが案内しています。

ネット販売(WooCommerce)の商品・カート・決済・注文は、別のアプリとして扱う前提です。

今のURLの形と、日本語のURLを確かめる

移行で見落としやすいのが、URLです。

WordPressの「設定」→「パーマリンク」で、記事のURLの形(日付が入るか、投稿名だけかなど)を記録しておきます。

カテゴリやタグのページのURLも同じです。

書き出しファイルで取り込むと、本文の中の自社サイトへのリンクは、ドメインを除いた形(/2024/05/my-post/ など)に書き換わります(EmDash 1.2.0以降)。

WordPressのURLの形はそのまま残るため、EmDashのサイトのURLの形が違う場合は、転送を用意する必要があります。

あわせて、URLの末尾に日本語が入っている記事がないかも確かめましょう。

日本語のURLには、1.4.0の時点で気をつけたい点があります(後述)。

検索から人が来ているページは、Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」で確かめておくと、優先して確認するページを決められます。

WordPressからEmDashへ移行する7つの手順

ここからは、WordPressからEmDashへ移行する手順を、公式ドキュメント(EmDash 1.4.0)の流れに沿って紹介します。

AIエージェント(指示を受けて作業を進めるAI)に任せられる作業もありますが、それぞれの手順で人が確かめる点も添えています。

手順1:WordPressのバックアップを取る

最初に、WordPressのデータベースと、画像などが入った wp-content/uploads フォルダーのバックアップを取ります。

公式ドキュメントが、移行の前に用意するものとして挙げているものです。

取り込みは、WordPressの記事のデータを書き換える作業ではありません。

それでも、Exporterを入れたり、設定を変えたりする前に、元に戻せる状態を作っておきます。

このバックアップは、切り替えが終わった後もしばらく残しておきます。

手順2:EmDashのサイトを用意する

次に、取り込み先になるEmDashのサイトを作ります。

表示用のページがそろったテンプレート(ブログ用など)から作ると、取り込んだ記事をすぐに画面で確かめられます。

画像も移す場合は、画像の保存先を設定しておく必要があります。

Cloudflareで動かす場合は、R2(Cloudflareのファイルの保存先)などを使います。

取り込みの操作には、EmDashの管理者の権限が必要です。

この段階では本番のドメインはまだ向けず、Cloudflareなどが用意する仮のアドレスで作業します。

EmDashのサイトの作り方は、EmDashでサイトを作る流れで詳しく解説しています。

手順3:取り込み方を選んで準備する

取り込み方は、書き出しファイルを使う方法と、EmDash Exporterで連携する方法の2つです。

Exporterを入れていないWordPressのサイトのURLを入れるだけでは、公開されている記事などの数を数えるだけで、取り込みはできません(公式ドキュメント)。

書き出しファイル(WXR)を使う場合

WordPressの管理画面で「ツール」→「エクスポート」を開き、「すべてのコンテンツ」を選んで書き出しファイルをダウンロードします。

このファイルには画像そのものは含まれず、画像の場所(URL)だけが書かれています。

EmDash Exporterを使う場合

GitHubの公式のページ(emdash-cms/wp-emdash)のリリースから、「emdash-exporter.zip」をダウンロードします。

WordPressの「プラグイン」の画面から、このzipファイルをアップロードして入れます。

同じページにある「Source code」のzipは、そのまま入れるためのファイルではありません。

2026年11月8日時点では、WordPress.orgのプラグインディレクトリには見当たりませんでした。

Exporter 1.2.0の動作環境は、WordPress 5.6以上・PHP 7.4以上です。

有効にしたら、「ツール」→「EmDash Migration」で移行キーを作ります。

移行キーは作ったときに一度だけ表示されるため、その場で控えておきましょう。

Exporterは、WordPressの「アプリケーションパスワード」という仕組みで接続します。

サイトがHTTPSでない場合や、セキュリティのプラグインがこの仕組みを止めている場合は使えないため、Exporterの画面の確認項目に沿って直します。

Cloudflareのボット対策を使っているWordPressのサイトでは、EmDashからの接続が止められることがあります。

Cloudflareの無料プランのボット対策「Bot Fight Mode」は、WAFのカスタムルールやPage Rulesでは除外できません(Cloudflare公式ドキュメント・2026年11月8日時点)。

この機能がEmDashからの接続を妨げている場合は、移行の間だけオフにする方法があります。

オフにした場合は、移行が終わったら元の設定に戻しましょう。

手順4:管理画面で取り込む

準備ができたら、EmDashの管理画面で取り込みます。

サイドバーの「インポート」から「WordPressからインポート」の画面を開き、書き出しファイルをアップロードするか、移行キーを貼り付けます。

取り込む前に、内容の分析結果が表示されます。

WordPressの投稿の種類ごとに、EmDashのどのコンテンツタイプ(コレクション)に入るか、項目の種類が合っているかを確かめます。

すでにある項目と種類が合わない場合、EmDashは項目を変換せず、そのコンテンツタイプの取り込みは止まります。

続いて、WordPressの投稿者をEmDashのユーザーに割り当てます。

割り当てない投稿者は、ログインできない「執筆者」として記事に表示されます。

Exporterの場合は、メニュー、サイトのタイトルとキャッチフレーズ、ロゴとファビコン、SEOの値を取り込むかも選べます。

最後に「インポートを開始」を押します。

新しいコンテンツタイプを作る必要がある場合は、ボタンが「スキーマを作成してインポート」になります。

途中で止まった場合は、もう一度実行すると、すでに取り込んだ記事は飛ばされます。

照合はWordPressの記事のIDではなく、コンテンツタイプ・スラッグ(URLの末尾の文字列)・言語で行われます(公式ドキュメント)。

止まった後に、WordPressのサイトを削除したり、転送をかけたりしないよう注意しましょう。

手順5:画像を取り込み、リンクを書き換える

画像などの添付ファイルがある場合は、記事の取り込みに続いて、メディアの取り込みに進みます。

EmDashがWordPressのサイトから画像を取得して保存先に入れ、本文の中の画像のURLを新しいものに書き換えます。

同じ画像は、ファイルの中身で重複を見分けて1つにまとめます。

この手順では、EmDashがWordPressのサイトに外から接続して画像を取りに行きます。

そのため、取り込みの間はWordPressのサイトを公開しておく必要があります。

ログインしないと見られない画像や、すでに削除されたファイルは取り込めず、エラーの一覧に残ります。

パソコンの中や社内のネットワークだけで動いているWordPressからは、画像を取り込めない点にも注意が必要です。

EmDashは安全のため、外から見えないアドレスへの接続を受け付けない作りになっています(EmDash 1.4.0のプログラム)。

公開中のWordPressのサイトから移すのが基本です。

手順6:デザインと機能を作り直し、元のサイトと比べる

WordPressのテーマは、EmDashではそのまま使えません。

公式ドキュメントは、テーマをPHPのまま読み込むのではなく、Astroのテンプレートとして作り直す方法を案内しています。

WordPressの記事ページや一覧ページの役割を、Astroのページのファイルに1つずつ置き換えていく形です。

最新の投稿の一覧などのように、表示用のHTMLを本文に保存せず、WordPress側で中身を作っていたブロックは、元のブロックの記述だけが残ったHTMLのブロックとして取り込まれ、そのままでは何も表示されません。

一方、HTMLや内部のブロックが保存されているブロックは、一部の内容が表示されることがあります(EmDash 1.4.0のプログラム)。

ただし、WordPress側の動的な処理は引き継がれないため、表示と動作を確かめ、必要に応じて作り直します。

ショートコードは、角かっこで書かれた文字列がそのまま表示され、機能は動きません。

ページビルダーで作ったページも、表示を確かめ、作り直すか削除します。

デザインと機能の作り直しは、AIエージェントに任せやすい作業です。

EmDashの公式のリポジトリには、WordPressのテーマとプラグインをEmDashへ移すための、AI向けの手順書(Agent Skills)が用意されています(2026年11月8日時点)。

作り直したら、元のWordPressのサイトと並べて比べます。

公式ドキュメントが挙げる主な確認項目は、次のとおりです。

  • 投稿の種類と状態ごとの件数が合っているか
  • ブロックエディター・クラシックエディター・ショートコードで作った代表的な記事の表示
  • アイキャッチ画像と本文の画像が、EmDash側のURLで表示されるか
  • 投稿者・執筆者、カテゴリ、タグ、独自の分類
  • メニュー、コメント、サイトの情報、SEOの項目(Exporterで取り込んだ場合)
  • 下書きが、ログインしていない人に見えないか

手順7:転送を用意し、公開先を切り替える

確認が終わったら、WordPressのときとURLが変わるページに、転送(リダイレクト)を用意します。

EmDashの管理画面の「リダイレクト」で、元のURLから新しいURLへの301(恒久的な転送)などを設定できます。

/old/[slug] のように、まとめて転送するパターンも使えます。

次に、本番のドメインをEmDashのサイトに向けます。

Cloudflareで動かす場合は、Cloudflareの管理画面で、EmDashのプログラムを動かすWorkerにドメインを追加します。

新しいドメインでサイトが表示されたら、EmDashの「設定」→「一般」の「ドメインを変更」で、サイトのURLを切り替えます。

ログインに使うパスキー(指紋や顔認証などで本人を確かめる仕組み)は、作ったときのアドレスでしか使えません。

仮のアドレスでログインしている間に、「設定」→「一般」に出る「(新しいドメイン)で続行」から新しいドメインに移り、パスキーを登録し直します(公式ドキュメント)。

切り替えた後は、Google Search Consoleで新しいサイトマップを送信しておきましょう。

EmDashのサイトマップは、SEOの設定を有効にしたコンテンツタイプについて作られます(公式ドキュメント)。

WordPressからEmDashへの移行で注意したい5つのこと

手順どおりに進めても、つまずきやすい点があります。

ここでは、2026年11月8日時点で特に気をつけたい5つを紹介します。

版によって変わる内容もあるため、作業の前に最新の情報を確かめてください。

1.4.0に残っている不具合を確かめてから移す

EmDashは開発が速く、移行に関わる不具合も次々に直されています。

2026年11月8日時点で、公式のリポジトリには次の不具合を直す変更が登録されていますが、最新版の1.4.0にはまだ入っていません。

  • 日本語などを含むURLを転送元にした転送が一致せず、404になる
  • クラシックエディターの記事が、1つの長い段落として取り込まれる
  • 書き出しファイルの取り込みで、同じ投稿者の執筆者が30件ごとに別々に作られる
  • Exporterで取り込んだメニューで、カスタム投稿タイプの記事へのリンクが消える
  • 下書きとして取り込んだ記事の日付が消える

URLに日本語を含む記事や、クラシックエディターで書いた記事が多いサイトは、少数の記事で試してから進めましょう。

記事が開けるか、転送が効くかを試した結果で、修正が入った版を待つか、別の方法を用意するかを決めるのが安全です。

どの版で修正が入るかは、公式のリリースノートで確かめてください。

URLを変えるなら、転送と順位の変動に備える

URLが変わるページは、元のURLへのリンクや検索の評価が、新しいURLに引き継がれるようにしておく必要があります。

Googleは、URLが変わるサイトの移転について、次のように案内しています。

マッピングで示したように、元の URL から新しい URL へのサーバーサイドの永続的なリダイレクトをおすすめします。

Google 検索セントラル「サイトを移転する方法」(2026年11月8日時点)

同じページでは、移転の間は検索の掲載順位が一時的に変わることがあり、時間の経過とともに落ち着くとも説明されています。

URLの洗い出しや新旧の対応表、転送の設計の進め方は、ホームページの引き継ぎの手順で詳しく解説しています。

ドメインをCloudflareに向けるときは、メールの設定も確かめる

CloudflareでEmDashを動かし、Workerにドメインを追加するには、そのドメインがCloudflareで有効な状態(アクティブなゾーン)になっていることが前提です。

また、同じ名前にCNAMEの記録がすでにあると、追加できません(Cloudflare公式ドキュメント・2026年11月8日時点)。

Cloudflareの無料プランとProプランで選べるのは、Cloudflareをドメインの主なDNSとして使う形(フルセットアップ)だけです(Cloudflare公式ドキュメント・2026年11月8日時点)。

DNS(ドメインと接続先を結びつける仕組み)の管理をCloudflareに移すときは、ホームページだけでなく、メールの設定(MXの記録など)も漏れなく移す必要があります。

移し忘れると、メールが届かなくなることがあります。

メールソフト側で必要になる対応は、サーバー移転時のメール設定で解説しています。

移行キーとExporterは、終わったら片付ける

Exporterの移行キーは、WordPressのアプリケーションパスワードをもとにした「合い鍵」のようなものです。

Exporterの画面にも、移行キーを持っている人はサイトのすべての内容を読み取れる、という趣旨の注意書きがあります。

移行が終わったら、Exporterの画面の「Revoke key」で移行キーを取り消しましょう。

Exporter 1.2.0では、プラグインを無効にしたり削除したりすると、すべてのユーザーの移行キーが取り消されます。

WordPressを残しておく間も、使わなくなったExporterは無効にしておくと安心です。

また、1.2.0より前のExporterは、ACFの関連項目(関連する投稿やユーザーを選ぶ項目)を書き出すときに、関連する投稿のパスワードや、ユーザーのメールアドレス、パスワードを変換した値(ハッシュ)まで含まれることがありました。

以前の版で取り込んだサイトは、該当する項目に余計な情報が入っていないか確かめておきます(EmDashとExporterの変更履歴)。

テーマのデザインや画像を使い回すときは、権利を確かめる

元のサイトのデザインを再現したい場合、テーマのコードや、テーマに付いていた画像を使い回すことがあります。

EmDashの公式のAI向けの手順書は、テーマのコードやデモの画像の権利(ライセンス)を確かめ、使ってよいものだけを再利用するよう定めています。

有料のテーマを使っていた場合は、提供元の利用規約で、別の仕組みへの移植が認められているかを確認しましょう。

判断に迷う場合は、提供元や専門家に相談することをおすすめします。

切り替えた後にやること

公開先を切り替えても、移行はまだ終わりではありません。

しばらくは元のWordPressを残し、取りこぼしがないかを確かめながら、EmDashの運用に移っていきます。

WordPressはすぐに消さない

公式ドキュメントは、新しいサイトが本番で問題なく動き、元に戻す必要がなくなるまで、バックアップとWordPressを残しておくよう案内しています。

問題が見つかったときに、ドメインの向き先を戻せるようにしておくためです。

ただし、切り替えた後にEmDashで書いた記事や、受け付けた問い合わせは、WordPressには入っていません。

戻す場合は、それらを別に移す必要がある点に注意しましょう。

404エラーの記録とSearch Consoleで、取りこぼしを拾う

EmDashの管理画面の「リダイレクト」には、「404エラー」の記録があります。

見つからなかったURLが多い順に並ぶため、そこから転送を追加したり、削除したページとして410を返したりできます。

あわせて、Google Search Consoleで、ページのインデックスの状況やエラーを確かめます。

問い合わせフォームから実際に送信してみる、アクセス解析の数値が計測されているかを見る、といった確認も、切り替えの直後に行っておきましょう。

移した後は、EmDashの保守に切り替える

EmDashに移った後も、保守は必要です。

本体の更新、データベースのバックアップ、プラグインの権限の確認、アカウントの管理など、WordPressとは中身の違う作業が続きます。

移した後にやることは、公開後にやることの全体像にまとめています。

業種別に見る、移行で気をつけたいこと

移行で気をつけたい点は、業種によっても変わります。

ここでは5つの業種を例に、移す前に確かめておきたいことを紹介します。

向き・不向きを決めつけるものではなく、検討の手がかりとしてご覧ください。

士業(税理士・社労士・行政書士など)

お知らせやコラムが中心のサイトは、記事の取り込みを比較的進めやすい傾向があります。

一方、問い合わせフォームはプラグインで作っていることが多く、作り直しが必要です。

送信先のメールアドレスと、送られた内容の保存先を、作り直す前に書き出しておきましょう。

飲食店・小売店

予約やネット販売の機能を、ショートコードやプラグインで埋め込んでいる場合は、取り込んでも機能は動きません。

ショートコードは文字列のまま表示されることがあるため、取り込んだ後に表示を確かめます。

予約は外部のサービスの埋め込みを作り直し、ネット販売は別のサービスとして残す方法も検討します。

公式ドキュメントも、WooCommerceのネット販売は別のアプリとして扱う前提です。

整骨院・クリニック

予約や問診のフォーム、料金表をプラグインのブロックで作っている場合は、作り直しが必要です。

フォームから送られる内容の扱いは、作り直しの段階で改めて確認しておきます。

掲載できる表現には業界ごとのルールがあるため、判断に迷う内容は所管の窓口や専門家にご確認ください。

工務店・不動産

施工事例や物件の情報を、カスタム投稿タイプとACFで管理しているサイトは多くあります。

Exporterで取り込むと、関連する記事や画像を選ぶ項目は、WordPressのIDやWordPressの画像を指したままの値になります。

テンプレートで使う前に、項目を整理し直す必要があります。

写真が多い場合は、画像の取り込みにかかる時間と、保存先の容量も見込んでおきましょう。

マンション管理組合・団体

会員向けにパスワード保護をかけていたページは、パスワードが引き継がれず、公開済みのページとして取り込まれます。

取り込みを始める前に移行先のサイト全体に閲覧の制限をかけ、確認が終わってから一般に公開しましょう。

総会資料などの見せ方は、EmDash側で決め直します。

ログインしないと見られない添付ファイルは取り込めないため、別に移します。

役員の交代に備えて、EmDashの管理者は2人以上にしておくと安心です。

WordPressからEmDashへの移行に関するよくある質問

WordPressからEmDashへの移行で、出てきやすい疑問にお答えします。

版によって変わる内容もあるため、記載の時点もあわせてご確認ください。

Q: WordPressのテーマやプラグインは、そのまま使えますか?

そのままでは使えません。

記事や画像、カテゴリなどは取り込めますが、デザインと機能は、EmDashとAstroに合わせて作り直す必要があります。

Q: 移行すると、検索順位は下がりますか?

CMSを変えただけで、検索順位が上がったり下がったりするわけではありません。

気をつけたいのは、URLが変わるページです。

Googleは、URLが変わる移転では恒久的なリダイレクトを勧めており、移転の間は掲載順位が一時的に変わることがあるとも説明しています。

Q: 記事が多いサイトでも取り込めますか?

Exporterは、Cloudflare Workersの処理の上限に合わせて、記事を小分けにして送る仕組みです(公式ドキュメント)。

途中で止まっても、もう一度実行すれば、取り込み済みの記事は飛ばされます。

記事が多いサイトは、少数で試して件数と時間を見積もってから進めると安心です。

Q: 移行の作業中も、WordPressで記事を書いてよいですか?

書くことはできますが、注意が必要です。

取り込みをやり直しても、すでに取り込んだ記事はスラッグで照合されて飛ばされるため、取り込んだ後にWordPressで直した内容は反映されません。

切り替えまで更新を止めるか、直した記事をEmDash側でも直す運用にしておきましょう。

Q: 移行の作業は、AIエージェントに任せられますか?

デザインと機能の作り直しは、AIエージェントに任せやすい作業です。

EmDashには、WordPressのテーマやプラグインを移すためのAI向けの手順書も用意されています。

ただし、何を移すか、URLをどうするか、いつ切り替えるか、アカウントを誰の名義にするかは人が決め、結果も人が確かめる必要があります。

まとめ

WordPressからEmDashへの移行は、記事を取り込むだけでなく、作り直しと切り替えまで含めた作業です。

この記事の要点を振り返ります。

  • 移行は「データを移す」「作り直す」「切り替える」の3つの仕事に分かれる
  • 書き出しファイルとExporterで、移るものが違う。テーマとプラグインは作り直しが前提
  • 公式の流れに沿って、バックアップから切り替えまで7つの手順で進める
  • 1.4.0には、日本語のURLの転送などに不具合が残っているため、少数の記事で試してから移す
  • 確認が終わり、元に戻す必要がなくなるまで、WordPressとバックアップを残しておく

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