はじめに
「そろそろ、自社のホームページを作り直したほうがいいだろうか」。そうお考えの経営者様やご担当者様は多いのではないでしょうか。
ただ、いざ調べ始めると、費用も期間も進め方も会社によってばらばらで、判断がつかないという声をよくいただきます。何から手をつければよいのか分からないまま、数年が過ぎてしまうケースも少なくありません。
この記事では、ホームページのリニューアルとは何をすることなのかという基本からご説明します。判断の目安、費用の考え方、進め方、公開後の注意点までを順に扱います。ドメインやメールがどうなるのかといった、相談しにくい技術的な部分にも触れます。
ホームページの制作と保守管理を専門とする弊社リヒトスの視点で、経営者様がご自身で判断できるところまで整理しました。
ホームページのリニューアルとは
ホームページのリニューアルとは、既存のホームページを作り直し、デザイン・構成・機能・掲載内容を目的に合わせて刷新することです。単に見た目を変える作業ではありません。これまで蓄積してきた情報や検索エンジンからの評価を引き継ぎながら、Webサイト全体を組み直す取り組みを指します。ドメインやサーバーの移行を伴うこともあります。
リニューアルと新規制作の違い
リニューアルと新規制作は、似ているようで前提が異なります。
新規制作は、何もない状態から立ち上げる作業です。一方のリニューアルには、すでに公開されているページ、集まっているアクセス、検索エンジンからの評価という「引き継ぐべき資産」があります。
この資産をどう扱うかが、リニューアル特有の判断になります。ゼロから作るより自由度が低い代わりに、これまでの積み重ねを土台にできる点が違いです。
「部分的な修正」とはどこが違うか
リニューアルとよく比較されるのが、部分的な修正や改修です。
たとえば、トップページの写真を差し替える、料金表を更新する、お問い合わせフォームを1つ増やすといった作業は、リニューアルとは呼びません。既存の枠組みを保ったまま、中身を手直しする作業だからです。
リニューアルは、ページの構成そのものやサイト全体の設計から作り直します。作業範囲が広く、費用も期間も大きくなります。
逆にいえば、目的によっては部分改修で足りることもあります。全面的に作り直すべきかどうかは、この記事の後半でご説明する「決めるべきこと」から逆算して判断します。
リニューアルを検討すべきサインと、放置した場合のリスク
リニューアルを考えるきっかけは、「なんとなく古い気がする」という感覚であることがほとんどです。ただ、感覚だけで進めると判断がぶれます。
このセクションでは、自社サイトを見直したほうがよい具体的なサインと、古いまま放置した場合に何が起きるのかを整理します。当てはまる項目が多いほど、検討の優先度は高くなります。
自社サイトを見直したほうがよい5つのサイン
次のような状態が続いている場合は、一度見直すタイミングと考えられます。
- スマートフォンで見ると文字が小さく、拡大しないと読めない(スマートフォン対応ができていない状態です)
- お知らせやブログを自社で更新できず、更新が数年止まっている
- 掲載しているサービス内容や料金が、現在の事業と食い違っている
- 問い合わせや採用応募が、ホームページ経由でほとんど発生していない
- 表示に時間がかかる、または一部の画像やフォームが正しく動かない
いずれも、訪問者の離脱や信頼低下に直結する項目です。
なお、「制作から何年経ったか」という年数だけで判断する必要はありません。5年程度を一つの目安とする考え方はありますが、更新が続いていて事業内容とも合っているなら、急いで作り直す理由はありません。
判断の考え方は、ホームページのリニューアルの時期を判断する5つのサインでも解説しています。
古いまま放置すると起きること
古いホームページを放置した場合の影響は、見た目の印象だけにとどまりません。
まず、採用面での影響があります。求職者の多くは応募前に企業のホームページを確認します。情報が数年前で止まっていると、事業の状況が分からず、応募をためらう理由になりかねません。
次に、営業面での影響です。取引先や見込み客が社名で検索したとき、現在扱っていないサービスが載っていれば、商談前の印象が変わります。工務店や製造業のように、実績や技術の見せ方が受注に直結する業種では特に影響が出やすくなります。
さらに、技術面のリスクもあります。長く更新されていないシステムは、セキュリティ上の危険性が高まります。改ざんや不正アクセスの被害を受けると、復旧の手間と費用は、リニューアル費用を上回ることもあります。
デザインの古さが具体的にどこに表れるかは、2015年頃に制作したホームページのデザインの特徴で整理しています。
ホームページのリニューアルで本当に決めるべきこと
ここが、この記事で最もお伝えしたい部分です。
リニューアルの相談は、多くの場合「デザインを新しくしたい」から始まります。しかし、見た目から入ったリニューアルは、数年後に同じ悩みを繰り返しやすいというのが、弊社が制作の現場で感じていることです。
このセクションでは、デザインを考える前に決めておきたい3つの論点をご説明します。ここが定まっていれば、その後の判断はすべてここから逆算できます。
見た目だけを新しくしても、数年で元に戻る
見た目を新しくすること自体は、間違いではありません。問題は、それだけで終わってしまう場合です。
弊社が担当した整骨院様のリニューアルでも、以前のサイトは「見た目は新しくなったが、事業の内容とは結びついていない」状態でした。デザインは整っているのに、来院につながる情報がどこにも書かれていなかったのです。
この状態では、公開直後は満足できても、成果が変わらないため更新の動機が生まれません。結果として、また数年で「古いサイト」に戻ります。
見た目は、決めるべきことが決まった後に出てくる結果です。順番を逆にしないことが大切です。
この整骨院様のリニューアルについては、株式会社エンジョイライフ様のお客様の声でもご紹介しています。
参考サイトを基準に決めると、事業と関係のない理由で決まる
制作会社との打ち合わせでは、「参考にしたいサイト」を挙げることがよくあります。進め方としては自然ですが、注意点があります。
参考サイトを基準にすると、判断の理由が「他社がそうしているから」になりがちです。その他社は、事業規模も、客層も、強みも自社とは違います。そこで有効だった見せ方が、自社でも有効とは限りません。
たとえば、全国から集客している同業のサイトと、地域の紹介で成り立っている自社とでは、伝えるべき順番が変わります。前者はサービスの網羅性を、後者は誰がどんな姿勢で対応するのかを先に示したほうが伝わります。
参考サイトは、表現の引き出しを増やすために使うものです。何を載せるかの判断基準としては使わないほうが、結果的にぶれません。
同業のふつうを調べ、自社の立ち位置を決める
では、何を基準にすればよいのでしょうか。弊社では、次の順番で整理することをおすすめしています。
- 同業のホームページを複数見て、一般的にどこまで書かれているかを把握する
- そのうえで、自社が同業とどこで違うのかを言葉にする
- 違いが伝わる順番でページの構成を決める
同業の一般的な形を知っておくと、「載っていないと不安に思われる情報」が分かります。そのうえで自社の立ち位置を決めると、他社の真似ではなく、事業に根拠のある構成になります。
この作業は、経営者様にしかできない部分です。制作会社が代わりに決めることはできません。
ホームページの目的の決め方は、ホームページの「目的」はどう決めればいいですか?で詳しくご説明しています。
ホームページのリニューアル費用の考え方
費用は、リニューアルの検討で最も気になる項目だと思います。ただ、相場の数字だけを見ても判断はできません。
このセクションでは、金額そのものではなく、何によって費用が変わるのかという考え方をご説明します。ここを押さえておくと、見積書の内訳を自分で読めるようになります。
費用が変わる4つの要因
リニューアルの費用は、主に次の4つで変わります。
- ページ数:会社概要とサービス紹介だけの構成と、業務ごとに何十ページもある構成では、作業量が大きく変わります
- 機能:お問い合わせフォームだけの場合と、予約システムや会員向けページを備える場合とでは差が出ます
- デザインの作り込み:既存のテンプレートを活用するか、写真撮影を含めて一から設計するかで変わります
- 移行作業の量:既存ページの引き継ぎ、URLの設定、サーバーやメールの移行など、見えにくい作業がここに含まれます
見積金額に差が出たときは、この4つのどこが違うのかを見比べると、比較しやすくなります。
なお、4つ目の移行作業は、金額の差が出やすいわりに説明されにくい項目です。後半の「引き継ぐもの」で具体的にご説明します。
初期費用と月額費用は分けて考える
リニューアルの費用を検討するときは、作るための費用と維持するための費用を分けて考えることをおすすめします。
初期費用は、設計・デザイン・実装・移行にかかる一度きりの費用です。これに対して、サーバーやドメインの契約料、保守管理の委託料などは、公開後に継続して発生します。
初期費用だけで判断すると、公開後に想定外の支出が出ることがあります。逆に、月額の保守を含めて比較すると、数年単位での総額が見えてきます。
月額でかかる保守管理の費用については、制作会社の保守費用の内訳で解説しています。
リニューアルの進め方と期間の目安
リニューアルは、準備・制作・公開の3つの段階に分けて考えると、全体像がつかみやすくなります。
規模や社内の体制によって変わりますが、中小企業のコーポレートサイトでは、準備から公開まで3か月から6か月ほどをみていただくことが多いです。このセクションでは、それぞれの段階で何をするのかをご説明します。
準備段階|現状把握・目的整理・見積依頼
最初に行うのは、今のホームページの状態を把握することです。
Googleアナリティクス(GA4)などのアクセス解析があれば、どのページがよく見られていて、どこで離脱しているかが分かります。解析を入れていない場合でも、「お客様からよく聞かれること」「営業資料で説明していること」を書き出すだけで十分な材料になります。
次に、前のセクションでご説明した「決めるべきこと」を整理します。ここまでできてから制作会社に相談すると、見積の精度が上がります。
見積を依頼する際は、ページ構成の希望と、公開後の運用体制まで伝えておくと、後から追加費用が発生しにくくなります。
制作段階|設計・デザイン・実装
制作会社が決まったら、サイト全体の設計から始まります。
まず、どのページをどう並べるかという構成を決めます。ここで前のセクションの整理が生きます。次に、デザインの方向性を固め、実際のページを作っていきます。
この段階で、社内の確認体制を決めておくことをおすすめします。誰が原稿を用意し、誰が最終確認をするのかが曖昧なままだと、制作より社内調整に時間がかかることがよくあります。
写真の撮影や原稿の作成を自社で担当する場合は、その分の期間も見込んでおいてください。実際のところ、制作が止まる原因の多くは、この素材待ちです。
公開段階|移行・確認
公開の直前に行うのが、既存サイトからの移行作業です。
ページの引き継ぎ、ドメインやサーバーの切り替え、メールの設定変更などをまとめて行います。切り替えのタイミングによっては、一時的にメールが受信できない時間が発生することもあるため、業務への影響が少ない日程を選びます。
公開後は、表示崩れやフォームの動作を一通り確認します。パソコンだけでなく、スマートフォンとタブレットでも確認してください。
なお、公開して終わりではありません。公開後にやるべきことは、後半のセクションでご説明します。
リニューアルを依頼する制作会社の選び方
制作会社は数が多く、料金体系も進め方も会社ごとに違います。どこを見て選べばよいのか、判断材料を持っておくと比較しやすくなります。
このセクションでは、公開後まで含めた見方と、見積書で確認したい項目をご説明します。
制作だけでなく公開後の保守まで見る
制作会社を選ぶとき、制作実績やデザインの好みで判断されることが多いと思います。あわせて確認しておきたいのが、公開後の対応です。
ホームページは、公開してからのほうが長く付き合うものです。不具合が起きたとき、システムの更新が必要になったとき、誰が対応するのかを事前に確認しておくと、後の負担が変わります。
制作と保守を同じ会社に任せる場合、作った経緯を知っている担当者が対応するため、問題が起きたときの原因究明が早い傾向があります。これは一つの考え方です。
一方で、制作と保守を別の会社に分ける進め方にも利点があります。保守を専門にしている会社は対応の体制が整っていることが多く、相見積もりを取りやすいため費用の妥当性も判断しやすくなります。制作会社との相性が合わなかった場合に、保守だけを切り替えられる柔軟さもあります。
どちらが優れているということではなく、自社の体制と、社内で対応できる範囲に合わせてお選びください。
保守を依頼する会社を変更する場合の進め方は、ホームページの管理会社を変更する方法でご説明しています。
見積書で確認したい項目
見積書を比較するときは、金額の合計だけでなく、次の項目が明記されているかを確認してみてください。
- ページ数と、各ページの想定内容
- 原稿・写真を誰が用意するのか
- 既存ページの移行作業が含まれているか
- 公開後の保守管理の範囲と、その料金
- 修正対応の回数や範囲
特に、原稿や写真の準備と、既存ページの移行は、見積に含まれているかどうかで総額が大きく変わる項目です。含まれていない場合、後から追加費用として発生します。
記載が曖昧な項目があれば、契約前に質問してください。質問への答え方も、公開後の対応を知る材料になります。
ホームページのリニューアルで引き継ぐもの
ここからは、技術的な引き継ぎの話です。ドメインはどうなるのか、今のページは消えてしまうのか、メールは使えるのか。ご相談の場で、経営者様が最も不安に感じられる部分です。
このセクションでは、リニューアルのときに引き継ぎを検討する4つの要素を、順にご説明します。専門用語には説明を添えていますので、制作会社との打ち合わせ前にお読みください。
ドメインはそのまま使えるのか
ドメイン(○○.co.jp などWebサイトの住所にあたるもの)は、リニューアルしても引き続き使えます。制作会社が変わっても同じです。
ドメインを変えずにリニューアルする場合、検索エンジンからの評価を引き継ぎやすく、名刺やパンフレットに印刷したURLもそのまま使えます。特別な理由がなければ、同じドメインを使い続けることをおすすめします。
ただし、契約の名義や管理権限が制作会社側になっている場合は、事前の確認が必要です。移管の手続きに時間がかかることがあります。
引き継ぎの注意点は、リニューアル後も同じドメインを使用する注意点でご説明しています。
今あるページはどうなるのか
現在公開しているページは、そのまま自動で移るわけではありません。どのページを残し、どのページを統合または削除するかを決める必要があります。
ここで重要になるのが、ページのURLです。URLが変わる場合、旧URLにアクセスした人と検索エンジンを新URLへ案内する設定が必要になります。この設定をリダイレクトと呼びます。
GoogleはURLを変更する際、恒久的なサーバー側のリダイレクト(301や308)を使うことを推奨しています。あわせて「リダイレクトをできるだけ長く保持します(一般的には1年以上)」とも案内しています。
(出典:Google 検索セントラル「URL が変更されるサイト移転」、2026年9月8日確認)
この設定が漏れると、検索結果からの流入がそのまま失われます。見積の段階で、作業に含まれているかを確認してください。
ページの移し替えで注意したい点は、既存のページを新しいホームページに移管する時の注意点にまとめています。
サーバーとメールの移行
サーバー(Webサイトを公開するためのコンピューター)を変更する場合、注意が必要なのがメールです。
会社のメールアドレスをホームページと同じサーバーで運用しているケースは、中小企業では多く見られます。この場合、サーバーを切り替えると、メールソフトの設定変更が必要になります。
切り替えの前後には、メールが一時的に届かない時間が発生することがあります。また、古い設定を残したまま新しい設定を追加しないと、受信が二重になったり、過去のメールが見えなくなったりすることもあります。
移行の日程と手順は、制作会社と事前に共有しておくと安心です。具体的な設定項目は、リニューアル時のメールソフトの設定変更の注意点でご説明しています。
自分で更新できる仕組みにするか
リニューアルを機に、自社で更新できる仕組みを導入するかどうかも検討事項です。
更新機能を持たない構成(静的サイト)は、表示が速く構造がシンプルという特徴があります。一方、CMS(コンテンツ管理システム)を導入すると、専門知識がなくてもお知らせやブログを社内で更新できます。
代表的なCMSには、WordPress、Wix、STUDIO、Jimdo などがあります。それぞれ、機能の拡張性、運用にかかる手間、費用の考え方が異なります。どれが優れているというものではなく、社内で誰がどのくらいの頻度で更新するのかによって選び方が変わります。
なお、WordPressは2026年8月19日にバージョン7.1が公開されています(WordPress公式ドキュメント、2026年9月時点で確認)。CMSを導入する場合は、本体やプラグインの更新を継続する体制もあわせて検討してください。
どちらの構成が向いているかは「静的サイト」と「動的サイト」の違いと選び方で、WordPressそのものの基礎はWordPressとはでご説明しています。
リニューアル後にやること・SEOで注意すること
リニューアルは、公開した瞬間が終わりではなく、むしろ確認作業の始まりです。公開直後の対応を怠ると、それまでの投資が無駄になることもあります。
このセクションでは、公開直後に確認する項目と、SEO(検索エンジン最適化)の観点で注意したい検索順位の変動についてご説明します。特に順位については、上がることも下がることもあるという前提を持っておくことが大切です。
公開直後に確認する項目
公開したら、まず次の項目を確認してください。
- お問い合わせフォームが正しく送信され、届いているか(送信テストを必ず行ってください)
- スマートフォンとタブレットで表示が崩れていないか
- 旧URLにアクセスしたとき、新しいページに正しく転送されるか
- メールの送受信が問題なくできているか
- アクセス解析のタグが新サイトにも設置されているか
このうち、フォームの送信テストは特に重要です。実際に届いていなかったために、数週間分の問い合わせが失われていた、というご相談は珍しくありません。
また、公開後にしか分からない不具合もあります。弊社が担当した案件でも、個別に動作を確認していたプラグイン同士が、公開後に組み合わせで競合し、表示に影響が出たことがありました。公開後しばらくは、様子を見る期間として見ておくことをおすすめします。
検索順位が一時的に下がることがある
リニューアルすれば検索順位が上がる、とは限りません。一時的に下がる可能性があることは、あらかじめ知っておいてください。
URLが変わるサイト移転について、Googleは次のように案内しています。
移転中は、検索でのコンテンツ掲載順位が一時的に変動することがあります。これは通常のことであり、サイトのランキングは時間の経過とともに安定します。
(出典:Google 検索セントラル「URL が変更されるサイト移転」、2026年9月8日確認)
また、Search Consoleの「アドレス変更ツール」が必要になるのは、別のドメインへ移転する場合です。GoogleはHTTPからHTTPSへの移行について「アドレス変更ツールを使用する必要はありません」としています(出典:同上)。同じドメインのままリニューアルする場合も、このツールは使いません。
下落を小さく抑えるには、リダイレクトの設定を漏れなく行うこと、そして各ページの内容を安易に削らないことが基本になります。ページ数を大幅に減らすリニューアルでは、検索からの流入も一緒に減ることを見込んでおいてください。
検索エンジンに新しいページを見つけてもらう仕組みは、Googleクローラーに巡回されやすいサイトでご説明しています。
リニューアルでよくある失敗と、その回避
ここでは、実際に起きやすい失敗を2つご紹介します。どちらも、事前の準備で避けられるものです。
前半でご説明した「決めるべきこと」が事前の話だとすれば、こちらは結果として何が起きるかという話です。あわせてお読みください。
見た目だけ新しくして、成果が変わらない
最も多いのが、デザインは新しくなったのに、問い合わせも採用応募も変わらないというケースです。
原因は、多くの場合、載せる内容が以前と同じままだからです。デザインを整えても、書かれている情報が「会社概要と事業内容の一覧」だけであれば、訪問者が判断に必要とする材料は増えません。
たとえば飲食店であれば、料理写真とメニュー、席数、予約方法が具体的に書かれているかどうかで反応が変わります。士業であれば、対応できる業務の範囲、料金の考え方、相談の流れが書かれているかどうかが問い合わせを左右します。
これを避けるには、制作前に「訪問者が何を知りたいか」を書き出しておくことです。営業やお客様対応の現場で実際に聞かれる質問が、そのまま材料になります。
デザインの検討に入る前に、この作業を済ませておいてください。順番を守るだけで、結果は大きく変わります。
公開後に更新できず、また古くなる
もう一つが、公開後に更新が止まり、数年後に同じ悩みに戻るケースです。
更新が止まる理由は、担当者の意欲の問題ではありません。多くは、体制が決まっていないことが原因です。誰が、どのくらいの頻度で、何を更新するのかが決まっていなければ、通常業務の中で後回しになります。
そのため、リニューアルの計画段階で次の3点を決めておくことをおすすめします。
- 更新を担当する人と、その頻度
- 不具合が起きたときの連絡先と対応範囲
- 社内で対応する範囲と、外部に委託する範囲
CMSを導入しても、使い方の説明を受けていなければ更新は進みません。公開時に操作の説明を受けられるか、後から質問できる窓口があるかも、あわせて確認してください。外部に委託する場合の範囲は、弊社のホームページの保守管理のページでもご説明しています。
リニューアルに限らないホームページ運営の失敗は、ホームページを運営している中でのよくある失敗で整理しています。
業種別に見るリニューアルの重点
同じリニューアルでも、業種によって重点を置くべき場所は変わります。訪問者が何を確かめたくて来ているかが違うためです。
このセクションでは、弊社がさまざまな業種のホームページに携わってきた経験から、業種ごとの重点をご紹介します。自社に近い業種を参考にしてみてください。
士業|専門性を、依頼前の不安に合わせて伝える
士業のホームページでは、専門性の高さをそのまま並べるだけでは伝わりにくい面があります。相談する側は、制度の知識ではなく「自分の場合はどうなるのか」を知りたいためです。
弊社が担当した司法書士事務所様のリニューアルでは、事務所の理念を軸に構成を決めました。相続や家族信託といった専門的な業務を、一般の方が理解できる言葉に置き換えて整理しています。あわせて、相続登記の申請義務化(令和6年・2024年4月1日施行)のような制度の変更を、お知らせとして伝えられる仕組みも用意しました。
税理士事務所や社労士事務所でも考え方は同じです。対応業務、料金の目安、相談の流れを揃えることが、問い合わせのしやすさにつながります。
整骨院・医療系|情報設計と、広告のルールへの配慮
整骨院や歯科医院などの医療・健康分野では、症状や施術の内容を探している方が多く訪れます。そのため、症状ごとにページを分けて、それぞれの悩みに合わせて説明する構成が有効です。
一方で、この分野には広告に関するルールがあります。医療広告ガイドライン、柔道整復師の施術所に関する広告のルール、薬機法、景品表示法など、複数の規制が関わります(いずれも2026年9月時点)。表現の可否は個別の事情で変わるため、判断に迷う場合は所管の官庁や専門家にご確認ください。弊社でも、制作の過程で表現を一つずつ確認しながら進めています。
不動産・保育園・マンション管理組合|情報の整理と信頼
不動産会社のホームページでは、物件情報の見やすさと、担当者の人柄が伝わるかどうかが重視されます。掲載件数が多くなるほど、探しやすさの設計が成果を左右します。
保育園では、保護者が知りたい情報の性質が変わります。園の方針、一日の流れ、写真から伝わる雰囲気、そして見学の申し込み方法です。読み手が保護者であることを前提に、言葉遣いから見直すと伝わり方が変わります。
マンション管理組合のように、集客ではなく居住者への情報共有を目的とするケースもあります。この場合は、外部に公開する情報と、居住者だけが見る情報の切り分けが設計の中心になります。
業種ごとの詳しい観点は、見やすい「不動産会社のホームページ」の作り方とマンション管理組合がホームページを持つメリットでもご説明しています。
まとめ
ホームページのリニューアルは、見た目を新しくする作業ではなく、事業の立ち位置を決め直す作業です。ここが定まっていれば、デザインも機能も費用も、その基準から判断できます。
この記事の要点を整理します。
- リニューアルは、既存の資産を引き継ぎながらサイト全体を組み直す取り組みです
- デザインより先に、同業のふつうを知り、自社の立ち位置を決めることが土台になります
- 費用は、ページ数・機能・デザイン・移行作業の4つで変わります。初期費用と月額費用は分けて考えます
- ドメイン、既存ページ、サーバーとメールの引き継ぎは、見積の段階で確認しておく項目です
- 公開後は順位が一時的に下がることもあります。リダイレクトの設定と、更新を続ける体制が結果を左右します
なお、目的によっては、全面的な作り直しをせずに部分改修で足りることもあります。弊社でも、ご相談の内容によっては、一部のページの改修やCMSの導入だけをご提案する場合があります。制作の考え方はWEB制作のページにまとめています。
ホームページのリニューアルをご検討の場合は、株式会社リヒトスまでお気軽にお問い合わせください。


